思考の迷路
グラコート邸宅に戻ると玄関ホールでポーラと出会った。
ポーラは俺の顔を見るとみるみる顔を赤くしてしまう。
あ、これはスミレが話したんだな……。
こんな反応をされるとこちらも意識してしまうわ。
早めに説明はしておこうか。
「ポーラ、ちょっと良いかな?」
「は、はい!」
「そんなに緊張しないでよ。こちらも緊張しちゃうからさ」
「あ、はい! すいません」
「スミレからポーラについていろいろと頼まれたんだ……」
さらに顔を赤くするポーラ。
「スミレから頼まれたけど、俺はポーラの気持ちを蔑ろにしたくないんだ。そして物としても扱いたくない。俺はポーラは1人の人間として尊敬している。そして女性としての魅力も感じているんだ」
「恐れ多いです……」
「でも俺の心の中心にはスミレがいる。これは未来永劫変わらない。そしてスミレからポーラの人生に彩りを与えて欲しいと言われたのが昨晩なんだよ。まだ自分の中で状況を消化できていないんだ。悪いんだけどもう少し考えさせてくれないかな?」
目から涙を流すポーラ。
やっぱり傷付ける言葉だよな……。
「ごめん、傷付けたよね。女性に対して失礼な内容だったよ」
「違います。全然違います。ジョージ様の誠実な心に感動しているんです。私は貴方の専任侍女です。貴方の性的欲望の捌け口にして良い存在なんですよ。そしてその専任侍女を私は自ら進んでやらせていただいております。それなのにジョージ様は私の気持ちを尊重してくれるなんて……」
「誠実では無いと思うんだけど……。大事な女性がいるのに、他の女性と性的関係を持つんだよ。不誠実極まりないと思うな」
「そのように考えるジョージ様だから……」
言い淀むポーラ。なんだろ?
「だから?」
「……抱かれたいのです。分相応の望みとは理解しています。ジョージ様が苦しむのならば望みません。今の状況でも充分過ぎるほど幸せですから。それでももし私に性的な気持ちが湧くのならばいつでも仰ってください。その時は喜んで専任侍女の仕事をさせていただきますから」
ポーラはどこまで強い女性なんだろう……。
俺の身体の芯が震える。熱い血が下半身に集まってきた……。
下半身で考えるねぇ……。
でもスミレ、お前は俺の愛情の深さをまだ理解していないよ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ポーラを寝室に連れ込まず、1人で自室に戻った。
とても危なかったが何とか自制できたよ……。
スミレからは自分は変わらないから信用してと言われた。
しかし万が一、いや億が一、いや可能性がゼロじゃないのなら、それはできない。
俺に取ってそれ程までにスミレの笑顔が大切なんだ。
スミレから愛想を尽かされるならしょうがない。俺がそれまでの男性だったって事だ。スミレと結婚できただけで俺に取っては僥倖なんだ。
それを自分の行動で壊すわけにはいかない。
それにポーラが専任侍女になる時に俺は自分自身に誓った。
例えスミレが悲しまなくてもポーラで性的処理はしないと。
ポーラで性的処理をするのはスミレに対する裏切り行為と自分で感じるからだ。
結局、上級貴族の考えを俺が受け入れられないんだろうなぁ。そんな俺が上流貴族をしているのだからこんな悩みが出るんだろう……。
でもスミレからポーラと性的な関係を持つように頼まれている。
ポーラを抱かない事で愛想を尽かされたらどうしよう……。
やばい、これは考えていたら夜も眠れなくなる……。
こんな時は最近の多用している座右の銘の【困った時のダン】しかないな……。
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