84 かまくら作りと真っ白な……?
『あーーーっ!かまくら!かまくら、もう作ってる!』
「お、おはよう、ライ。一昨日が凄い雪ですごく積もっていたんだよ。……ごめん、ライ。でも、ほら、まだ完成していないから。今日はたくさんライに手伝いをお願いしないとな!」
今朝もスッキリと晴れ、吹雪で降り積もった雪は少し溶け始めていた。
そうして昨日来れなかった分、張り切ったのか朝一番で来たライが作りかけのかまくらを見てショックを受けていた。
うん、去年一緒に作ったもんな。自分だけ仲間外れな気分になっちゃったのか。そこまで気づかなかったよ、ごめんな、ライ。でも、昨日は本当に大変だったからライが来てくれて本当に助かった。
『ぼ、僕の手伝いが必要、なの?』
「もちろんだよ!ライが上空で皆に指示を出してくれないと、絶対にきちんとしたかまくらは完成しないよ。だから今日は頼りにしているからな!」
『……うん!僕、頑張るよ!』
ピュイッ!とさっきまでの寂しそうな顔からご機嫌になって上空を飛び回るライを眺め、胸をなでおろす。
でも、ライに言ったことは別にご機嫌をとろうとかじゃなくて本心なのだ。昨日は本当にカオスだったからな……。
思わず遠い目をしてしまうくらいに、午後からの作業は混乱を極めたのだ。
アインス達が訓練から戻り、作りかけのかまくらを見つけて「午後から俺たちも作業する!」と言ったまでは良かったのだ。
アインス達は大きいし、その分力も強いから労働力的にはかなり頼りになる。のだが。
『ハーツ、それはどうやって固めた雪ごと動かしているんですか?……ふんふん。なるほど。ちょっとやってみようか』
と、肝心要のドライがまずはハーツを見て雪を凍らせる練習を始め。そしてアインスとツヴァイは雪を風で運んでいるシュウの姿に燃え、俄然張り切って翼で雪を舞い上がらせてシルフに頼んで雪を飛ばし始めた。
そうなるとどうなるか。雪山を固める為に水を撒いて適度に凍らせていた俺とララが間に合わなくなり、せっかくしっかりと凍らせて作った土台をはみ出して雪がどんどん降り注いだのだ。
その時点で必死にアインス達を止めようとしたんだけどな。もうテンションが高く突っ走り出したあの二人を俺が止められる訳もなく。ドライも自分の世界に閉じこもったままで、ララと二人で途方に暮れるしかなかったのだ。
その後はもう、しっちゃかめっちゃかだ。アインス達の暴挙にシュウは喜び、いたずら好きなシルフも興に乗って広場中の雪を舞い上がらせ、その光景に楽しくなったクオンが乱入し、止めようとしたロトムも結局は俺とララと一緒に眺めることしか出来なかったのだ。
そうして広場のほとんどの雪を積みあがった小山を前にしてアインスが『どうせなら俺たちも入りたいから、大きなかまくらにしようーーー!』とか言っちゃったもんだからさあ大変、だ。
土台は俺とララがしっかり作ったし、ハーツが固めた雪を配置していたが全てさらさらの雪に埋もれてしまったので、急遽隣に土台を作り直すことになったのだが、小山に積まれた雪を崩しながら適度に凍らせて移動し積み上げる、という重労働になり、当然のことながら三分の一も終わらなかったのだ。
唯一ドライがその過程でハーツのようにある程度の塊に固められるようになった!と喜んでいたのだが、そんな姿を見てやっぱりドライは冷静沈着というより腹黒いよな、と思ってしまったりな。まあ、ララとはだいぶ慣れて仲良くなれた気がするのが俺にとっては一番の収穫だった。
だから今日、ライに雪を移動させる位置を上空から指示して貰うことは、かなり重要になるのは間違いないのだ。
そうして聖地で日課を終わらせてそのまま皆で戻って来ると、子供たちが張り切ってかまくら作りの続きをすることになった。
今日はユーラも家へ戻って一度オズの処に顔を出して水とスープを飲ませると、キキリにまたオズを任せて俺と一緒にそのまま出て来たので一緒だ。オズが来てからはほぼユーラは付きっ切りだったから、ずっと一緒なのは久々だ。
