脱衣模擬戦!?
12月28日【黒の日】
昨日、スミレとの会話で自分の弱さを自覚した。大事なことは自分で考え、自分で行動することだ。
俺はスミレに嫌われたら生きていく自信がない。
努力した結果、スミレに愛想を尽かされたらしょうがないが、自分の浅はかな行為でそうなったら悔やんでも悔やみきれない。
危険は排除していくしかないな。
アリス皇女と会うのも中止にしよう。年明けにベルク宰相に相談だ。
俺は朝日を浴びながら裸で瞑想しているスミレを凝視しながら考えに耽っていた……。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
12月29日【白の日】
今日は久しぶりにスミレと模擬戦を行なう事にした。
不穏なタイル・バラス公爵がいるからな。ベルク宰相からも警戒するように言われたし。
近接格闘の強化をしといた方が良いよね。
【堅固なる岩石、全ての災いを跳ね返す壁となれ、ロックウォール!】
俺とスミレを囲むように裏庭に土壁が聳り立つ。
これで外からの視線は完全に遮断できた。
「ねぇ。本気なの? 最近ジョージが少し怖くなってきたわ……」
「本気に決まっているだろ。俺は腹を括ったんだ。これから一生スミレしか見ないって。つまりはスミレでしか欲情しないことにしたんだ。スミレには当然俺の性欲を全て受け止めてもらわないと困るよ」
「努力はするけど、歯止めが利かなくならないかしら? あまりにも変態行為だと私も付き合えないわよ」
「スミレ。愛し合う夫婦にとって変態行為なんて存在しないんだよ。相手を想い合っているからね。俺はスミレの痛がる行為はしないよ。また嫌がる行為もしない。ただ恥ずかしい行為はお願いしちゃうな。俺のためならその恥ずかしい行為を受け入れてくれるスミレに興奮するからね」
「それじゃ私が全裸で模擬戦するとジョージが喜ぶわけね。でも不真面目な訓練にならない?」
「何を今更……。いつも裸やビキニアーマーでドラゴン討伐しているじゃん」
「そうなんだけど、ジョージはいつもエッチな、事ばかり考えているから。そこもジョージの魅力ではあるんだけど、たまにはエッチな事を離れて真剣になるのも良いかなって」
エッチを離れて真剣になる!?
スミレは何語を話しているんだ?
これが巷に聞いた【言語明瞭意味不明】か……。
俺が呆然としているとスミレが何かを思い付いた顔をする。
「あ、それなら模擬戦でジョージが一本私から取ったら服を一枚脱いでいくわ。目標があればジョージもヤル気が出るでしょ」
何!? だ、脱衣模擬戦だと……。
神々のお遊びに違いない。
スミレは天才か!?
この方法を取れば俺の集中力は天井知らずの青天井!
まさにヤル気が出る。
「構えろ。スミレ。すぐに素っ裸に剥いてやるからな」
模擬戦用の剣を正眼に構えるスミレ。
「あら、一本取られたらジョージも脱ぐのよ。恐怖を感じてジョージくんが縮こまるのを直接見てあげるわ」
獲物を狙う目になるスミレ。俺の背筋にゾクゾクとした快感が走ってしまった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
現在、俺は裏庭で全裸で正座している。
汗が引いて冬の風が少し寒い。
そして目の前には腕を組んで俺を見下ろすスミレ。
「私から一本も取れていないのに、私を押し倒そうとするのはないんじゃないかしら?」
模擬戦でのスミレの動きは流麗だ。
流れるような身体捌き。俺の剣の切っ先をコンマ数ミリ単位で躱していく。まさに芸術。
流れる髪、揺れる胸、そして真剣なスミレの表情に俺の本能が溢れ出したのは当たり前だよ。
「私を素っ裸に剥くことができたらジョージの好きなようにして良いけどね」
クソ! 近いうちに、この剣士モードのスミレを俺の腹の下に組み敷いてやる!
しかし俺とスミレでは剣の技量の差があり過ぎる。
どっかの剣術道場に通うしかないかなぁ……。