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【書籍化】ちび神獣たちのお世話係始めました ~世界樹の森でもふもふスローライフ!~  作者: カナデ
3章 世界樹と新たな出会い

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61 二度目の雨期が始まったようです

 土砂降りの雨の降った翌日は、雨が上がって晴天に恵まれた。

 雨期を迎えるまでの貴重な晴れ間だろう。


 昨日は子供達は来れなかったが、今日は朝からほぼ全員集まって、ドロドロな広場で駆けまわってはせっかくの毛並みが泥だらけになっている。


「皆ー!とりあえず聖地へ行くぞー!皆泥だらけだから、泉に入る時は、ウィンディーネ達に頼むかきちんと水を浴びてからにするんだぞー!

『『『『『『はーい!(ワンッ!)(ニャー!)(ギャウ!)』』』』』』


 ほぼ泥まみれな子猫と子犬な子供達が歩くたびに泥が飛び散り、聖地の花畑が泥まみれになると心配になるが、もうすぐ雨期だから雨が降れば流れるか、と諦めることにする。


「ん?あれ、なんかシルフ達、いつもよりも楽しそうだな?」


 守護地から聖地に入るとすぐに、花畑の上空を楽しそうにはしゃぎながら飛び回るシルフ達の姿が目に入った。

 聖地ゆえにいつも精霊達の姿は多いが、それでも今日の半分くらいだ。


『うん。なんかとっても喜んでいるの。あっ、ホラ、ノームとスプライト達も踊っているよ!』


 隣を歩くクオンの言葉に足元へ目を向けると、確かにノームとスプライト達が楽しそうに踊っている。それにやはりいつもよりも姿を現している精霊達の数が多い。


「うーん。何かお祝い事か?ユーラが誕生した後もしばらくこんな感じだったけど。まあ、悪いことがある感じじゃないし、とりあえず行こうか」


 ユーラが誕生した時も、しばらくは聖地はたくさんの浮かれた精霊達の姿に溢れていたものだ。最近はやっと落ち着き、ユーラが誕生する前よりは少し多いくらいになっていたのだが。

 楽しそうな精霊達の姿を見ながら子供達といつもの道を歩いて行くと、いつもと違う光景が目に入った。


『うわあ!イツキ!新しいお花が咲いているよ!あんなにいっぱい!』

『虹色のお花なんて、初めて見た!聖地の力を感じるよ!』


 そう、世界樹の周辺に、昨日の虹色の光を思わせるような淡く虹色に光る小さな花弁を持つ花が聖地の白い花の間を覆いつくすように広がっていたのだ。そしてその周囲を楽しそうにはしゃぐ精霊達の姿があった。


「う、うわあ、凄いな、これは……。もしかしなくても、昨日のあれか、ユーラ」


 おんぶ紐でおんぶしているユーラを振り返ると、腕が動いてポンと背中を叩かれた。


 おお、今日も動いたな!ってそれよりも、やっぱり昨日のアレだったみたいだな……。恐らくユーラが世界樹の結界に俺の魔力を流したとかそんな感じだと思うんだけど、ドライに聞いても分からないって言ってたしな。まあ、考えても分からないものは仕方がないし、キレイだからいいか!


 走って行くと楽しそうにはしゃぎだしたクオンとセランの姿を見ながらそう思い、とりあえずいつもの泉の遊び場へと歩いて行く。

 すると楽しそうに跳ねるウィンディーネ達が出迎えてくれた。


 ウィンディーネ達に泥だらけの子供達を頼むと、キキリと一緒に世界樹の方へと歩いて行くと、やはり世界樹の周囲が一番あの虹色の花が密集しているのが見てとれた。

 とりあえずいつもの場所で虹色の花の上にユーラを降ろそうとすると、ユーラの手が俺の服を握りしめて抗った。


「ええっ!ユーラ、降りるの嫌なのか?いつもここでカーバンクルと遊んでいるのに……。まさか、昨日みたいに俺と一緒に世界樹に魔力を注ぐのか?」


 そう恐る恐る問いかけると、わずかに顔が動いて頷いた。


 おおお、日に日にユーラが動いて意思表示が出来るようになって来たな!それはとってもうれしいけど、昨日みたいになったらどうしよう……。でも、それがユーラの望みなら、叶えないとな。


「キキリ、ユーラが昨日みたいに俺と一緒に日課をやりたいみたいだから一緒に行って来るな。キキリはここで待っててな」

『ギャウ!』


 ユーラをおんぶからだっこに変更して紐を結び、いつもの場所で世界樹の葉を手に根に手を触れて目を閉じる。


 でも、昨日のようなことがまたあったら俺の心臓にも悪いし子供達も驚くかもしれないしな。今日は普通の光合成のイメージにしよう。今日はいいお天気だしな!