「ユーラ、雪が舞ったりして危ないから、見えない場所に行くなよー!ロトム、すまないけどユーラのことを気にかけてやってくれな」
「う!」
『分かったぞ』『もちろんだ』
かまくらが気になったんだろうな。まあ、もう広場の雪はほとんど小山に積み上げられているし、危なくないからいいか。
雪の小山と作りかけのかまくらをじっと見つめるユーラを横目に、張り切る子供たちと一緒に昨日の作業の続きを開始すると。
『イツキー、なんか固くて雪、動かせないよー?』
『クウーーーーーン。固くて、難しい……』
「あーーー。昨日の夜と今朝とで雪が固まっちゃったのか。でも、もう広場の雪がないからなー。とりあえず畑と森の雪でも集めるか?」
昨日小山にした雪は、温度差ですっかり固くなってしまったようだった。
雪はあまり降らない地域だった為にすっかり忘れていたが、適度に水分を含んだ雪はくっついて固まっていて移動させるのは重労働だ。
適当に小山に積んであった雪を移動させていたから、変な形で固まっちゃったしなー……。これ、よっぽど暖かい日がないと、もう溶けなかったりしてな。
とりあえずこのままかまくらを断念するのは子供たちも納得できないだろうし、と広場の周囲の畑に残った雪を昨日のようにかき集めることにしたのだが。
『むう……。ハーツ、それ、どうやるの?』
『雪かきだけじゃ移動は時間かかるな』『どうやっているのだ?』
雪かきで雪を移動するにはさすがに距離があり、しばらく格闘していたクオンとロトムがハーツに教えを請いに行っていた。
シュウは楽しそうに今日もシルフ達と戯れて、あちこちの雪を舞い上がらせて遊んでいたけどな!
「ララもあっち行って一緒にやってみるか?こっちは今日はまだ忙しくないから、気になるならいっておいで」
『……前、やった時は難しかったけど、でも、ちょっと行ってくる』
クオンとロトム、それにいつの間にかライも加わってハーツとわいわいやっているのを横目でちらちら気にしていたララを促し、ふう、と休憩がてらずっとかがんでいて痛くなってきた腰を伸ばしたり、軽く運動をしていると、ふいに畑の雪がぴょこり、と動いたような気がした。
「へ?今、雪が動いたような……。あれ?でもシュウがいるのは反対側、だよな?」
周囲を見回して、シュウがシルフと遊んでいる場所が反対側なのを確認し、じっと動いたような気がした場所を見つめる。
「んー、気のせい、か?結界があるから、ここには動物も入って来れないしな。入って来ているのは、精霊たちくらいだし……」
ノームやスプライトたちは冬はほとんど出てくることはないし、ドライアドも冬はよほど呼びかけなければ出てくることはない。だから気のせいか、と思ったのだが妙に気になって畑と森の境の方へ近づいて行くと。
「……はあ?なんだ、あれ?」
真っ白で、雪と同化していて判別することも難しかったが、やはり何かが雪の上を動いていた。
よく見る為に座り込み、じっと目を凝らしていると。
『イツキーーっ!そんなところに座って、何しているのーー?』
「う、うわぁっ!ちょっ、クオンっ!!」
まったく注意を払っていなかった背後からドーンッ!とクオンの体当たりを受け、見事に前につんのめって膝をついて四つん這いになって更に押しつぶされた。
なんとか腕を立てて上半身を起こし、背中にのしかかっているもふもふなクオンに文句を言おうとすると、すぐ目の前にぴょこん、と飛び上がった真っ白な物体と目があった。
へ?目が合った?え、ええっ!
「はあっ!?ゆ、雪ウサギが、飛び跳ねてるーーーーっ!!」
目の前にいたのは、真っ白な楕円形、そして真っ白な耳をもち、薄い水色の目をした雪で作った所謂雪ウサギにそっくりの見た目をしていたのだった。
なんとか書き終わりましたーーー。まだ登場してないようなしたような。。。また続きます。
台風の影響か夏バテか……次の更新もなんとか頑張ります。
次は一応日曜日予定です。
こんな感じでシリアス風味なしでしばらく進みます(笑)
どうぞよろしくお願いします!




