猪突猛進の告白
俺は茜師匠に間違いないか確認する事にした。
「えっと、いつからですか?」
「わからん……。気が付けば自然にダンを目で追う様になっていたんだ。それに先程ジョージ様の稲妻の足捌きを見るまではこの想いは封印するつもりだったしな」
なるほどねぇ。
でもきっと茜師匠は悩んでいたんだろうな。俺の子種を欲しがっていたのに、俺の縛鎖荊を受けなかったから。最強の剣術を目指すなら鍛錬のダンジョンに際限無く入れるのはメリットしかないもんな。
「恥ずかしながら私は恋愛事の経験が空っきしなんだ。それでジョージ様の助言をお願いしたいんだ」
「そんな俺も恋愛事は得意じゃないですよ」
「何を言っているんだ。過ぎたる謙遜は嫌味だぞ」
なんか最近良く聞くフレーズだな。流行っているのか?
「ジョージ様は難攻不落の不沈艦と称されていたスミレ様を口説き落としたんだろう? 市中で有名だぞ。スミレ様はジョージ様に完全にメロメロじゃないか」
そういえば学生時代のスミレの異名が難攻不落の不沈艦だったな。懐かしい思い出だよ。
「そしてその後もロード王国の珠玉と言われたパトリシア王女を袖にし、この度即位するアリス皇女も袖にした。ポーラとオリビア親子、ハイエルフのエンヴァラ、そしてジョージ伯爵親衛隊の27人のエルフを専任侍女にしているんだ。それも無理矢理じゃない。皆が喜んで専任侍女になっているじゃないか。最近、親衛隊の隊員はジョージ様の取り合いをしているんだぞ」
あぁ、客観的に見るとそうなのね……。
俺が真剣に口説き落としたのはスミレだけなんだけど……。
「あの間違いなく買い被り過ぎですね……。俺の恋愛経験はスミレだけですよ。あとは勝手にそうなっただけですから。それにパトリシア王女とアリス皇女は政治的な話でしたし、袖にしたつもりもないよ」
「そうなのか? ジョージ様は自分の魅力を理解してないのかもな。それならジョージ様が、スミレ様を口説き落とした方法を教えてくれ」
「それなら簡単ですよ。自分の気持ちに正直になるだけです。熱い想いをこれでもかって真っ直ぐスミレにぶつけましたから」
「よ、よし、それならできる!」
茜師匠は真っ直ぐ素振りをしているダンに向かっていった。
ま、まさか……。
「ダン! お前の事が好きになってしまったようだ! 是非、私と結婚して欲しい!」
おいおい! マジか! 茜師匠、いくらなんでも強行突破をかますか!
キョトンとした顔のダン。
周囲の空気が固まる。
しかしダンはすぐに高らかに笑い出す。
「なるほど、茜さんは面白いですね。直情過ぎるところが私と正反対です。まさかいきなり大勢がいる中で愛の告白ですか」
確かにダンと茜師匠以外に現在この道場には俺とスミレ、ポーラ、オリビア、親衛隊のエルフ達の31人がいた。
その31人の視線がダンと茜師匠を注視する。
ダンの言葉にその状況を意識したのか、茜師匠の顔がみるみる赤く変わっていく。
「あ、そ……」
「大丈夫です。別に責めていません。私も茜さんの事は好ましく思っておりますよ。茜さんからはジョージ様への敬意の心を感じますし、ジョージ様の剣術の師匠でもあります」
顔がこれ以上にないほど赤くなる茜師匠。反対に滔々と話すダン。
「そうですね。まだお互いの深い所をわかっていませんから、まずは互いを理解することから始めましょうか? 結婚は置いておいて、お付き合いする事でどうでしょうか? ただ私は結構、忙しいので少し寂しい想いをさせるかもしれませんが」
か、かっけー! カッコ良過ぎるわ! ダンは恋愛事もこんなに鮮やかにこなすのか……。
茜師匠はダンの提案に直立不動で声をあげる。
「は、はい! それでお願い致します!」
「それでは後ほどジョージ様と私が今後について話し合います。その後、2人でどのような形が良いか考えましょう。それでは茜さん、よろしくお願いしますね」
そう言ってダンは何事も無かったかのように素振りを再開した。
周囲も呆然としている。
えっと、何これ? こんな感じなの?
俺はもやもやを解消する為にダンを道場から連れ出した。
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