復讐にやってきたドラゴン
昨日、改めて思ったが修練のダンジョンの地下4階は途轍もなく広い。
結局あんなに駆け回ったのに果てが見えなかった。いったいこの草原はどこまで続くのだろう?
精霊王が作ったって言ってたから、違う次元の空間なのかな?
それに地下5階はあるのか? あるのならばどうなっているのか? まぁ君子危うきには近づかずだよな。
まずは俺とスミレは別れてドラゴンを討伐する。運搬をするエルフ達はリュクサックに魔石を1つ入れ、前に1つ抱える事ができるため、1回に運べる魔石の数は1人2つだ。
27人で54個。
運搬時のエルフの護衛は俺が務める。魔法は両手が塞がっていても問題なく行使できるから俺も2つ運べる。
まずは56個のドラゴンの魔石集めだな。
昨日は1時間30分の討伐時間でドラゴンを28頭討伐した。1頭当たり3分ちょいか。慣れていけばもう少し短くなるか。
「ジョージ! どちらがドラゴンを多く討伐できるか勝負よ!」
スミレは高らかに宣言して1番近くにいるドラゴンに走り出した。
慌ててジョージ伯爵親衛隊の偶数の番号の分隊がスミレを追う。
あ、汚ねぇ! これは旦那として負けられないな。
俺はスミレと反対方向のドラゴンに向けて走り出した。
俺に付き従うのは第一分隊以外の奇数の番号の分隊の12名のエルフ達。第九分隊に属しているプリちゃんも頑張って付いてきていた。
シーファが率いる第一分隊は全体を見てバランスを取る予定だ。
初めてドラゴンを討伐した時は精密さを求めて500m以内で、その後は300m以内に設定していた。しかし今は1キkmの距離でも何の問題ない。
【静謐なる氷、悠久の身を矢にして貫け、アイシクルアロー!】
エルフの里の砦で見せた最速のアイシクルアロー。1km先のドラゴンが全く反応できずに墜落する。
「はわわ……、凄い、凄いです!」
何とか付いてきたプリちゃんが感嘆の声を上げる。
良い気持ちだが、スミレとの勝負の最中だ。気を引き締め無いとな。
「魔石は任せるぞ! その周囲にドラゴンはいないから安全だ!」
俺は次の獲物を求めて走り出していた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
討伐開始から1時間30分経ったところで55個のドラゴンの魔石を得ていた。
あと1つだなって思った時にスミレが提案してきた。
「やっぱりジョージは凄いわね。私の倍の速さでドラゴンを狩っているわ。魔石の運搬の護衛はジョージじゃ無くて私がやるわ。その方が効率的よ」
運搬の時間も地下4階に残った方が討伐を継続できるもんな。
スミレが運搬の護衛をするならスミレが運べる魔石はリュクサックに入れる1つだから55個あれば良い。
今のところの討伐数は俺が36頭でスミレが19頭だ。
これは魔力ソナーの有効距離の差と射程距離の差だな。
俺は常に数頭のドラゴンを捕捉しているもんな。
運搬の時間にどれだけ時間がかかるかだ。明日からは手押し車を持ち込んでみるか。階段があるからどうなんだろ?
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
スミレと親衛隊がドラゴンの魔石を運搬している時に俺は黙々とドラゴンを討伐しては、ドラゴンの魔石を階段の前まで運ぶ。
当然ながら討伐効率は下がっていく。
スミレ達が戻ってきてからは、また討伐効率が戻る。
そしてまた運搬。
最初は1時間30分、その後は2時間程度のサイクルで回っていく。途中、30分程度の時間でダンジョン内で昼食を食べる。
俺はただひたすらにドラゴン討伐を繰り返していた。
完全に自他共に認めるドラゴン殺戮者だ。
一回の運搬で運べるドラゴンの魔石はスミレがリュクサックに入れた1つのため55個。
それが4回、最後の1回は俺が2つ運べる為57個。
55個+55個+55個+55個+57個=277個。
そしてエクス帝国に9個の魔石を納品した。
まずは1日10時間で268個のドラゴンの魔石の獲得だ。
こりゃ、楽勝だな。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
引越しが終わり今日から新邸宅で過ごす事になる。
新邸宅では一日中ドラゴン討伐してきた俺をドラゴンが出迎えてくれた。
「これは……」
新邸宅の門の両脇に2頭のドラゴンの彫像が設置されていた。
相当な大きさだ。既に人集りができている。
翼を広げ今にも空に飛び立とうとしているドラゴンと鋭い爪で攻撃を仕掛けているドラゴン。
これは原寸大の大きさか? まるで生きているようだ……。
「凄いですね! 一瞬、先程ジョージ様に討伐されたドラゴンが復讐しにきたのかと思いましたよ」
第二分隊長のエマが叫んでいる。
「本当に凄いですわ。これだけの彫刻は見た事がありません。間違い無く魂が宿っていますね」
静かに感想を口にする第三分隊長のシャーロット。
何か対照的な2人だな。
それにしてもドット・ベルーガ子爵は素晴らしい仕事をしてくれたよ。
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