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ジョージは魔法の使い方を間違っていた!? 〜ダンジョン調査から始まる波瀾万丈の人生〜【文庫本発売中】  作者: 葉暮銀
地位に求められるモノ

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サイファとシルファ

 新グラコート邸にいたシーファを連れ出し、魔導団本部に向かう。


「ジョージ様に会うのは久しぶりですね」


 俺の少し斜め後ろをニコニコして歩くシーファ。


「ダンに聞いたけど、皆んなナタリーからメイド教育を受けているんだよね?」


「はい! ジョージ様の専任侍女として身の回りの世話をさせていただくのですから当然です!」


 こっちが引いてしまうほど、凄く気合いが入っているなぁ……。


「そういえばエヴィーが大人しくしているのが不気味なんだけど……」


「エンヴァラさんは結構やられていますね。まぁ私も怖かったですから……」


「うん? 怖いって何?」


「スミレ様です。エンヴァラさんがスミレ様に少し突っ掛かりまして。それでスミレ様が……」


「あぁ、なるほどね……」


 昨晩のアレをやったのか。魔力至上主義のエルフには恐怖以外の何物でもないな。あの魔力を向けられたらエヴィーにはキツいだろう。


「近くで見ておりましたが、思い出すと今でも震えてきますね。ジョージ様がスミレ様を選んだのも頷けます」


 いや結婚した時はあんなに魔力は無かったよ……。


 急に左胸を押さえるシーファ。


「ジョージ様がこの胸に刻印をなされた時に仰っておりましたが、確かに上には上がおりました。スミレ様と私達を比べる事自体間違っております。今後はジョージ様だけではなくスミレ様にも誠心誠意尽くさせていただきます」


 ニッコリと笑うシーファを見て、改めてスミレの怖さを感じてしまった……。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 久しぶりの魔導団本部だ。

 俺がシーファを従えるように歩いているのを団員が見てびっくりしていた。シーファをサイファ魔導団長と思ったんだろうな。


 既にプレッシャーを感じなくなった分厚い扉をノックして開けた。


「あら? ジョージ君、久しぶりね。……それにシーファもお久しぶり」


 サイファ魔導団長の言葉に眉を吊り上げるシーファ。


「幼名で呼ぶなと何度も言っているだろ!」


シーファ(・・・・)は相変わらず怒りやすいのね。そんなに簡単に怒っていたらシワができるわよ」


「フン! 余計な心配だ」


「貴女がここにいるって事はジョージ君が世界樹を破壊したってのは本当なのね……」


「あぁ、私もジョージ様と一緒に世界樹を消滅させたぞ」


「そっか……。シーファもやっと世界樹の呪縛から解放されたのね。でもこれでエルフの絶滅が決定的か……」


「ジョージ様がそんな事をするわけがないだろ? 既にジョージ様はハイエルフの同胞エヴィーから生命属性の上級魔法である受精賛美(じゅせいさんび)を既に習得されているわ! 貴様のような卑小な存在でジョージ様を測るな」


 シーファがいつの間にかダンみたいな事を言うようになっているな。もしかしてダンの影響?


「私が卑小だったらシーファはなんなの? 私達は双子よ? 結局は自分で自分を貶しているんじゃないかしら?」


「残念ながらサーファ、双子とはいえ貴女と私では今は隔絶した差があるのだよ」


「隔絶した差?」


 鼻を鳴らすシーファ。大きく胸を張り勝ち誇る。


「私はジョージ様の愛玩エルフになったからな。エルフの女性にとってこれに優る幸せなど存在しない」


「ふーん、ベルク宰相が私に隠していた情報がこれね……。どういう事かしらジョージ君? いくらなんでも元上司の双子の妹を性奴隷にするなんて、看過できない趣味をお持ちのようね」


 俺をジロリと睨み低い声を発するサイファ魔導団長。

 俺は慌てて事の経緯を説明した。


「それなら別にシーファを性奴隷にするわけじゃないのね。ジョージ君の話が本当ならシーファは押し掛け愛玩エルフって感じね」


「押し掛けでも何でもジョージ様が私を飼っていただけるんだ。入り口は別にどうでも良い事じゃないか」


 シーファの言葉にサイファ魔導団長は意味ありげに笑みを浮かべる。


「全然貴女と私で隔絶した差なんて全くないわね。だって私は望めばいつでもジョージ君に飼ってもらえるわ。それだけの関係性が私とジョージ君にはあるのよ。そうよね?」


 俺に流し目を送るサイファ魔導団長。

 そして畳み掛けるように俺の近くに寄ってきて俺の頬を撫でるように触る。

 背中に電力が走った。身体が硬直する。

 エクス帝国男性の自家発電のオカズNo.1と言われるサイファ魔導団長からこのような接触を受けたらしょうがない。

 とどめのように俺の耳元で囁くサイファ魔導団長。


「ね、私がお願いしたらジョージ君は私を飼ってくれるわよね?」


 俺は身体を固めたまま、いつの間にか頷いていた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 その後、新しいグラコート伯爵邸の建築に魔導団が助力してくれた事にお礼を言って帰宅した。


 何となく負けた感情をいだきながら。

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