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腰砕け

 エルフの集落から前線の砦までは下りになっている。行きの半分の時間で砦に着く事ができた。なんとか日が落ちる前に着いてホッとしたよ。


 砦には守備人員が残っていたけど、俺と混浴をしたエルフ達は全てエンヴァラまで付いてきていたんだな。

 守備人員として残っていたのはエンヴァラ軍元帥(げんすい)であったクロル・ウィンミルに付いてきた男性のエルフばっかりだった。


 砦に入るとマルスが守備人員に集合をかけた。これまでの経緯を説明するようだ。

 それを見たシーファがすぐに俺に近寄ってきた。


「ジョージ様、まずは食事にしますか? それとも入浴されますか?」


「そうだな、取り敢えず食事にしようか。食事の用意は任せて大丈夫?」


「お任せください! 腕に()りをかけてイノダンの特製料理を作らせていただきます!」


 イノダンってあの賢者モードを破壊する肉だよな……。


「あ、イノダンの肉は禁止な。ただでさえ禁欲生活を送っているのに精力を増強させたら大変だからさ」


 俺の返答に目を見開くシーファ。


「何を言っているんですか! 確かにイノダンの肉は精力増強の作用もありますが、それはあくまでも副次的効果です。滋養強壮が主たる作用ですよ。これからエクス帝国の帝都まで移動するわけですから、ジョージ様には体力をつけていただかないと困ります! それに精が溜まってしまっているのなら発散させないと身体に害を及ぼします。後ほどこのシーファがジョージ様の精を解き放させていただきますから」


 サイファ魔導団長と同じ顔でそんな事を言われるとどうしても心がグラついてしまう。

 「お願いします!」と高らかに言ってしまいそうだ。

 おまけに何となくスミレに言い訳ができる提案もされている。


 いやスミレに言い訳している状況を想像してみろ。

 エクス帝国までの長い移動で身体を壊さない為にイノダンの肉を食べた。そうしたらイノダンの肉の副次的効果で精力がはち切れんばかりになった。精を溜め込むのは身体に悪いからシーファに解き放ってもらった。てへっ!


 …………。無理だな。強引過ぎる言い訳だよ。


「悪いけどやっぱりイノダンの肉は無しね。普通の食事にしてくれ。もし俺が違和感を感じた場合はわかっているよね?」


 間違いが起きないように俺は少しキツめの言葉をシーファにかけた。


「ぁ、あぁ……」


 うん? シーファの目が潤んできた。そして両手で左胸を押さえる。


「了解致しました……。ジョージ様に私如きが意見を言って申し訳ありませんでした……。そして本当にありがとうございます……」


 目元が定まらず、フラフラしている。倒れると思い俺は慌ててシーファの腰を支えた。

 その刹那、俺の腕の中でシーファが震える。足に力が入らないようで腰砕けだ。


「す、すいません、ジョージ様……」


 とろんとした目で俺を見つめるシーファ。

 これは完全にイッたな……。プリちゃんと同じじゃないか……。

 エルフってなんなんだ!? 俺の言葉だけで性的絶頂を迎えるなんておかしいぞ?


「あのさ、落ち着いてからで良いけどシーファにいろいろと確かめたい事があるんだけど良いかな?」


「あ、はい! それなら早く食事を作らないとダメですね。誠に申し訳ありませんが着替えをしてから取り掛かります」


 あ、なるほど、下着くらいは変えないとね……。


「あぁ、任せるよ。部屋は前に使ってたところで良いかな? 用意ができたら呼んでくれ」


 シーファは覚束ない足取りで着替えをしに行った。

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