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カメリア皇太子夫人

 心の中で二重丸の花丸を付けた後だが、継承権を持っている人には会わないといけないな。


 スイフト皇子はお勉強の最中だった。スミレと終わるのを待つことにする。


 スイフト皇子の面会には皇太子夫人のカメリアも同席する事になった。

 このカメリア夫人はゾロン騎士団団長の歳の離れた妹なんだよな。実はゾロン団長って侯爵家の人だったりする。


 スイフト皇子は4歳児らしく椅子でジッとしているのが辛そうだ。仕切りに身体を動かしている。


 俺とスミレが椅子に座るなり、いきなりカメリア夫人が金切り声を上げる。


「いったいいつまで私のカイトを拘束するつもりなの! ベルクは何を考えている! なんで平民上がりの伯爵なんかに私の可愛いスイフトを面会させなければならないの!」


 あぁ、面倒なタイプだ。こりゃ退散しようかな。

 そう思った時、隣のスミレが声を出した。


「この面会は現在政務を司っているベルク宰相より命令された任務です。ご不満があるようでしたら、然るべき方法でベルク宰相に異議を申し立ててください。私たちに言われてもどうにもなりません」


「そういう事を言っているんじゃないの! この子の父親を取り上げておいて、このようなスイフトを試すような面会は納得がいかないと言ってるのよ! あなたには人としての心はないの!」


「人としての心があるからこそ、ここまで出向いているのです。今、カイト皇太子はザラス皇帝陛下の暗殺の関与が疑われています。カメリア様とスイフト様はとても微妙な立場にいると認識してください」


 カメリア夫人の金切り声が一段と高くなる。


「それはどういう事よ! 侮辱なら許さないわよ!」


「カイト皇太子がザラス皇帝陛下の暗殺について何かしらの咎があるのならば、あなた方の環境は激変する可能性があります。スイフト様に人として見どころがあるようならば、それは軽いものかもしれませんが。現在、カイト皇太子の皇帝陛下への道はとても難しいものとなっています。皇太子の地位が揺らいでいるのです。その奥方のカメリア様と御子息のスイフト様の立場も揺らいでいると認識してください」


 目がつり上がるカメリア夫人。身体が怒りで震えている。

 何か起こる前に俺が慌てて口を開く。


「少し時間を置きましょう。そうですね。一度解散をして午後の3時にもう一度伺います。それでは失礼いたします」


 俺は返事を聞く前に立ち上がり、スミレと部屋を出る。部屋を出たところでスミレに話しかける。


「どうしたんだいスミレ? いつもと違って厳しい言葉だったじゃない。なんかあった?」


「カメリア夫人は、現状が変わった事に頭がついていってないのよ。あのままでは必ず問題を起こすわ。そうなるとスイフト皇子に不利益になりそうだから、早めに認識してもらおうと思ったの」


 確かにカメリア夫人は理性より感情で動きそうなタイプだ。少し時間を空けただけで落ち着くかな。それでもあのままスイフト皇子と話すよりはマシだろう。

 取り敢えず、俺とスミレはエクス城の文官用の食堂に昼食を食べに行った。


 食堂で昼食を食べていると、捜査団で一緒に行ったダンが声をかけてきた。


「ジョージさんじゃないですか! どうしたんですか。こんなところで会うなんて嬉しいです」


「皇位継承者に会いに来ているんだよ。午後からスイフト皇子に会うんだよ」


「あぁ、なるほど。ベルク宰相が考えそうな事ですね。ジョージさんが誰を支えてくれるか選んでいるところですか」


「悲しい事にその通りだね。なんか気が付いたら大きな流れに逆らえない感じだね」


「気楽に考えれば良いんですよ。誰も良い人がいなければジョージさんが皇帝陛下になれば良いじゃないですか。案外、それが一番かもしれないですね」


「冗談でも不敬になるぞ。俺はそんなもんにはならん。スミレと温かい家庭を作るのに全力を尽くすんだからな」


「別に皇帝陛下になっても温かい家庭は作れますよ」


「他にもやりたくない理由があるよ。俺は他人に殺せとか、死んでこいとか、命令したくないな。皇帝陛下になったら、そういう場面にも出会うだろ?」


「わかりましたよ。ジョージさんの皇帝陛下は諦めます。でも誰がなるんですか? エクス城はその話で持ちきりですよ」


「それを決めるのはエクス城の高官だろ。ベルク宰相が考えてくれるさ。俺は言われた通り、継承者に会うだけだ」


「まぁ、気楽にやってくださいね。私はいつでもジョージさんの味方になりますから」


そう言ってダンは離れていった。

ついにブックマークが10,000の大台に乗りました。

ありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。


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