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【完結】男やもめに花が咲く~恋でお腹はふくれませんよ?~  作者: 蒼空苺


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2 異世界でしょ!!

「お嬢様? 大丈夫ですか? お医者様をお呼びいたしましょうか。」


「あぁ。ごめんなさい。考え事をしてしまっていたわ。大丈夫よ。」


「まぁ。それならばよろしいのですが。ご無理をなされないでくださいませね。昨日は大変な目に会われたのですもの。」


「そうね。心配をかけたわ。体が痛むところもないし、夜はぐっすり眠れたから、問題ないわ。それよりもお腹が空いてしまって。支度をお願いできるかしら。」


「かしこまりました。何かお変わりありましたら、すぐにおっしゃってください。今日はすでに講師の方に連絡しており、予定を全て取り止めておりますので、ごゆっくり体を休めてくださいませ。」


「わかったわ。」


侍女のマーサは、気遣わしくしつつも、いつも通りテキパキと朝の支度を整えてくれる。

私が産まれたときから世話をしてくれているため、もはや第二の母と言っても過言ではない人だ。

おおらかであるが、時に厳しく叱ってくれるありがたい存在である。

家族が忙しくてかまってくれなくても、マーサをはじめ使用人たちは一様に私に優しく接してくれ、大事に育てられていると実感している。

後継である兄がいることも手伝って、私はのびのびと制限なく過ごさせてもらっている。

といっても、貴族としての最低限の教養や作法については、しっかりと学んでいるが。



さて、ご飯も食べたし、次はこの世界についておさらいしていこう。

この世界は、前世で過ごしていた世界ではない。

つまり、所謂異世界だ。

うーん、異世界ってざっくりしてるなぁ。

銀河系のなかの太陽系の地球なんて存在は、拡大を続ける最果てのない宇宙のなかでは、まぁまぁ存在するんだろうなぁとは考えたことがあるが……

同じような人間の姿かたちで、生活様式も似ている今世の私の住む世界が、なぜ異世界なのがわかるのか?

それはズバリ、魔法でしょ!!

ってことで、この世界には魔法が存在しているのだ。

ははは。異世界あるある。

近代日本のように進んだ科学技術は存在しないが、魔法や魔法道具によって、前世と似たような生活を送れている。

ただし、火薬はなく銃も存在しない。武器となるのは剣だ。

剣と魔法の世界へようこそ!(笑)


……ごほん。冗談はこのくらいで。

地球と似たような環境だからといって、まるっと地球同様の資源があるとは考えにくい。

つまり、同じ物が作れるとは限らない。

武器しかり、食材しかり、だ。

あぁ、懐かしき日本食。あつあつの白ご飯と筑前煮が食べたい。

……また逸れてしまった。

仕方ないのだ。西洋風の生活様式で15年も暮らしているのだから。

米と醤油は日本人のソウルフード。魂に訴えるものがあるのだ! なにせ魂の記憶戻ったばかりだし!

はは。よく分からん冗談になってきた。

ふぅ。仕切り直していこう。


異世界といえば、魔王や魔族だが、この世界ではその存在はないものとされている。獣人なんかもいないようだ。

この世界で魔法は生活する上で欠かせないものであるが、使用できる人間はそんなに多くない。

その代わり、魔法石を媒介にした魔法道具を使うことで、便利に日常生活を送ることができる。

魔法道具をつくる魔法使いや、国防を担う魔法使いは大変貴重で、重宝されている。

また魔法使いとなるほど優れた魔力を持つのは、高位貴族に多い。強い魔力を持つ魔法使いからは、同様に強い魔力を持つ魔法使いが生まれやすいそうだ。

貴重かつ重要な役割を担う魔法使いが、国に庇護されるのは必然だろう。


さて、では私はどうかというと、もちろん魔法使いではない。

多少魔力を持つものがほとんどで、例に漏れず私もそうだ。

呪文をとなえて、火を放つ! なんてことは、全くもってできない。

ファンタジーな世界なのに、残念なことこの上ない。

がしかし、成金男爵家の令嬢であり、食べ物も着るものも困らないどころか、ドレスや舞踏会といった西洋貴族風の生活が送れているので、それはそれで満足している。

平穏に過ごす毎日は、やや退屈ぎみでも満たされていると感じる。

――――いや、満たされているのだと自身に言い聞かせている。



記憶が混乱する前から感じていた。

なぜかどこかぽっかりと穴が開いたような、空虚な心。

理由なんてわからないのに、胸が締め付けられて泣きそうになる。

この世界に生きている理由がわからない。

消えてしまいたいという衝動に駆られる。

優しく大好きな家族や使用人たちでさえ、繋ぎ止める存在となりえない。

誰もいない。


そう。前世を思い出したからこそ、その思いが浮き彫りになる。

――――なんで私はここにいるのか。

あの人はどこにもいないのに。


神のいたずらか、優しさか。

誰も教えてはくれない。


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