新たな目覚め
グラコート伯爵邸に戻ると慌ただしく人が出入りしている。
先程、ダンに転居の指示を出したから早速始めたんだな。俺も荷物の整理を始めるか。
屋敷に入ると玄関ホールにスミレが立っていた。
「ジョージ、ちょっと良いかな?」
完全に俺の帰宅を待っていたな……。
スミレは朝食後、ポーラに連れられてエルフ軍団と会ったんだった。
金玉袋がキュッとしたが俺は素直に頷いていた。
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「まぁいろいろとエルフの皆んなから説明されたわ。それにしてもねぇ……」
なんだろ? この居た堪れない感覚。
きっと判決を待つ犯罪者の気持ちがこんな感じかもしれない。
しかし俺は自分自身に胸を張って言える。俺はスミレ一筋で頑張った。例え他人がそう見えなくても俺はスミレに誠実であり続けたはずだ。
大事な事は心に一点の曇りも無い事だ。
スミレ、俺の心はピカピカに光っているよ。
「ジョージが猫好きとは知らなかったわ。言ってくれたらいくらでもやるのに……」
なぬ!? 俺に猫耳属性はないが、スミレが語尾にニャンを付けながら甘えられたら骨抜きになる自信があるぞ!
「よくオリビア先輩の夜のお誘いを断ったわね。とても感心したわ。それにエルフ達と混浴もしたみたいね。それでどうだったオリビア先輩やエルフ達の裸は? 私より綺麗だった?」
これはキツい選択肢を突きつけられた……。どれが正解だ。
考えろ! ジョージ! お前ならこの危険地帯を無傷で抜けられる!
「女性の美しさに優劣は無いよ。それぞれがとっても綺麗だからね。そして俺はスミレの裸が一番好きだ」
ちょっと顔を赤くするスミレ。
これは正解を引いたのか。
「そうなんだ、ありがとう、素直に嬉しいわ。それにしても専任侍女のポーラに性的処理をお願いしてない事に吃驚したわよ。だからあんなにおかしくなっていたのね」
「スミレには専任侍女で性的処理をする事は別に問題ないと言われていたけど、俺には抵抗感があるんだよね」
意外そうな顔をするスミレ。
「あらそうなの? あんなにたくさんの専任侍女候補のエルフを連れ帰ってくるから、ジョージは受け入れたのかと思っていたわ。妊娠しにくい、容姿端麗、護衛ができる。確かにエルフの専任侍女は三拍子揃っているわね」
言われてみればエルフって専任侍女の仕事に適し過ぎているよな。
「それは誤解だよ。エルフ達が勝手に俺の庇護下に入りたいって言っているだけだ。俺から別に誘ってもいないよ」
「ふーん、そうなんだ……。でも飼うってどういう事?」
遂に来たか……。でもこれは避けては通れないよな。
「それも何度も断ってきたよ。だけどダンからエルフ達の気持ちを考慮した方が良いって説得されたんだ。俺も未だに引っかかっているよ」
スミレは観念したように溜め息をついた。
「まぁわかったわ。でも一つ約束して。危ない事はもうしないって」
「危ないこと?」
「あのハイエルフの事よ。世界樹から解き放ってすぐに攻撃してきたって……。シルファさんから聞いたけど紙一重の勝利だったって……」
確かに今思い返しても危なかったな。本当に紙一重だった。ひとつ間違えば俺がエンヴィーの奴隷になっていたわ。
「確かにあれには肝を冷やしたな。わかった約束する。もう危険な事は極力避けるよ」
「約束だからね。私はジョージがいなくなる事なんて耐えられそうにないんだから……。こんな私にした責任はしっかりととって欲しいニャン!」
スミレは赤い顔をして猫耳を模した両拳を頭の上に乗せている。
俺が真正の猫耳属性に目覚めた瞬間だった。
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