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ギルド長とのモンスターハウス

魔導団第一隊修練部7日目。

 午前中はいつも通り騎士団第一隊の人と修練のダンジョンでオーガ討伐。今週まで全て騎士団第一隊の人との事。来週から魔導団の人を連れて行く事になる。


 今日の午後は訓練を中止して冒険者ギルドの担当者に修練のダンジョンの説明になる。

 魔導団本部の会議室を使うことになった。冒険者ギルドからは大柄な男性と細身の女性が来た。大柄な男性が大きな声で挨拶をする。


「エクス帝国冒険者ギルドのギルド長のライオスだ。こちらがギルド統括事務のキャサリンだ。今日はよろしく頼む」


「私が魔導団第一隊修練部部長のジョージ・モンゴリです。こちらが補佐のスミレ・ノースコートです。東の新ダンジョン、今は修練のダンジョンと呼ばれていますが、私たち2人で1ヶ月間調査をしました。今日はその調査結果を説明させていただきます」


 スミレさんが修練のダンジョンのマップを広げて説明を始めた。唸るギルドマスター。


「それじゃ何かい。この修練のダンジョンは2人しか入れない。地下1階と地下2階は金にならないカスダンジョン。地下3階は破壊の権化のオーガが出没するということか。毎日納品されている魔石は全てオーガを倒しているってことか?」


「そうですよ」


 俺を睨むギルド長。怖いなぁ。


「今は毎日100個くらいの大きな魔石が納品されている。2人パーティでオーガを100体倒すってことか。それも半日で。そんな話は信じられないな。どこか旨味のあるダンジョンなんじゃないのか? それを隠しているとしか思えない」


 スミレさんの片眉が少し上がった。


「あなたが信じようと信じまいと真実しか話しておりませんからどうぞご勝手にして下さい」


 あ、スミレさんが怒っている。ヤバい。ここは俺の出番だ。


「それなら今から修練のダンジョンにお連れしますよ。ギルド長自ら確かめてください。ギルドマスターは身体能力向上ができますか?」


「馬鹿にするな! これでもBランクの冒険者だぞ!」


 おぉ! Bランク冒険者! Cランクになってから15年経過かな? たぶん偉業じゃないよね。


「それなら安心です。じゃスミレさんはサイファ団長に報告しておいてください。その後、冒険者ギルドのキャサリンさんと他の冒険者の受け入れ方法を考えておいてください。俺はギルド長と修練のダンジョンに行ってきます」


「今日は剣すら装備していないぞ。用意をするから待ってくれ」


「必要ありません。ギルド長はただ俺に付いてくれば良いですから。たぶんそろそろモンスターハウスのオーガが復活してますね。そこまで行って帰ってくるだけですから」


 疑いの眼差しのギルド長を無理矢理連れ出した。

 冒険者に流れている噂も冒険者ギルドが発生源じゃないのか? あれだけの魔石を納品していれば旨味のあるダンジョンと考えているよな。


 身体能力向上を使って走って修練のダンジョンまで来た。


「それでは今から修練のダンジョンに入ります。俺の後ろから離れないようにしてください。前には絶対出ないように」


 ギルド長の返事も聞かず走り出す俺。魔力ソナーにはギルド長の魔力反応がある。問題無し。

 途中のコボルトとゴブリンを剣で斬り伏せていく。魔石は無視だ。すぐに地下3階に続く階段に着いた。


「それではこれから地下3階におります。オーガが出ますので勝手な行動はしないでください。オーガのモンスターハウスに行って帰ってくるだけです」


 何か言いかけたギルド長を無視して走り出す。前方にオーガが2体。


【火の変化、千変万化たる身を矢にして穿(うが)て、ファイアアロー!】


 眼球に命中して崩れ落ちるオーガ。一応拾っておくか。魔石になるのを待つ。

 驚愕の表情のギルド長。やっと無口になってくれた。

 魔石を拾ってリュックサックに入れる。また走り出す。モンスターハウスまでオーガと1回遭遇した。問題なく瞬殺して魔石を回収。

 その後、モンスターハウス前に到着。少し息が切れているギルド長。運動不足なのかな?


「それではモンスターハウスに入ります」


「ちょっ、」


 ギルド長が何か言いかけたがほっとく。

 モンスターハウスに入り詠唱開始!


【火の変化、千変万化たる身を矢にして穿(うが)て、ファイアアロー!】


 30本の火の矢がオーガの眼球に命中していく。


【火の変化、千変万化たる身を矢にして穿(うが)て、ファイアアロー!】


 生き残っていたオーガを殲滅する。


「魔石を拾って帰りますから、少し休んでいてください」


 青い顔をしたギルド長が頷いた。俺は魔石を拾ってからダンジョンから帰還した。


 ギルド長はだいぶ体力的に厳しそうなので魔導団本部まではゆっくり歩いて帰る事にする。


「疑って悪かったな」


 ギルド長がポツリと発言した。


「あそこの地下3階は2人パーティでオーガ相手に連戦できないと死んでしまう。ましてやオーガのモンスターハウスに飛び込むなんて自殺行為だよ。修練のダンジョンは通常は旨味の無いダンジョンだ」


「通常?」


「お前みたいな奴がいれば旨味しかないダンジョンだろ。もしそんな冒険者がいたなら冒険者ギルドから申請でもさせるから使わせてやってくれ」


 確かに俺にとっては旨味があるダンジョンなんだろうな。オーガに安定して連戦できる人材なら是非スカウトしたい。


「まぁその辺はサイファ団長と相談してください」


 魔導団本部の会議室に戻ってきた。スミレさんと冒険者ギルドの統括事務のキャサリンさんが話し合っていた。


「確かにあのダンジョンはオーガと安定して連戦できる奴じゃないと旨味のないものだったよ」


 素直になっているギルド長。

 スミレさんとキャサリンとの話し合いがどうなったのかな?

 すぐにスミレさんから途中報告があった。


①情報を公開した上で修練のダンジョンに入りたい冒険者を公募する。

②1日1パーティ。時間は午後2時から6時まで。【無の日】は2パーティ。時間は午前8時から12時までと午後2時から6時まで。

③ダンジョン内での怪我や死亡については自己責任。

④平日の朝の8時から昼の1時までは国がダンジョンを使用するため何人も立ち入らない事。

⑤修練のダンジョンの公募期間は1ヶ月間とする。その後に修練のダンジョンに入りたい場合には冒険者ギルドを通してエクス帝国魔導団まで申請する事。


 まとまっているね。これなら大丈夫かな。


「冒険者ギルドとしても問題はありませんか?」


「まぁ問題無いな」


「それならすぐに団長から許可を得てきます。早速ダンジョンに入りたい冒険者を公募しましょう」


その後、サイファ団長の許可を得て冒険者の公募を冒険者ギルドに任せた。

ダンジョンに入る許可を得た冒険者の名簿を修練のダンジョン入り口の詰所の騎士に提出するようにお願いした。

これで修練のダンジョンの変な噂が消えると良いなぁ。

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