スミレ覚醒記念日
10月10日【黒の日】
朝起きるとスミレからお誘いを受けた。
気分転換に修練のダンジョンにドラゴン討伐に行こうと言われる。
最近、いろいろありすぎていたからなぁ。たまには魔法をぶっ放すか。
早速腰に【黒月】を差して行く準備をする。
帝都の東の城門を通り抜け、修練のダンジョンに向かう。少し歩くとダンジョンの入り口と騎士団の詰所が見えてくる。一応、落ち着くまでは騎士団が修練のダンジョンの入り口を見張ってくれるとの事。
その後、どうしようかな。
あ、修練のダンジョンを使わない時はロックウォールの魔法で入り口を塞いじゃえば良いんじゃない? 俺が魔力を込めたロックウォールなら、誰も壊せないだろう。修練のダンジョンに入る時はロックウォールの呪文の調節をすれば入り口まで通れるようにできるだろう。
これなら門番がいなくても大丈夫じゃん! 今日、早速帰りにやってみよう。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
修練のダンジョンに入るとスミレが立ち止まった。
どうした?っと思っていたら、スミレは上のシャツを脱ぎ出した。
呆然とする俺。
目はスミレを凝視してしまう。
俺はスミレと見つめ合う。
それでもスミレは服を脱ぐのを止めない。
俺に見せつけるように……。
既にスミレの上半身は下着姿だ。
「ジョージはこのまま下着姿が良い? それともいつものビキニアーマーにする? それとも…」
「い、いや、俺はとても嬉しいんだけど、どうしたんだ! スミレはビキニアーマーを着るのは嫌だったんじゃないの!」
「ジョージが喜んでくれるなら、これくらいの恥ずかしさは問題ないわ。今日は修練のダンジョンの4階で開放的に愛されたいの。ダメ?」
俺はただ頷くだけだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
この日の午前中はドラゴンの魔石を一つだけ持ち帰った。詰所の騎士が俺たちを見て、不思議そうな顔をしている。いつもは午前中に4つはドラゴンの魔石を持ち帰るからだ。
騎士に素知らぬ顔をしているスミレに興奮してしまう俺。先程のスミレの顔と違い過ぎるからだ。
俺は今日という日を忘れない。いや忘れられないだろう。
10月10日は【スミレ覚醒記念日】にしよう。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
早速修練のダンジョンの横でロックウォールを試してみる。
【堅固なる岩石、全ての災いを跳ね返す壁となれ、ロックウォール!】
魔力制御で半球状に岩の壁を作り上げる。
次はもう一度ロックウォールを使用して入り口が作れるかどうかだ。
試してみたら半球状のドームに入り口を開ける事ができた。
これなら修練のダンジョンに使えそうだ。
横で見ていて驚いている騎士に話しかける。
「これから修練のダンジョンを岩のドームで囲うから少し下がっていてね」
慌てて下がる騎士。
俺は魔力をそれなりに込めてロックウォールを唱えた。出来上がった岩のドームはカチカチの硬さだ。
これなら門番がいなくても誰も入れないだろう。確か、岩属性の魔法でできた物はそれを上回る魔力を込めないと壊せないはずだ。
「修練のダンジョンの入り口についてはサイファ団長に伝えておきますね」
俺とスミレは驚いて声の出ない騎士を置いて、修練のダンジョンをあとにした。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ドラゴンの魔石を取り敢えず冒険者ギルドに納品するか。
両手で魔石を抱えながら帝都の道を歩いていく。
今日は天気も良いし、人が多く歩いているな。
帝都の冒険者ギルドが見えてくる。レンガ造りの2階建ての建物だ。
ドラゴンの魔石を納品すると、ギルド長のライオスに声をかけられた。
「おぉ! ドラゴンの魔石の納品を開始してくれたのか。とても助かる。これからもよろしくな」
「いや、今日は気晴らしで討伐しに行っただけですよ。定期的に納品するのはもう少し時間がかかりますね」
「ああ、そうなのか……。まぁしょうがないか。できれば早く再開してくれ」
これは早めに退散しよう。何か頼まれるかもしれないからな。
納品処理が済んだところで逃げるように冒険者ギルドを出た。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
その日の夜ベッドの中でスミレと会話をする。
「スミレ、今日はありがとう。楽しい一日だったよ。でも無理する必要はない。俺はスミレだけを愛していくから」
顔が赤くなるスミレ。
自分から服を脱いで誘うような行為は恥ずかしかったのだろう。
今日のダンジョンのスミレはやっぱり異常だ。たぶんパトリシア王女の事が原因だと思う。スミレを不安にさせているのかな。
それじゃダメだね。
「俺はスミレと温かい家庭を作りたいんだ。これはずっと変わらないよ。だから安心して欲しい。わかった?」
頷くスミレ。
俺の胸に顔を埋める。
「でもたまには今日のようにスミレから奔放的に誘ってくれると嬉しいかも」
スミレの顔は見えないが耳が赤くなってきた。
俺はスミレの寝間着を脱がし始めた。
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