限界? 我慢? 努力? なにそれ美味しいの?
俺は馬車の中でエヴィーから生命属性の魔法の説明を受けていた。
「生命属性の魔法は他の属性と根本的に違うのじゃ。生命属性の魔法は対象に介在する。その為、繊細な魔力操作が必須になる。ハイエルフなら初級程度の生命属性の魔法は使える。エルフでは使いこなすのが難しい」
「あれ? 根性魂はそれなりに使える人がいたんじゃないの?」
「当たり前じゃ。ハイエルフなら9割くらいの奴が使えていたわ。エルフだと1000人に1人くらいか」
「たぶんだけど、ハイエルフってもう存在していないと思うよ。エルフで1000人に1人くらいしか使えないのなら、生命属性の魔法は長い年月で廃れてしまったんだろうね」
「ハイエルフはもう我だけか……。世代を重ねれば精霊の割り合いが減ってハイエルフでなくなるのもしょうがないわな。我が囚われる前でもハイエルフは既に減少しておったしな」
ちょっとしんみりした雰囲気になってしまったな。
「それよりエルフの繁殖を助けていた魔法を教えてくれ。今回の遠征はそれが目的なんだよ」
「その魔法はエルフの存亡に関わるものじゃ。使用できればエルフに対して絶大なる力を持つ事になるのぉ。縛鎖荊と同じで生命属性の魔法の上級魔法に当たる。どうせ我かご主人様にしか扱えん魔法じゃからご主人様に教えても問題はない」
エヴィーは少しもったいぶったが教えてくれるようで安心したよ。
こうして俺は生命属性魔法の受精賛美を覚えた。
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3月3日〜3月22日
帝都までの道中はゆったりとした時間が流れていた。
馬車の中ではポーラの膝枕で頭を撫でられてリラックスしたり、エヴィーから魔法についていろいろと教わって過ごした。
日に日にエヴィーとポーラの距離感が近くなっているのを感じる。
ポーラは何をしているのだろう? まぁ仲良くやってくれるなら問題はないな。
茜師匠とオリビアは空いた時間があれば模擬戦ばかりしている。二人とも基本的に脳筋だよな。
カタスさんはエンヴァディア代表になるマルスさんと打ち合わせに忙しそうだ。まぁ俺には関係ないな。
元エンヴァラ親衛隊のエルフ達から正式に俺の傘下に入りたい旨を告げられる。
シーファ同様、グラコート伯爵家臣団に入りたいそうだ。そのうちの数名が俺に飼われたいと申し出があった。
俺は帝都にいるダンがグラコート伯爵家臣団の責任者になるから、ダンに話すように伝える。
シーファの統率が良いのか、エルフ達が俺に必要以上に接触する事はなかった。遠目からプリちゃんが俺を頻繁にジッと見ていたけど……。
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3月23日【白の日】
もう少しだ……。
今日の午後には帝都に着く。
いろんな意味で限界だな……。
先日思い出した座右の銘である【我慢を重ねる程に快楽は増していく】。
それならばスミレと肌を合わせる数日前から自家発電を止めればとんでもない快楽を得られるのではないか?
もうこれからこんなにスミレと肌を合わす事のできない期間は無いだろう。最初で最後のチャンスかもしれない。
そう思って自家発電禁止にして1週間経った……。
精神的にも肉体的にもいろんなところがパンパンだよ……。
三日前から俺は馬車での移動を止めて馬に騎乗している。
どうしてもポーラと茜師匠とエヴィーと狭い密室空間にいられなくなっていた。
間違って襲いそうになってしまう。三人とも襲われても問題無いと言うから始末に悪いわ。
乗馬はあまり得意ではなかったがしょうがなかった。でも魔力の体内循環のおかげか以前と比べて乗馬が疲れなくなっている。
半日乗っていれば足がパンパンになっていたのが懐かしい。
しかし気を抜くと股間が乗馬の振動によって違うものもヌケそうだ……。
限界は自分で決めるものと言う人がいる。
しかしそれは真理ではない。この言葉は一般化できない。そのような分野もあるって事だ。
いくらでも我慢や努力ができる事柄もあるし、限界が必ず存在する事柄もある。
空腹を我慢して断食した場合、生物的な限界があるだろう。
現在、俺は性的に我慢している。そして自家発電も禁止して性的なものを身体に溜め込んでいる。これは身体的に限界がある事柄だ。
何かの拍子に爆発するかもしれない。
それでもこの溜まりに溜まったものをスミレに……。
もう何度目かの限界を乗り越えた時、待ち望んだ帝都が見えてきた。