 光合成で枝葉を伸ばす様子をイメージすると、ぐんっと一気に魔力が根に流れた。


 くっ。これでもやっぱりダメか。おおっ!


 ぐっと堪えると微かな感触を感じたと同時に昨日のように一気に魔力をもっていかれた。すぐに目を開けると、やはり俺の腕にユーラの小さな手が添えられていた。

 恐々と顔を見上げてみると、枝から降り注いだ霧のような煌めきが、眩い光を一瞬放ったと思うとパッと広がり、一定の距離でキラキラ輝くと消えて行った。


 あれって、昨日見た世界樹の結界の辺りだよな。……結界の強化とかか?いや、考えたってどうせ俺には分からないか。


「……まあ、これなら子供達に驚かれない、かな?まあ、いいか。ユーラ、食事にしようか」


 フウ、ともう諦めのため息を一つつくと、緑の花弁の花を一本摘む。


「ん?なんだ、こっちも一本摘むのか?」


 すると手の脇に出て来た一人のスプライトが、こっちも、といわんばかりに身振り手振りで虹色の花を指した。

 まあ、精霊のいうことなら大丈夫かな、とスプライトが示した虹色の花も一本摘み取る。


「ふうん。一本だけで見ると、ぼんやりとした虹色なんだな」


 近くで見ると、虹色に光っている訳ではなく、パステルカラーの虹色でぼんやりとした印象だった。

 いつものように世界樹の幹に緑の花を掲げようとすると、ふいに虹色の花の方も一緒にした方がいい気がして花だけを摘んで緑の花の上に乗せると、その上から世界樹の雫を注いだ。


「ほら、ユーラ」


 それをユーラの口元へ持って行くと、雫が減ると同時に虹色の花弁の色が薄まり、全て飲み終えた時には虹色の花だけパッと光を放って消えて行った。

 なんとなく、世界樹の結界の力がユーラの力になるのだろうな、とそう感じ、そっとユーラの頭を撫でると一度キキリの横にそっと横たえた。


 一人だけ少し離れた場所で、白と緑、そして虹色の花の中で戯れるキキリとユーラ、そしてカーバンクルの姿を見ながら、少しずつ世界樹の力がユーラに馴染みながら成長するのだろうな、その時にはこの聖地ももっと色鮮やかに彩られているのかもしれないな、とぼんやりと思っていたのだった。




 晴天の日の翌々日にはまた雨が降り、その次の日も雨が降った。

 そうして三日連続で雨が降り、一日曇ったと思ったらまた今度はまた連続して雨、と本格的な雨期を迎えた。


『おう、どうだ?これなら雨をある程度は弾くと思うんだが……』

「そうですね。この間よりは大分弾いていますね。これで明日は試してみますね」


 朝、小雨の時は子供達がそれなりに集まるが、雨が強い時はほとんど子供達はお休みだ。今日は朝がかなり激しい雨が降っていたから、子供達は全員お休みだった。

 聖地へ日課へ行って戻ると、トントゥのコラッドさんが雨具を持って訪ねて来てくれた。


 頼んだ雨具は傘はユーラがいるから手が塞がるので、カッパのようなフード付きのコートだ。

 相談すると雨に濡れにくい素材があるからそれでとりあえず布を作ってみる、ということになり、急いでユーラの分の小さな雨具を作ってくれた。

 それは確かに普通の布よりは雨が浸透するまで時間がかかったが世界樹へ往復して戻って来るまでにはぐっしょりと濡れてしまった。


 そこで雨を弾く液体があったらそれを表面に塗れないか、と相談したら、木の汁でそういう性質のがあるということで試して貰ったのだ。今日はそれが完成した、ということで持って来てくれたのだ。


 今日みたいな激しい雨の時はシルフ達に頼んだけど、小雨くらいなら子供達も濡れて歩いているからな。でもやっぱりユーラは心配だしな。


 そうしてのんびりとコンラッドさんと談笑していると、突然クオンが家へと飛び込んで来た。


『イツキ!私、家出してきたから、今日からここに居る!』


 へ?……家出、って家出かっ!一体どうしたっていうんだ!!






お待たせしましたー!

だるくて文章を書く気力がなく、お休みさせていただきました!

秋は気温差と、台風とかの接近で気圧が不安定だとどうしても体調が整いません。

秋は使い物にならず(自分が)お休みが多いと思いますが、どうぞよろしくお願いします<(_ _)>


とりあえずもふもふにまで辿り着きませんでしたし、いいところですが今日はここまでで( ´艸`)


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