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悪役令嬢といわれた予知の力を持つ嘆きの聖女の独白

作者: 未央
掲載日:2021/05/15

 優しかった姉上が死にました。


 ええ、見かけは優しかった姉上です。とても外聞がよかったといえばいいのか。

 その死を喜んだのは自分です。そうはやり病であの美しい顔をあばただらけにして、全身皮膚が真っ黒になって痛い痛いとかきむしり死んだそうです。

 いつもいつも私は姉にみっともない顔をしているといじめられました。

 お前の母は庶民で、お父様が手に付けた使用人だったんだと。


 確かにその通りでした。

 

 侯爵だったお父様が使用人であった母に手を付け、生まれたのが私。

 そして母が私を生んですぐ自死して、私の引き取りてが誰もおらず、外聞が悪いので、使用人の子としてこの館におかれることになったのです。


 お母さまには恋仲の男性がいたそうで、お父様が母にてをつけたせいで、絶望し、母の恋人は去ったそうです。

 それに絶望して母が死んだと使用人仲間から聞かされました。


 私はいつも正妻の娘、つまり姉にあたるご令嬢からいじめられました。


 ええ、正妻であった女性が、私を憎んでいたからです。

 確かに気持ちはわかります。でも、私だって生まれたくなんてなかったんです。


 お前なんて生まなきゃよかった。お前さえいなければ! といって母は死んだとご丁寧に使用人仲間は教えてくれました。

 つまりお前とは私。


 私は使用人としての仕事以外にも、姉からいじめられるという仕事を毎日させられました。

 殴られけられ、髪の毛を引っ張られ、罵倒され、水をかけられ……。

 思い出したくない日々です。でも身内のない使用人の娘をひきとったとお優しいお姉さまは外に言いふらしていました。


 でも私を憎む彼女の気持ちも少しはわかるので黙ってました。追い出されたら行くところがないからです。


 そして私は十二歳、姉が十四歳になりました。


 魔法学院に姉が入学するために、魔法判定を受けることになり、家に来た判定人がなぜか私に目をつけたのです。


 私はただ庭をほうきではいていただけですが、偶然彼と出会いまして、スキル判定を受けて、希少なスキルを持つことがわかり、私は魔法学院に引き取られることになりました。


 姉が悔しがったそうです。

 私のスキルは「予知」それも過去視ではなく未来視、五百年前に聖女りーゼル様が持っていたスキルで、それ以外は誰も持っていなかったスキルだそうで。


 でも私の力は発現はしていません。

 でももう少し大きくなれば発現するそうです。リーゼル様は十六で予知に目覚めたそうです。


 そこから私は魔法学院で能力の制御の勉強を受けました。

 十六になれば、十六になれば、私は実験とやらにも付き合わされました。しかしあの地獄だった使用人生活と比べたら天国でした。

 私のスキルを判定してくれた青年は、たまに私のところに顔を出し成果を聞きます。

 私の勉強の成果を聞くと嬉しそうに彼は笑ってくれるのです。


 私を救ってくれた彼のために私はいつしか勉強を頑張るようになっていました。


 そして……私は十六になりました。

 だがしかし、能力は目覚めません。その目覚めには何か足りないのではないかと誰かが言い始めました。


 そう……聖女リーゼル様は実はただの町娘、そして町を盗賊団が襲い、家族、親友、親戚、大切な隣人たちを皆殺しにされて、自分も盗賊につかまって、その身を汚されそうになった時、能力が発現したそうです。


 ええそれを再現しようと誰かが言い出し、身を汚すのはだれかなど不穏な話し合いをしていたそうです。

 私は知りませんでした。


 そして私が夜中寝ているとき、私室にだれか入ってきました。驚いてみると、それは私が愛した青年だったのです。

 彼が私に覆いかぶさり、そして……私は彼にならいいかと思いました。 

 抵抗しない私になぜか? と彼は聞いたのです。私は彼にあなたならいいと答えました。


 彼はちっと舌打ちしました。どうして? と聞くと、俺が相手ならいいとかふざけるなと怒り、彼は私に短剣を向けてきました。

 ええ、あとで知ったのですが、私を拾ってきた責任があるといわれ、能力が発現しなければ解雇するといわれた彼は、リーゼル様の能力が発現させた出来事を再現すれば私の能力が発現すると思ったそうです。

 

 ええ、私は彼にとってただの出世の道具でした。

 珍しいスキルを持つ人間を集め、そして魔法学院に貢献をして出世をもくろんでいたそうです。


 私は殺されそうになりました。ええ、怪我をさせるだけのようでしたが、でも発現しなければ殺してもいいと思っていたそうです。

 生命の危機、そして強い負の感情などによりスキルは発現する場合があるようです。


 ええ、私は彼になぜ殺されなければいけないのか? 死にたくないと思いました。

 そして私のスキルは……。


「誰が殺したの?」


「お前だ」


「え?」


「予知のスキルで……あの男の狙いが分かったお前が、逆に……」


 誰が彼を殺したの? 真っ赤で目の前が真っ赤で……私が問うと、お前だと目の前の男が言います。

 誰が殺したの? 誰があの短剣で?

 死にたくないと思っただけです。

 私が予知のスキルで彼の動きをよんで逃げ、そしてもみ合いになり、短剣を落とした彼に。

 ええ、あとから聞かされて、私は証言しました。私の正当防衛となりましたが……。


 人殺しの聖女様、予知のスキルで人を殺した女。


 正当防衛といわれました。そして予知のスキルでこの国に貢献するように命令されました。

 この世は地獄です。

 あの人を愛していました。彼を殺した私が死ぬのをこの国は許さない。

 そして彼を追い詰め、私にあんなことをさせようとした魔法学院の長たちを私は許さない。

 聖女としての役目を果たしましょう。

 私には見えるこの国の滅亡が、でも教えてあげない。

 ええ、予言の聖女リーゼル様では私はありません、私をいじめた姉や、いつもいじめた継母、無視した父、いつも悪口を吹き込んだ使用人仲間が死んでいくのが見える。

 ああ楽しみです。

 この国に流行る病と、そして地震、災厄が襲います。

 早く、早く来て、ああ早く来てください。私はそれを待っている。でも教えてあげません。

 それで私が死ぬのが分かっていても、私は口をつぐみます。

 ええ、早くみんな死んでください。みんな……消えてください。私は滅亡を祈り続ける。

 

お読みいただきありがとうございました。

ブクマや評価、ご感想などで応援いただけると、今後の創作の糧になり喜びます。よろしくお願いします


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