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解けないパズル【スミレ視点】

 ここから140話からのスミレ視点になります。数話挟む予定です。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


11月7日【青の日】


 ベルク宰相からエクス帝国の軍人の引率をドラゴン討伐にして欲しいと申し出があったとジョージが相談してきた。

 私はソロでドラゴン討伐はできるが、引率する人を守り切る自信がない。これはさすがに反対だ。


「私は反対したい気分だわ。ジョージにかかる負担が増えるから。私がサポートできなくなるもの」


「確かに軍隊の実力の底上げをやるのが俺だけになるもんね。でもたぶんずっとじゃないよ。ある程度の人数が終わったら元に戻せば良くない?」


「一度地下4階で実施したら、もう元には戻せないと思う。それだけ地下4階は効率が良過ぎるもの」


「う〜ん、そうかもね。でもロード王国の軍隊を強くするのは喫緊の課題だと思うんだ。ロード王国の軍隊が強くなれば、辺境の地の争いも減ると思うし」


 ジョージの言う事も理解できる。でもジョージに負担が多くなってしまう。

 私が引率できないのはドラゴンと接近戦しかできないからだ。どうしてもドラゴンに火の玉を吐かれてしまう。

 ジョージのような魔法が使えるようになれば、火の玉を吐かれる前に討伐できるか……。


「そうね。そうだよね。私の気持ちよりも実利を取ったほうが良いわね。分かったわ。私も賛成する。それがロード王国の国民のためになると思うから」


「よし、それなら明日ベルク宰相に返事をしてくるよ」


 明日からは魔法の特訓を頑張らないと。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


11月8日〜11月25日


 午前中はジョージとドラゴン討伐。

 最近は上半身に何も着ない時がある。ジョージの要望だ。ジッとジョージに胸を見られているのをヒシヒシと感じる。意識すると恥ずかしくなるから意識しないようにしているけど。

 午後はジョージと別行動だ。ジョージは軍人を引率してドラゴン討伐。私は魔導団の魔法射撃場にお邪魔してみた。


 やはりドラゴンを魔法で単騎討伐となるとジョージが使用しているアイシクルアローが最適か。

 長く騎士団に在籍していた私は体内魔法の鍛錬ばかりしていた。体外魔法は専門分野外だ。

 それでもやらないと。まずは丁寧に始めるか。


静謐(せいひつ)なる氷、悠久(ゆうきゅう)の身を矢にして貫け、アイシクルアロー!】


 一本の氷の矢が的に向けて発射され命中した。


詠唱速度 C

魔法精度 A

魔法威力 5,256


 魔法精度がA判定か……。

 確かジョージが修練のダンジョンに入り始めた頃は魔法精度はS判定だったはず。オーガを倒していた時がSS判定だ。

 まずはS判定を目指すか。

 ドラゴンを討伐する事を考えると最低10本の氷の矢が必要か。圧倒的な速さも必要だろう。

 まずは10本の氷の矢で練習だ。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


静謐(せいひつ)なる氷、悠久(ゆうきゅう)の身を矢にして貫け、アイシクルアロー!】


詠唱速度 B

魔法精度 A

魔法威力 54,543


 何度挑戦しても魔法精度はAからピクリとも動かない。詠唱が慣れてきたのか詠唱速度がB判定になった。

 魔法威力は10本分のため結構な数値が出ている。これ以上強くすると的を破壊しそうだ。

 魔法精度を上げるためには魔力ソナーの鍛錬しかないのか? でも魔力ソナーは頭打ちになっている……。やっぱり無理なのか?

 いや諦めるのは早い。魔力精度を上げるのは続けるべきだ。ただ違う方法も模索する必要がある。足掻くだけ足掻いてみよう。できる、できないじゃない。やるかやらないかだ。

 そして私は必ずやり遂げる。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 私の魔力ソナーは200m弱で頭打ちになっている。ドラゴンがこちらに気がつくのは500〜600m。索敵では完全に負けている。ただ魔力ソナーで索敵をする必要はない。ドラゴンの巨体だ。視覚で充分こちらが先に発見する事は可能だろう。火の玉を吐かれる前にドラゴンに接近して討伐する。果たして可能なのか?


 ジョージとの2人でのドラゴン討伐時に確認してみる。

 残念ながらドラゴンに近づく前に火球を吐かれてしまう……。私が躱した火球が後ろのジョージに向かっていく。

 ジョージの身体能力なら躱すのは容易だが、魔導団の隊員だと直撃する可能性もある。

 火球を【雪花】で斬り捨てることもできるが、後衛に火球の残骸が直撃するかもしれない。やっぱり安全を確保するなら火球を吐く前に討伐したい。

 まるで解けないパズルを考えている感覚だ。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


11月26日〜12日1日


 11月26日はジョージの誕生日、12月1日は私の誕生日。この間の6日間はジョージと話し合って完全休養にした。

 それにしてもジョージの性的な考案には毎回驚かされる。

 この完全休養の1週間は曜日の色に合わせて透け透けの寝間着を用意していた。

 私で性的な興奮をしてくれる事に喜びは感じているけど……。


 またいきなりジョージがグラコート伯爵誕生祭を開催したいと言い出した。

 ベルク宰相が開催に許可を出したから問題はないのだろう。それにしてもジョージの発想には驚かされる事が多い。私が生粋の貴族だからだろう。


 新しい屋敷の設計でもそうだ。

 ジョージの私室以外に専用の部屋が欲しいみたい。ジョージが私の絵を1人で楽しむ部屋って熱弁していたけど……。

 寝室の間取りもジョージが細かく設計した。画期的な部屋ってこれも熱弁していた。

 まぁ好きにさせようか。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >最近は上半身に何も着ない時がある ブラジャーはつけないと痛いと思う、下半身にした方が良いかと(何を言ってるんだ?)
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