久しぶりのドラゴン殺戮者
俺の横をシーファが歩く。その後ろを26人のエルフ達が連なって歩く。
新邸宅は帝都の東の外れになるが、それでも目立つ事この上無い。
この行列を見た男性がエルフの軍団に魂が抜けた顔を晒している。
これはどうしようもないよな……。
今回、ポーラとオリビアは修練のダンジョンに行くのを辞退した。ポーラの戦闘服がないからだ。
ポーラは今まで修練のダンジョンに入る予定がなかった。人数制限がある修練のダンジョンでは戦えない自分が貴重な人数枠を消費するのは申し訳ないと言っていた。
グラコート伯爵家に関わる人達を最低限レベルアップさせる方針と伝えたが、それすらポーラは固辞をしてきた。
しかし縛鎖荊により修練のダンジョンの人数制限が無くなるのなら、ポーラは喜んで俺に随伴したいそうだ。
我慢していたのかな? たぶんそうなんだろうな。
本当に素敵な女性だよ、ポーラって……。
早速、ポーラはオリビアを連れ立って装備を買いにいった。
あんなに心が浮き立っているポーラを見るとこちらも嬉しくなるよ。
考え事をして歩いていると修練のダンジョンの入り口に着いた。
最近はロックウォールで入り口を閉じる事はしていない。閉じてしまうとスミレが1人で入れなくなるからだ。
その代わりダンジョンを囲むように壁を設置し、壁の内部に通じる入り口には堅固な鍵を設置してある。
「ここが【王の階梯】なんですね。古に精霊王と始祖エルフ達が作ったなんて感慨深いです」
シーファの言葉を受けて修練のダンジョンの入り口を改めて見る。
何の変哲も無いダンジョンの入り口にしか見えない……。
まぁシーファの感慨に水を差す必要はないよな。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「ジョージ様! 凄いです!」
「おぉ! 正に神速のアイシクルアロー!」
「それよりも正確無比のコントロール! 繊細な魔力制御です!」
「ジョージ様の魔法は魔法の枠を超えています! 魔法では無くもはや神業です!」
俺はエルフ達から賞賛の言葉のシャワーを浴びていた。
何故そんな事になったかというとエルフ達から希望があったからだ。
修練のダンジョンには問題無く全員が入る事ができた。帰宅しようとしたが折角だからドラゴン討伐を見てみたいと言われた。
少し面倒ではあったがエルフ達から懇願の眼差しを向けられたら否と言う選択肢は既になかった。
そして今に至っている。
でも、来てよかった……。
女性の歓声や賞賛はどんな男もご馳走だろう。そして間違い無く魔法のノリが良い。
エルフ達よ! もっと俺を褒め称えよ! 脳汁がドバドバ出てくるわ! いくらでもドラゴンを連れて来い!
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
俺は調子に乗ってドラゴンを探しまくって討伐を繰り返した。
平均するとだいたい数キロ移動で次のドラゴンの場所まで行けるな。常時体内魔法の身体能力強化を使用しているため数分で一体の討伐になる。
俺は完全なドラゴン殺戮者と化していた。
少しだけ暴走してしまったな……。
反省はするが後悔はしない。これ大事。改めて心に刻んでおこう。
結局、1時間30分ほどの討伐で28個のドラゴンの魔石を得ていた。
皆んな一つずつドラゴンの魔石をリュックサックに入れて運んでいる。それにしてもリュックサックを持参してきたんだな。用意周到なことだ。
今までスミレと2人だと4時間で9個のドラゴンの魔石を得ていた。
今回は1時間30分で28個。運搬の時間を考えると4時間で2往復だろうな。
そうすると4時間で56個、今までの6倍以上の計算になる……。
こりゃいくらドラゴンの魔石でも価格の暴落は必至だな。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
修練のダンジョンを出るとシーファから声をかけられる。
「それでは我々は先に帰還します」
「え? ドラゴンの魔石は納品しないの?」
「一度にこれだけの量のドラゴンの魔石を納品すればいろいろと不都合が生じるとダン様より言われております。我々のドラゴンの魔石は一時的にグラコート伯爵邸で保管するとの事です」
ダンに言われているのか……。確かにこれだけのドラゴンの魔石が納品されたら、エルバト共和国との交渉にも影響を与えるよな。
やはりダンは先を見通しているよ。
「もしかしてリュックサックもダンに言われて持参したの?」
「はい、ダン様の指示です。運搬が楽になりますし、ドラゴンの魔石を街中で晒さないですみますから。ドラゴンの魔石の獲得能力をなるべく隠すように言われております」
俺がエルフ達に乗せられてドラゴンを狩りまくるのもダンの想定内の事なんだな。
【金髪の悪魔】の異名は伊達ではないか。
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