格
湯船に浸かっているとエマとシャーロットが俺の両脇に座ってきた。
せっかくだから交流を深めるか。
「そういえば今更なんだけど、なんで俺に飼われたいの?」
俺の素朴な疑問に答えるシャーロット。
「私たちエンヴァラの民は世界樹を神として崇めておりました。最初はジョージ様を警戒致しました。神である世界樹を救う救世主なのかも半信半疑でした。ただエンヴァラに取って脅威である事は疑いようのない事実でした。その時命令されたのがジョージ様を籠絡させることでした」
「あぁ、【魅惑の蜜】の事ね。俺にイノダンの肉を食わせて混浴した件だね」
「はい。しかしあれは未婚のエルフに取って世界樹の為に女性を捨てる行為なんです。エルフは愛する男性以外に裸を見せる事なんてありえません。女性として一生幸せな生活を捨てる事と同義です」
その時を思いたのか悲しい顔をするシャーロット。横で聞いていたエマも同じだ。
「それでも神である世界樹を守る為に、皆んな泣く泣く命令に従いました」
「それなら俺を恨むんじゃないの?」
「いやそうなるとジョージ様が神である世界樹を救う救世主であって欲しいと切に願いました。裸を晒した男性が救世主ならば自分の気持ちが整理できますから」
なるほど、そんなもんか。
「そしてあの神速のアイシクルアローを見た時に皆んな確信しました。ジョージ様は救世主だと。これなら女性として一生幸せな生活を捨てた自分も救われるって。しかしジョージ様は救世主ではありませんでした。神である世界樹を切り倒し、女神をこの世に具現化させました」
シャーロットに取ってエヴィーは女神なんだ。それにしては親衛隊の面々もエヴィーの扱いは粗略に感じるけど……。
「そしてジョージ様はその女神を最も容易く服従させております。世界樹は神であり、その神から具現化したエンヴァラ様は神に等しい存在です。その神を超える存在がジョージ様なのです。世界樹の信仰からジョージ様への信仰に変わるのが当然ではないですか。そしてその存在の庇護下に収まりたいと思うのは自然な事だと思います」
シャーロットが俺の左腕に胸を押し当ててきた。それに気が付いたエマも俺の右腕に胸を押し当てる。
こういうのも交流を深めるというのだろうか?
「尚且つジョージ様は唯一自分の裸を晒した男性です。一生添い遂げたいと考えるのはエルフの文化としては正常だと思います」
喋りながらも隙があれば俺の股間を盗み見するシャーロット……。
こいつはやっぱりヤバいな。
「それでなんで飼われるになるの?」
「プリアは違いましたがさすがにジョージ様の奥方になれるとは露ほども思えませんでした。身の程知らずではないですから。奥方ともなればジョージ様の横に並び立たなければなりません。人にもエルフにも格があります。ジョージ様の奥方のスミレ様を見てやはりそれは間違っていませんでした。私の格では今後努力を続けてもギリギリジョージ様に飼われるくらいです。それでも嬉しいのですが」
「格? 身分って事? それなら俺は元々平民だよ」
「そのような意味の無い格ではございません。存在としての格です。神に匹敵する存在の格である古代のエルフ王であられるエンヴァラ様。そのエンヴァラ様を従えているのがジョージ様です。神をも超える存在の格です」
「おいおい、さすがに俺はそんな大層な人物では無いよ」
「過度な謙遜は嫌味になりますよ。でもそんなジョージ様も素敵です」
まさか昨晩ダンに言った言葉が俺が言われるとは世も末だよ。天変地異の前触れじゃないよな?
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天変地異では無かったが、エクス帝国の政局に風雲急を告げる情報が舞い込んできた。
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