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【完結】男やもめに花が咲く~恋でお腹はふくれませんよ?~  作者: 蒼空苺


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25 年少者の余裕

疲れた体をベッドへ投げ出し、今日のことを振り返る。

夢のような時間が過ぎた舞踏会。

本当におとぎ話の主人公にでもなれたようなひと時だった。

あの時の音楽が繰り返し頭の中を流れ、不思議な感覚を再び呼び起こす。


ふぅ。

今日はよく眠れるかしら。

転生とか、彼のこととか、リュシアス様のこととか……。

何も考えずに眠りたい。

ゆりかごに乗せられた赤ちゃんのように、音楽に身を任せて眠りにつこう。


ゆらゆら。


ゆらゆら。



**********



「ティアーナさま! 舞踏会はいかがでしたか?」


「本当にドレス姿、美しかったですものね。

殿方にアプローチされすぎて、お困りだったのではありませんか?」


楽しそうに弾んだ声が、食堂に響く。


「ふふ。楽しかったですよ。お姫様にでもなった気分を味合わせていただきました。

ですが、殿方にアプローチだなんて、全くですよ。はは。」


マルティアリスちゃんのませませ発言に、お姉さんたじたじです。

でも、実際に誰にも声を掛けられることはなかったし。

貴族のご令嬢たちの中では、私程度の容姿では大したことはないだろう。


「まさか! ティアーナさまが声をかけられないなんて?!」


マルティアリスはびっくりした様子で、目を見開く。


「いや。だって、隣にお父さまがいたんでしょう? それは当然なんじゃないの?」


さらりと、さも当たり前だとラファエルが返す。


「あぁ。そうでしたわね。それじゃぁ、仕方ありませんね。

一瞬、会場に来ていた男性陣の目が腐っていたのではないかと心配になりましたわ。」


とても納得したと、しきりにうなずくマルティ。

そして、なぜか会場に来た男性陣を憐れみ始めた。


「マルティったら。そんなわけないでしょう。

ティアーナ様の美しさに気づかないなんて、脳に異常があるレベルだよ。

会場中がそんなだったら、貴族社会の崩壊さ。」


不吉なことを言い始めるラファエル。


「まぁ! 大変だわ。」


そこ、同調するところではないですよ。


「……あの。二人とも、私で遊ぶのはそこまでにしてください?」


「「はーい」」


お返事はいいですが。

お話の内容はいただけませんから。

綺麗だと言われるのは嬉しいが、そういう表現をされるとなんとも居たたまれない。

うーん。まぁ、確かにリュシアス様が隣にいたんじゃぁ、声も掛けづらかったかもしれないけど。

それでも、何のアプローチもなかったしなぁ。


視線を感じたって言っても、リュシアス様の熱烈ファンたちの嫉妬の視線が痛すぎて。

真っ向から対峙することは、腰が引けて……なるべく視線を合わせないようにしていたし。

だって怖いじゃん。

ラカンサ嬢の突撃も怖かったけど、それ以上に何も言わずに視線だけでぐさぐさ突き刺さすような凶器さを孕んだ令嬢たちのオーラが……!!

ファンの思いの深さを改めて実感する。

そして、その数の多さも怖気づくほどだと知った。

アタックを仕掛けないながらも、影ながらに思いを募らせている令嬢が数えきれないほどいるのだろう。


うぅ……やっぱり、そんな方のパートナーになるなんて浅はかだったかもしれないっ!

やっちゃったことは、どうしようもないけれど……。

いや。もう終わったから!

そんな嫉妬の渦の中、よく頑張った自分!

自分で自分をほめまくりたいと思いますっ!


「お二人に褒めていただけるのはとてもうれしいですね。

ですが私の容姿なんて、ご令嬢方の中にいれば埋もれるほどのものでしかないと思っていますよ。

それよりもリュシアス様を思われている方の多さにびっくりしましたね。

そこら中から視線を感じましたけど、それはリュシアス様のせいだと思います。

招待してくださったハイレーン伯爵のご令嬢も、リュシアス様にアプローチされていましたし。

間近にそういう熱い思いを持たれている方を見ると、腰が引けてしまいました。

まぁ、私のお役目はこれから先あまりないでしょうからね。

今回の依頼をやり遂げることができてほっとしていますわ。」



「まさかの発言にびっくりなのはこっちですけど……。」


ぼそっと、ラファエルがつぶやく。

だが声が小さすぎてよく聞こえなかった。


「ハイレーン伯爵令嬢は、お父さまによく詰め寄っておられるお方ですわね。

いつも頑張っておいでですが、相手にもされていないと噂で聞いてますわ。

婚約者の方も決まりそうだというのに、ほどほどになされたほうがいいと思いますけどねぇ。」


小さいのに情報通。

しかも辛辣。


「い、いや……まぁ、そうなんでしょうが……。

人の思いとはどうもしようがないものですからねぇ。」


「ほんとに困ったものですわねぇ。」


「まったくだね。」


も、もう本当にその辺にしときませんか。お二人とも。

私も精神年齢的には高いつもりだが、それでもおかしくありませんか。

ラカンサ嬢よりもよほど年上のような、余裕のある態度をとるお子様がた。

将来は楽しみですが、少し不安にもなりますよ。お姉さん。


「ははは。お二人の将来が楽しみですね。」


二人はきょとんとした表情をして、顔を見合わせくすくすと笑いだす。


「「ずーっと見守っててね、ティアーナさま!」」


今日もハモリが綺麗です。



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