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巷の噂

 プリちゃんに【()め回すような視線】をおこなった次の日、プリちゃんは俺が触れなくても勝手に性的絶頂を迎えていた。

 あの時は【()め回すような視線】から時間が経っていなかったため、その影響が残っているのかなって思っていた。これは例外中の例外、そうそうそんな事は起きないだろうと軽く考えていた。

 しかしシーファまでとなると話は別だ。これは例外中の例外ではなく頻繁に発生するんじゃないか?

 そんな事になったらどうなる?

 きっと(ちまた)では……。


「ジョージ伯爵は美しいエルフを触らずに昇天させるそうだ!」


「ジョージ伯爵は魔法だけでなく性技にも精通しているのか!」


「恐ろしい、ジョージ伯爵と目線を合わせるだけで女性を孕ます事ができるそうだ」


「急げ! 皆んな奥さんと娘を隠せ! 知らない間に妊娠してしまうぞ!」


「皆んな聞いたか! サイファ魔導団長が公衆の面前で派手にイッたらしいぞ!」


「いやあれはサイファ魔導団長の双子の妹だそうだ」


「そんな事はどっちでも良い! あの容姿端麗のサイファ魔導団長を彷彿とさせる女性の性的絶頂顔を拝めるんだぞ! 一生のオカズになる! グラコート伯爵邸に急げ!」


 あぁ、駄目だ……。なんとかしないと……。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 食事の用意ができる間、俺は以前使用していた部屋でエヴィーに質問をする事にした。


「なぁ、俺にエルフについて詳しく教えてくれないか? シーファもプリちゃんも俺の言葉や仕草だけで簡単に性的絶頂を迎えてしまったんだ。こんな話は聞いた事がないし、知り合いのエルフでもそんな事は無かったぞ」


 俺が知っているエルフといえばサイファ魔導団長だ。そのサイファ魔導団長は俺と話をしていて性的絶頂を迎えた事なんてない。

 もしあったら俺の右手のお供になっていたよな。


「ほぉー。さすがご主人様じゃな。そんな話は古代時代の伝説のエルフ王でしか聞いた事がないぞ」


 一応、実例があるのかな?


「ご主人様は感情が高揚している時に魔法の威力が上がった事はないか?」


「あぁ、あるな。嬉しくて感情が高まっている時はいつもより魔法の威力が上がるよ」


「それは感情に魔力が引っ張られるから起こる現象じゃ。先程の質問の場合は逆じゃ」


 逆って事は魔力に感情が引っ張られるって事か?


「ご主人様はシルファとプリアに対して性的快感を伴いながら屈服させた事があるんじゃないか?」


 確かに()め回すような視線と猫耳裸土下座でやっているな……。


「心当たりがあるようじゃな。ご主人様は本当に罪作りな男じゃ。エルフは無意識に魔力によって格付けをする。その格付けで2人はご主人様に屈服させられた。それも性的快感を伴って……」


 それって……。


「屈服された魔力が感情を引っ張るのじゃよ。この場合は過去の記憶の性的快感を想起させているのじゃろう」


 エルフってそんなに変態なの? エロフやん! エロフって都市伝説じゃないのか!!


「そんな話は聞いた事ないよ。それならエルフは四六時中、性的絶頂してばかりで普通の生活が送れないだろ」


「馬鹿を申せ。シルファやプリアの状態は例外中の例外じゃ。まずは魔力の格付けで相手を容赦無く屈服させるには圧倒的な隔絶した魔力の差が必要になる。魔力に優れているエルフを屈服させるなんてハイエルフでも至難の業じゃ。それをご主人様はやってしまっておる。それも性的快感を教え込んでな(・・・・・・)


 お、教え込んだ覚えなど断じてない! しかしシーファもプリちゃんも俺を介してこの状態になってしまったんだよな……。

 うん? なんかエヴィーがモジモジしている。


「我はご主人様に既に屈服しておる。何故に性的快感を伴って屈服させてくれぬのじゃ」


「『くれぬのじゃ』じゃない! シーファもプリちゃんも勝手にそうなっただけだ!」


「そうなのか? そんな事があるのか?」


 疑いのまなこを俺に向けるエヴィー。今日はギュンターさんにも同じ目線を送られた……。

 これもそれも全ての元凶はエルフ改めエロフのせいだ。


「確かに二人を屈服させる時には少し特殊な行為をしたよ。それで勝手にシーファもプリちゃんも性的快感を感じたんだろ。俺に他意はない」


 …………。エヴィーの疑いのまなこは変わらない。

 しかしここは胸を張る! 一点の曇りも無い心境になるんだ! それが自信につながり確信につながる! 俺が言っている事が正しい! それが違うというのならばそいつが間違っている!


