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【完結】男やもめに花が咲く~恋でお腹はふくれませんよ?~  作者: 蒼空苺


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23 ボス登場?

何事もなかったように振る舞うリュシアスに連れられ、ハイレーン伯爵の元へ向かう。

ラカンサ嬢とのやり取りの後、より一層女性陣の注目を集めてしまったように感じる。


「ハイレーン家とは、以前から我が家と取引をしていてね。伯爵にも懇意にしてもらっているんだ。

ラカンサ嬢とも何度か会ったことがあるが、まぁよく突撃されているかな。

こうしてかわすのも慣れたものだね。

ハイレーン伯爵は、そのことを意に止めてはいないようだし。何も問題はないよ。

伯爵が決めた婚約内定者もいるようだしね。

私にこだわるのは、親戚の兄として慕っているようなものなんじゃないかと思っているよ。」


いやいや。そんなわけないでしょ。

あの熱烈アプローチを受けて、そのかわし方はかわいそうな気になってくる。

親にまで真剣に受け止められていないとは。

報われないな、ラカンサ嬢。


話を聞いているうちに、猪突猛進ガール・ラカンサをひらりとかわす闘牛士リュシアスの図が浮かんできた。

イノシシなのか、牛なのか。

……カオスすぎる。やめよう。


呪詛のような言葉をいただいたが、それも問題ないとわかって少しほっとする。

いや。だって怖いじゃないか。悪役令嬢の恨み言……。

実現可能そうなのがいただけない。


「そうですか。リュシアス様や私に実害がなければ、なんでも構いませんわ。」


「ふふ。そんなこと誰にもさせるわけがない。心配することないよ。」


にこやかにおっしゃるリュシアスも少し怖いです。

いえ。でも丸腰な私がなんの後ろ盾もなくいるのは危険すぎます。

社交界において頼りにできる人物との繋がりはまだない。

このままリュシアスの支援さえなくなってしまえば、針の(むしろ)だ。

リュシアスのパートナーとしているか、他の相手を早々に見つけるか……いや相手とかいらないから、これは却下だ。

そうだ。もう社交界に出ないという選択をするしかないのか。

きっとそれが一番いいのだろう。


考えふけっていると、目的の人物のところまでたどり着いた。


「こんばんは。ハイレーン伯爵。今日は招いてくださってありがとうございます。

パートナーと舞踏会に出席できる機会をいただけて、感謝しています。」


「やぁ、ハーツ伯爵。久しいね。元気だったかい?

それにしても、君がパートナーを連れてくる日が来るなんて! 驚きだよ!」


目を見開いて、信じられないといった様子でリュシアスをみる。

悪役令嬢……もとい、ラカンサ嬢のお父様とは思えないくらい、でっぷりと貫禄のあるお方です。

赤髪・緑の瞳なので、ばっちり血は繋がっているのだと思われますが。

しかし、彼女とは違い優し気な目元をしている。

悪役令嬢の父は悪役ボスではなかったようだ。

ほんわかお父さんの登場に、ほっとします。


私に目を向け、納得したように一度頷かれ、微笑みまで浮かべておいでです。


「綺麗なお嬢さんだね。私はマーロウ・ハイレーンだ。以後お見知りおきを。」


胸に手をあて、にこやかにお辞儀してくださる。

伯爵様との交流なんて緊張しかありませんが、ハイレーン伯爵様のお人柄でそう緊張なくいられる。

ほっこりしますね。

……いや、でも何に頷いておいでなのですか?


「お初にお目にかかります、ハイレーン伯爵様。私はアコーリス男爵家の長女、ティアーナ・アコーリスと申します。私のほうこそよろしくお願いいたしますわ。」


ドレスの裾を掴み、膝を落とし頭を下げる。

最大限の敬意をもって挨拶を返す。

ふわりとドレスの裾が揺れた。


「あのアコーリス商会の娘さんなんだね。最近また活躍を広げているようだし、成長著しいと伺っているよ。こんな綺麗な令嬢がいるなんて知らなかったなぁ。」


なんと!


「我が家のことご存じいただけて光栄です! ぜひご贔屓下さいませ。」


「ははは。噂に違わぬ、商売気質の強いご家庭のようだね。これも何かの縁だ。今度機会があれば利用させてもらうよ。」


あぁ……がめついのが全面にでてしまった。

いくらなんでも初対面の、しかも伯爵様を相手にこれはない。

商売人としては合格でも、令嬢として失格だわ……。


「このような場で失礼いたしました。つい嬉しくなってしまって。お恥ずかしいかぎりですわ。」


「ふふ。大丈夫だよ。気にしないさ。それにハーツ伯爵のお相手なんだ。もう他人という感じでもないさ。」


うぅ。笑って許してくれるなんて、どれだけ心が広いんですか……!

ありがとうございます……!

でも、あの。ちがいますよ?

リュシアス様とはそんな関係ではありませんよ?


「ティアーナには先日運命的な出会いをしまして。今は我が家に暮らし、子どもたちの相手をしてもらっているんですよ。もう家族も同然な存在ですので、ハイレーン伯爵様とも今後も交流させていただくと思います。以後よろしくお願いします。」


とってもいい笑顔で何か言ってますね、リュシアス様。

それに再度、うんうんと頷くハイレーン伯爵様。

え。いや。だから、違うって。


「あの、ち……」


「あ。曲が変わったね。そろそろ踊ってくるといいさ。せっかくの出会いを大切にしないとね。逃げられないように、しっかりと繋ぎ止めておけるように努力するんだよ。」


「あ、あの……! だ…………まっ……!」


「肝に命じます。では、少し踊ってきたいと思います。また後程。」


「あぁ。楽しんでね。」


おぉい!

勝手に会話を完結させないでください?!

割り込む隙もなく終了してしまって、もう訂正することも出来ないじゃないですか。

はぁ。最初から諦めてはいたけど、こんな人の良さそうな方まで勘違いさせるのは、なんだか後ろめたい気持ちになる。

お願いだから、もう少し私にも主張させてくださいませ……!


「さぁ。いくよ?」


「…………はい。」




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