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最後通牒

2月19日【青の日】


 帝都を発ったのが1月21日。馬車で22日、ヒャッハー!の領域を徒歩で7日。やっとエルフの里がある大森林の入り口に着いた。

 ここから大森林に入り、徒歩で2日の距離にエルフの里はある。しかし大森林は獣道しか無いんだけどね。

 まぁ獣のような眼をした俺達には獣道がお似合いかもな。


「これから大森林に入るけど、ジョージさんは今までのような先制攻撃でアイシクルアローを放つのを控えて欲しいんだ。近寄ってくるのがエルフの里の者かもしれない。確認をしっかりと取っていきましょう」


 発見!即滅!は駄目と……。まぁ魔力ソナーで相手の場所はわかるし、大声でこちらに敵意が無い事を叫べば大丈夫かな? エルフのライドさんもいる事だから、エルフから攻撃されないよね?


「了解、だけどもし攻撃されたら攻撃するからね。取り敢えず殺さないように善処はするけど」


「前触れの使者が捕らえられている可能性が高いからあまり良い感じじゃ無いんだよね。戦闘になる可能性もあるから気をつけていきましょう」


 発見!即滅!ができないとなると攻撃される場合もあるよな。エルフは魔法に長けているし、伝統的に弓が得意だから遠距離からの攻撃に備える必要がある。

 これは久しぶりに愛刀【黒月】の出番があるかな?


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 このまま真っ直ぐ行くと数十人が固まっているところに行き着くな。


「このまま進むと数十人が固まっているところに到達しますよ。あの集団はエルフですかね?」


「それはたぶんエルフの里の砦ですね。ジョージさんの魔力ソナーは20km以上だからもう範囲内でしょう。それにしてもやはり凄い魔力ソナーの範囲距離です。もしかしたらその奥にあるエルフの里も範囲内ですか?」


 どうだろう。あまり遠いと意識しないと把握しにくい。どれ、集中してみるか。


「ちょっとやってみるね」


 俺は立ち止まり木を背にして目を閉じる。

 魔力を前方に伸ばしていく。広く、広く。薄く、薄く。

 さらに広く、広く。薄く、薄く。


 前方の数十人の魔力反応を越えて魔力ソナーを伸ばしていく。

 あまりにも遠くになると魔力の識別が難しいな。俺の魔力は届いているはすなんだがボヤけてしまう。


「駄目ですね。魔力ソナーは展開できてますが、ある一定の距離を越えるとボヤけてしまいます」


「ボヤける!? そんか感じなんですか! これは新たな発見かもしれません。今までジョージさんほど魔力ソナーの有効距離が長い人はいませんでしたから」


 そりゃそうだ。エルフの長老でも200m前後って言ってたもんな。俺はしっかり測っていないが20km以上はあるからエルフの長老の100倍以上かぁ。

 暇ができたら、いろいろと試してみたいな。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 木々の隙間から前方にあるエルフの里の砦が見えてきた。砦からは27人の魔力反応を感じる。


「それではジョージさんとカタスさんはここで待機していてください。私が先に行って説明してきますから」


 そう言ってライドさんは砦に向かって歩き出す。


「開門!! ライドだぁ! 開門!!」


 砦の壁の上から数人のエルフが顔を出してきあ。

 そして何の躊躇も無く、ライドさんに弓を射掛ける。その数秒後には魔法が放たれた。


「こら! 止めろ! ライドだ! 冗談では済まされないぞ!」


 無言で弓と魔法を放ってくるエルフの集団。これってヤバくない?

 どうする? 軍人には即断・即決・即行動が必須。まずは弓だけ壊すか。


静謐(せいひつ)なる氷、悠久(ゆうきゅう)の身を矢にして貫け、アイシクルアロー!】


 最小限の魔力で方向の制御に全集中。

 弓矢を射っているのは3人。その弓矢の(つる)が目標だ!


「なっ!」「おわっ!」「えっ!」


 砦の壁の上から驚いた声が何となく聞こえた。上手くいったな。

 レベルが上がってから、視力が上がっているからここからでも良く見えるわ。


 魔法を放っていたエルフも驚いて固まっているや。今なら大丈夫かな。


 俺は【黒月】を鞘から抜き、砦に歩き出した。砦の上のエルフ達は優然と歩く俺を凝視している。俺は魔力ソナーでエルフの居場所を確認し、変な動きが無いか慎重に歩を進めた。

 声が届く位置まで砦に近づき大声を張り上げる。


「俺はエクス帝国のジョージ・グラコートだ! 先程の攻撃はグラコート一行と知っての事か! これ以上こちらを攻撃をする場合には問答無用で殲滅させてもらう!」


 俺の宣言に反応を示さないエルフ達。


 あぁ、馬鹿な奴等だな。


静謐(せいひつ)なる氷、悠久(ゆうきゅう)の身を矢にして貫け、アイシクルアロー!】


 先程とは違い200本の氷の矢が俺の左右の森に向かって放たれる。


「うおっ!」「ばっ!」「きゃっ!」「がっ!」


 右に2人、左に2人を展開しようとしていたな。俺達の背後に回り込もうとしたのだろうけど、魔力ソナーでバレバレだよ。

 殺すと後々揉める可能性が高くなるから、アイシクルアローは1mの円で囲むように着弾させた。これならワザと外したのが理解できるだろう。


「今の行為でそちらには攻撃の意志があると判断した! 俺の忠告を聞かなかった事を死んでから後悔しろ! しかしここにいるライドと、大恩あるエクス帝国魔導団長のサイファ・ミラゾールの同族であるエルフを殺すのは(しの)びない! 30分時間を与える! 武装解除して砦の門を開け! 怪しい動きをする奴、又は砦から逃げる奴は遠慮なく殺す! これは最後通牒だ! 今度は選択を間違え無い事を願う!」


 さぁ、エルフ共はどうでるかな?

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