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【完結】男やもめに花が咲く~恋でお腹はふくれませんよ?~  作者: 蒼空苺


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45 渇望する瞳

馬車に乗り込んで、目の前のリュシアスに目を向ける。


本当に麗しい。

白の詰襟に、左肩には濃紺の肩マント。

マント止めには、私と同じ宝石をつかっている。

その先から金のチェーンが右肩から後ろに繋がっている。

白の上衣は金糸の刺繍や装飾が華やかだ。

そして、左側の髪の毛をかき上げたようにして固めてある。

秀でた額がのぞく様はいつもと違う雰囲気が漂い、カッコよさも増し増しになっている。

the 王子様!!

いや。今日は皇太子殿下に会うのです。

彼は伯爵様です。

不敬です。


うん。もうこれも毎回ですが、目がつぶれそうなほど眩しいです。

きらきらエフェクトがいつも以上にひどい。

薔薇の吹雪が舞い散りそうです。

デジャブですか。

そうですか。


「ティアーナ? すごく深刻な顔をしているけど、なにか考え事かい?」


えっ。

突然かけられた声にびっくりしてしまう。

声の方に意識を向けると、心配げにこちらをのぞきこむリュシアスの顔がすぐそこにあった。

また更に驚いて、少し身をよじり、頬を紅くしながら答える。


「あ、あぁ。いえ。少しぼんやりしていました。

皇太子殿下にお会いしたことがなかったので、緊張しているんです。」


いえ。ただ、いつものように思考の海に沈んでいただけです。

もうここまでくると、妄想癖とまで言えそうなくらいかもしれません。

私ってそんな癖あったかな……。

イケメンが側にいるようになってから、こんな思考に浸る機会が増えた気がするのだ。

うん。私のせいじゃない。

イケメンのせいだ!

イケメンは妄想を連れてくるのだ。

きっとそうなんだろう。


「そう。それなら、そんなに心配することはないさ。

優しい方だし、私とも旧知の仲だ。普段通りにしていれば問題ないよ。」


さらりと何事もないように言う。

そうか。殿下とも旧友だったのか。


「えっと……。王族の方を相手に普段どおりはさすがにできないと思いますが……。

はい。リュシアス様と仲のよろしい方ならば、とても優しい方なのでしょうね。

少し緊張が和らいだようです。ありがとうございます。」


以前の舞踏会を思い出すと、交流のある方々は本当に優しい方々ばかりだった。

リュシアスの周りにはそういう人たちが集まっているのを実際に見たので、少しほっとする。

きっと大丈夫だろう。

ただし他のご令嬢方については、言わずもがなですが……。


「ふふ。私のことや私の周囲のことが段々分かってきたみたいだね。それはよかった。

もっと色んな私のことを知ってほしいな。」


少し目を丸くして驚いたような表情をした後、嬉しそうに微笑みながらリュシアスが熱くささやく。


分かっていますみたいな発言をしてしまった感がある。

踏み込みすぎたかもしれない。

確かにリュシアスのことはわかってきたような気がする。

距離を置いても優しく見守ってくれる、包んでくれるような人。

私のことをなんでも分かってくれる、いや、分かろうと努力をしてくれる人。

そして何よりも、私を求めてくれる人。

私も……。


そこまで考えて、自分の思考にストップをかける。

舞踏会の前に決めたのだ。

私をさらけ出すこと。

そして受け入れられなければ、諦めること。

これ以上考えて、決意を揺らがせるべきではない。

とにかく今は目の前の舞踏会に集中して、無事に終わらせること。

これに尽きる。

その後のことは……リュシアスに(ゆだ)ねるしかない。

私はただ祈るだけだ。


「ティアーナ。大丈夫だから。無理をしないで欲しい。

私はいつまでも待つし、いつまでも君を愛しているよ。」


愛おしそうに見つめるリュシアスの瞳にとらわれる。

熱烈なプロポーズのような言葉。

私を求める瞳に、体中が沸騰するように熱くなっていく。

あぁ。この熱が、私を放してくれないのよ。

焦がしてしまいそうなほどの熱を持ったそれ。

諦めることなんて、できるのだろうかと不安すらよぎる。

でも、だめよ。もう決めたのだから。

私は『わたし』のことをリュシアスに打ち明ける。

拒否されたのならば、諦める。

そう。きっと拒否されたのならば、この瞳の熱もなくなってしまうのだろうから。

だから大丈夫。


熱く熱く焦がれる思い。

お願いだから、私の全てを受け入れて。


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