 ………………。

 エヴィーの視線に耐えられそうにない……。

 きっと客観的に見れば白々しい空気が流れているんだろうなぁ……。


 その時、食事の用意ができたとシーファが呼びに来た。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 食後、今度はシーファとプリちゃんを部屋に呼び寄せた。

 シーファもプリちゃんもニコニコして喜びを隠せない。


 これはこれで男として嬉しいけれどな……。


「2人を呼んだのは他でも無い、まずは現状を認識してそれに対する対策を練るためだ」


 キョトンとしている2人。俺は構わず危惧している事を話し出す。


「シーファもプリちゃんも、俺が触れてもいないのに性的絶頂に達していたよね。原因についてはエヴィーにエルフの特徴を聞いたりして俺なりに理解した。ただこのままだと2人をエクス帝国の帝都に連れていくわけにはいかない」


「何故ですか!」


 シーファが声を張り上げる。


「そりゃそうだろ。考えてみてくれ。(おおやけ)の場でシーファやプリちゃんがあられもない姿を晒してみろ。グラコート伯爵家にとって醜聞以外の何物でもないわ」


 絶望感に包まれた顔をするシーファ。反対にプリちゃんはニコニコしたままだ。なんでだ?


「プリちゃんは悲しくないのかな? このままだと連れていけないって言っているんだけど」


「問題ありません。公の場に出なければ良いのですから。私を室内愛玩エルフとして飼うって事ですよね。ジョージ様の趣味嗜好にはできる限り合わせます。それくらいは全然許容範囲内ですよ」


 あ、やっぱりプリちゃんは痛い()だよ……。


「そうじゃない。室内愛玩エルフってなんなんだよ。室内専用で飼うわけがないだろ。他人の目があるところで性的絶頂を迎えないようにして欲しいんだ。二人ともできるかな?」


 スッと真剣な顔になるシーファ。


「それができないとジョージ様のお側にいられないのなら必ずやご期待に応えます」


「ありがたい、俺もいきなり目の前で腰砕けになられると吃驚するからね。それに帝都でシーファの性的絶頂に達した姿を公に晒してしまうとお姉さんのサイファ魔導団長にも迷惑がかかりそうだから」


 サイファ魔導団長はエクス帝国軍の憧れだもんな。瓜二つのシーファが性的を感じさせる姿を見せたら誰もがサイファ魔導団長を連想してしまうよ。

 俺は他人にオカズ(・・・)を提供するつもりは断じて無い。


「プリちゃんは大丈夫そう?」


「わかっていましたが、やっぱりジョージ様の趣味嗜好は嗜虐的ですね。望むところです! こういうのが大人の遊び(・・・・・)なんですね。奥が深いです。少しずつ覚えていくのでよろしくお願いします!」


 は、嗜虐趣味? 大人の遊び?

 コノコハナニヲイッテイルノカ?


「どういう事かな?」


「ジョージ様は性的快感を感じていながらも絶頂を我慢する私達の姿を見たいんですよね。なかなか尖った嗜好ですが、それでジョージ様に喜んでいただけるなら頑張ります!」


 完全にプリちゃんは変態だよ……。そんな嗜好が俺にあるわけがないじゃん!


 うん? でも本当かな?

 人の目がある中でスミレが性的快感を得ながら絶頂を我慢し平静を装う。しかしその冷静な顔も薄皮一枚剥けば狂おしいばかりに女性(・・)が騒いでいる。そしてそれを俺だけが知っている……。


 た、堪らん……。なんという破壊力!

 プリちゃんのせいで新しい扉を開いてしまったわ。

 でもこれって俺にとってはスミレ限定だよね。


「悪いけどそんな嗜好は基本的(・・・)に無いな。ただ普通に生活する上で頼んでいる事だよ」


「あ、そうなんですか? でもジョージ様のお願いですから頑張ります! これからもジョージ様の愛玩エルフとして頑張りますのでよろしくお願いします!」


 この娘の中では既に俺の愛玩エルフ確定なのか?

 一応、釘を刺しておこう。


「プリちゃん。何か既に俺の愛玩エルフになっているつもりみたいだけど、俺は承知していないよ。この件は帝都に帰ってからグラコート伯爵家臣団の責任者のダンに一任する予定だからそのつもりでね」


「了解しました。でも大丈夫です。ダンさんにも私の気持ちは伝わるはずですから!」


 何事も前向きなのは良い事だが、限界はあるよな……。

 でも満面の笑みを浮かべるプリちゃんを見ていると、自然と俺の口角が上がっていた。

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