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ジョージさんの成長【ベルク宰相視点】

ベルク宰相の視点です。

主人公の視点に戻るまで残り3話

 ザラス陛下の暗殺の黒幕は全くわからなかった。

 捜査が行き詰まりかけていた時、ジョージさんが情報を持ってきた。


 ザラス陛下の暗殺にロード王国の主戦派が関与している可能性があるというのだ。

 ロード王国に調査団を派遣したいが私もサイファ魔導団団長も動けない。窮余の策としてジョージさんにお願いする事になった。

 腹心のダンを捜査団の副団長にすれば大丈夫だろう。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 ザラス皇帝陛下の葬儀を滞りなく終えて一息ついているとロード王国から騎士団のライバーが帰還した。

 ライバーはザラス陛下の暗殺の黒幕の話、ジョージさんがロード王国の公爵になってくれるように頼まれた事などの報告を上げる。


 カイト皇太子がザラス陛下の暗殺のきっかけを作ったかもしれないと聞いて、目の前が暗くなった。

 これでは皇位継承に波乱が生じてしまう。そうなればエクス帝国は他国に付け入る隙を与えてしまう。私がカイト皇太子に接触するのは控えたほう良いか。変な憶測を持たれないに越した事はない。捜査団が帰還してから動くべきだな。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 数日後、ロード王国から捜査団が帰還した。

 謁見の間で捜査団の報告を副団長のダンから聞く。

 聞いているうちに頭を抱えたくなる。


「以上の事から、ロード王国のバルバン伯爵と次男のアイヴィー、そしてカイト皇太子から事情を聞く必要があると思います。まずはザラス皇帝陛下の暗殺捜査についての報告を終わります」


 ダンの報告が終わった。

 やる事を考えるのは簡単だ。ただそれをやるには多くの労力が必要になる。


「捜査団の諸君。本当にご苦労であった。この報告をもってエクス帝国捜査団の任務終了とする。また、これよりザラス皇帝陛下の暗殺に対しての捜査を本格的に行う。サイファ魔導団団長。カイト皇太子を拘束して尋問を行うようにお願いいたします」


 どよめく謁見の間。

 皇太子が拘束されて尋問を受ける等、前代未聞だ。

 それでもやらなければならない。


「静まれ。エクス帝国は不滅だ。このような国難があろうとも、皆の力で乗り越えていける。それを私は確信している。状況によっては皇帝位継承権の順位が変わる可能性もある。皆は動揺せず、粛々と過ごして欲しい」


 ダンがまだ報告があるようだ。発言をするタイミングをはかっている。


「その他の報告が二つございます。まずはロード王国より特使が我々に同行しました。特使はパトリシア・ロード王女です。護衛にブラサムという騎士が付いております。二人は謁見の間の前室にて待機しております。もう一つの報告は正式な形ではありませんでしたが、ロード王国のナルド国王がジョージ・グラコート伯爵にロード王国の公爵になってくれないかと打診がございました」


 パトリシア王女が来ているとは。これは相当本気だな。


「なるほど。難しい舵取りが要求されている感じですね」


 誰に聞かせるわけでもなく言葉が漏れてしまった。


「よろしい。ロード王国の特使であるパトリシア・ロードを謁見の間に呼んでくれ」


 謁見の間の扉が開く。

 パトリシア王女の姿が見える。

 なるほど、これは美姫だ。これで揺るがない男性は少ないだろうな。


 私の数メートル前でパトリシア王女は立ち止まり頭を下げる。

 その動きはさすが王族と感じさせるものだ。

 私はパトリシア王女に声をかける。


「エクス帝国にようこそ、パトリシア王女。この度はロード王国の特使という事ですな。現在、エクス帝国は皇帝位が不在です。代わって宰相の私ベルクがお話をお聞きしましょう」


 パトリシアは顔を上げ軽く微笑む。周囲の男性貴族は皆んなやられている。

 パトリシア王女の話は予想通りだった。

 今回の件の謝罪とジョージさんのロード王国の公爵打診によるパトリシア王女との婚姻。


 パトリシア王女の話を聞いて、あたふたしていたジョージさんだがスミレさんを見て目に力が入った。


「ベルク宰相。これは私の気持ちだけで考えてはいけない事と推察いたします。後ほど、どのような行動が、どのような事態になるのかご教授ください」


 ついこの間までは平凡な魔導師だったジョージさん。強力な力を持った事で周囲が変わり困惑ばかりしていた。

 それが少しずつ地に足をつけて考えるようになったんだな。それがなんと嬉しいことか。


「そうだな。これはエクス帝国とロード王国の未来に関わってくる事柄になる。しっかりと吟味しよう。取り敢えずはパトリシア王女のエクス帝国の滞在は認める事にする。パトリシア王女はどうぞゆっくりとエクス帝国を楽しんでください」


 私はジョージさんの成長を確かに感じた。

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