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ジョージは魔法の使い方を間違っていた!? 〜ダンジョン調査から始まる波瀾万丈の人生〜【文庫本発売中】  作者: 葉暮銀
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百戦百勝演説術

3月28日【黒の日】


 今日も今日とて特等席でスミレの瞑想を鑑賞する。

 欠かせない俺の朝の日課だ。

 うん! 今日も良い一日になりそうだ!


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「「「「「おはようございます!」」」」」


 新邸宅前には既に27人のエルフが三列横隊で整列していた。

 前列の9人の左端に立っているのがシーファだ。

 シーファが列から一歩前に出る。


「今日より【王の階梯(かいてい)】に本格的に入る事になります。それに伴い部隊を編成致しました。我らは元エンヴァラ親衛隊です。それを元に編成致しました。隊長は私シルファが務めさせていただきます」


 シーファの横にいた2人が一歩前に出てきた。


「こちらが副隊長のエマとシャーロットです」


 エマはショートカットがよく似合う活発な印象を受けるエルフだ。

 混浴した時にはとてもはしゃいでいた記憶がある。よくプリちゃんを揶揄って遊んでいたな。


 シャーロットは反対にロングヘアーの落ち着いた印象を受ける。

 しかし俺は知っている。

 混浴時に俺を股間から視線をほとんど離さなかったのを……。

 あの時は俺の周りに人垣ができていた。しかしシャーロットはそれに混ざらず一人後ろにほうでひっそりとしていた。

 興味の無い雰囲気を醸し出しながらも、横目でしっかりと俺の股間をロックオンしていたのがシャーロットだ。


「三人一組が基本構成単位の分隊になります。前列に並ぶ者が分隊長となります。私が率いるのが第一分隊であり、エマが第二分隊、シャーロットが第三分隊で、全部で第九分隊まであります」


「状況に応じて私とエマとシャーロットが三つの分隊を率います。9人の小隊編成です。以上が新しく編成した概要になります。今日より我ら27名はジョージ伯爵親衛隊として粉骨砕身(ふんこつさいしん)ジョージ様に仕えさせていただきます」


「えっと……。編成の概要は理解したけど、ジョージ伯爵親衛隊って……。普通はグラコート伯爵家親衛隊とかじゃないの? それに皆んなは俺の専任侍女になるんじゃなかった?」


「当然専任侍女も兼務します。そして我らはジョージ様に忠誠を捧げてたいのです。グラコート伯爵家臣団に所属しておりますが、それでも心の根っこの部分はジョージ様です。既にダン様より了承を得ております」


 まぁダンが認めているならしょうがないか……。

 きっと俺には想像できない利点があるのだろう。たぶん……。


「それではジョージ様、もし宜しければ我らに訓示をいただけると嬉しいです」


 訓示かぁ……。

 柄では無いと思うがこういうのは必要だし、今後はどうしても求められる。少しずつでも良いから俺も変わらないとな。

 よし! 頑張ってみるか。


 俺はルードさん直伝の貴族の雰囲気を醸し出し、整列しているエルフ達を悠然と眺める。

 皆、俺の言葉を待っていた。しかしまだ()していない。


 焦らずにゆっくりと心の中で10秒数える。

 緊張感が高まっていく。このような()が場を掌握するには必須であるとルードさんに教わった。これがルードさん特別講座の【百戦百勝演説術】だ。

 頃合い良し!

 俺は満を持して口を開いた。


「諸君らと初めて出会ったのはエルフの里の前線の砦であった。誤解が生じ敵対はしたが、それもすぐに解消され(わだかま)りは共に湯で流した。諸君らとは既に裸の付き合いをした仲である。そして昨日、我が縛鎖荊にて強い絆を結んだ。グラコート伯爵家当主としてここに宣言する! 諸君らは既に我が家族だ! このジョージ・グラコートが全身全霊をかけて庇護する愛すべき存在である!」


 ここまで言い切って一度演説を止める。俺の言葉がエルフ達の心に染み渡るのを待つ為だ。


 それにしても……。

 き、気持ちいい……。


 効果的な演説には自分で自分に酔う必要がある。自己陶酔が重要だとルードさんが言っていた。

 目の前のエルフ達の視線が俺の次の言葉を今か今かと待っている。

 高揚した気持ちのまま、俺は演説を再開してしまった。


「諸君らに求める! これよりこのジョージ・グラコートの為だけに存在しろ! そしてグラコート伯爵家の為に生きろ! それが諸君らの存在意義である!」


 言った後にやらかしたと気付く……。

 一瞬で全身から冷や汗が出てきた……。

 しかし時既に遅し……。


 俺の演説に27人のエルフ達は完全に眼の色が変わっていた。今更取り消しなどできない雰囲気だ。


 ええい! しょうがない、このまま突っ走ろう! 後は野となれ山となれ。ダンが何とかしてくれるさ。


「シルファ! お前のその胸に刻まれているグラコート伯爵家の家訓はなんだ」


 はっとして胸に手を当てるシーファ。


「【舐める奴等には万死を与えよ!】です!」


「そうだ。しかし由々しき事に昨日エルバト共和国の大臣であるジェシカ・バースがグラコート伯爵家を侮る発言をした。それに対してダンが8月までにドラゴンの魔石を4,000個エルバト共和国に納品してみせると返した。常識的にはあり得ない量だが、諸君らと一緒なら軽くこなせると俺は確信している。そしてジェシカの度肝を抜く為には倍の8,000個を納品する事に決定した。今日、これより修練のダンジョン、いや【王の階梯(かいてい)】にて任務を開始する。いいか、俺の期待を決して裏切るなよ」


 エルフ達は片膝を地面に付けて頭を下げる。軍隊における元帥(げんすい)に対する最高の礼だ。


「ジョージ様の意のままに……」


 シーファの声は静かで、しかし力強かった。それは心の奥底から発せられた魂のようだ。


 やり過ぎの感は拭えないし、暴走してしまった自覚はある。

 三ヶ月でドラゴンの魔石を8,000個集めるのが少し重圧がかかっていたのかな?

 計算では問題無く達成できるが、実際にやってみると不確定な要素が出る可能性もある。

 突っ走るのにも熱さが必要になるよな。そう考えれば及第点の演説だったかも。


 それにしてもなんだよ、俺の為だけに存在しろって……。自己陶酔の極みだな。黒歴史決定だよ。

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