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タイル・バラス公爵の提案

 スミレの説明を理解したよ。

 でもオリビアの腕を切り落とすのはやり過ぎだよね。

 まずはバラス公爵家に詫びを入れさせるか。

 どうしようかな? お父さんに相談しようかな?


「バラス公爵家に詫びを入れさせようと思うんだけどどうかな? さすがにオリビアの腕を切り落とすのはやり過ぎなような気がするんだけど」


「まぁ腕を切り落とす話はジョージに貴族の面子と力の源泉に気が付いて欲しいから言ったのよ。でも必要なら躊躇なくやるけどね」


 あ、この雰囲気、マジでやるわ……。

 何か浮気したらスミレは俺からジョージくんを切り落としそうだな……。


「ベルク宰相には相談したほうが良いかな? 勝手にやったら叱られないかな?」


「ベルク宰相に何でも相談してちゃいつまで経っても一人前になれないわ。それにこれはグラコート伯爵家として正当な行為よ。誰にも許可はいらないわ」


 そうかもな。こんな貴族間の小競り合いに文官最高位の宰相に判断仰ぐ必要はないか。

 よし! ここはグラコート伯爵家の当主として頑張ってみるか。


 早速、タイル・バラス公爵に手紙を書く事にした。しっかりスミレに添削してもらったよ。

 内容はタイル・バラス公爵とオリビア・バラスの謝罪を要求した。

 そして返答の期限を3日後に指定。

 期日を過ぎても返答がない場合は、それなりの事をするから覚悟しておくようにと付け足す。

 ほとんど脅しだね。どんな返答がくるかな?


 ザインに帝都のバラス公爵邸に手紙を届ける事をお願いしたところで、ルードさんとリースさん夫妻が到着した。

 今日は【無の日】だからリースさんからダンスを習う曜日だ。

 継続する事が大切だね。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 リースさんのダンスレッスンを受けた後は、ルードさんとリースさんと俺とスミレの4人で昼食だ。

 毎週、楽しみにしているんだよね。


 食後、リビングでお茶にする。会話が弾んでいたらザインが帰ってきた。

 結構時間がかかったな。


「ただいま帰ってきました。旦那様からお預かりした手紙は直接タイル・バラス公爵にお渡ししました」


 直接!? 普通は家宰とかに預けて終了じゃないのか?


「また手紙を読んだタイル・バラス公爵から旦那様への伝言を頼まれました。手紙の内容が本当なら由々しき事だ。早急に事実確認をして返答をさせていただく。以上です」


 なるほど、伝言をもらってきたのね。ま、こんなもんだろ。あとはバラス公爵の返答次第だね。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 夕方にタイル・バラス公爵から使いの者がやってきた。明日の9時にグラコート邸で面会したいとのこと。了承の意を伝えて使いの者を帰した。

 明日は朝からタイル公爵の顔を見ると考えたら気が重くなる……。

 でも俺が謝罪を求めたのだからしょうがないか。

 最後に会った時にはタイル公爵を怒らせたから少し会いにくい。どんな返答をされるのか、予断は許されないな。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


12月13日【青の日】


「この度は私の娘であるオリビアがジョージ伯爵様に失礼な発言をしました。この発言はグラコート伯爵家に唾を吐きかける行為です。バラス公爵の当主として、この件に対して正式に謝罪させていただきます」


 グラコート伯爵邸の応接室で対面したタイル公爵は来客用ソファに座ると開口一番謝罪をする。

 ジョージ伯爵様!? 前回と会った時と違って慇懃(いんぎん)な態度やん!

 

 タイル公爵は今日も黒髪をオールバックにしている。いつもどおり穏やかそうな壮年の男性の印象だ。

 神妙な顔の下では何を考えているのだろうか?


 タイル公爵が隣に座っているオリビアに目で合図する。

 そしてオリビアが無表情のまま唇を開く。


「この度は私の浅はかな発言でグラコート伯爵家にご迷惑をおかけしてすいませんでした」


 これぞ棒読み。な、なんて感情の篭っていない言葉だ……。

 場が白けてしまった。

 俺はスミレと顔を見合わせてしまう。


 どうする? 形だけかもしれないがバラス公爵家から謝罪はもらった。

 これはどう判断すれば良いんだ?


 困惑しているところにタイル公爵から次なる話が追加される。


「この件でバラス公爵家としてはグラコート伯爵家と仲違いするつもりは毛頭ありません。つきましては提案がございますがよろしいでしょうか?」


 まだ頭がついていかないぞ。ベルク宰相! 助けて!


「このオリビアをジョージ伯爵様の側室にしていただけないでしょうか?」


 はっ!? 斜め上の提案に頭が空白になる。


「いやなんでそうなるのか私には理解が及ばないのですが?」


 一瞬だけタイル公爵の顔に勝ち誇る顔が見えた。


「家と家が友好的になるのに最も有効なのは婚姻関係を結ぶ事です。ジョージ伯爵様がオリビアを側室にしていただけたら、バラス公爵家はグラコート伯爵家と敵対するつもりが無い事を内外に示すことができます」


 友好に有効ってか。言葉遊びしている場合じゃないな。

 側室は間に合っているんだよね。


「誠に申し訳ありませんが、私はスミレ以外と結婚するつもりは無いんです。それにオリビアさんは昨日初めて会った人で為人(ひととなり)もわかりませんから」


「それは残念です。ジョージ伯爵様には関係無い話ですが、それならオリビアは奴隷に落とす事になりますな」


 奴隷!? 何でそうなる!?

 今月の22日に集英社ダッシュ・エックス文庫から【ジョージは魔法の使い方を間違っていた!?】の第1巻が発売されます。

 書籍版には2〜3頁ですけど、スミレ視点の書き下ろしがあります。

 よろしければご購入いただけると嬉しいです。

 また出版に合わせて更新を頑張りたいと思っています。

 

 第1巻は約12万文字。現在、【ジョージ〜】は46万文字まで書いております。4巻分あるんですね。

 それでもライトノベルは1巻で打ち切られる割り合いが4割。2巻で打ち切られる割り合いが2割あります。3巻の壁って言葉までできています……。

 打ち切りは初動の売り上げ1〜2週間で決定する場合もあるそうです。

 何とか打ち切りにならないようにもがいてみます。


 まぁ打ち切りになったら、ボヤキエッセイを書くだけですけどwww。

 

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集英社ダッシュエックス文庫より
第1巻が発売中
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