想い
僕たち3人は帰るときいつも一緒だ。
「この辺りでまた女子高生バラバラ殺人事件だって〜。
こんな物騒なこと2年前にはこの辺りじゃ聞かなかったのに。怖いな〜。」
「別に、ぶっ飛ばせばいいだろ。それに、お前みたいなブス誰も狙わない。」
「また、義昭はそんなこといってさー。」
少し前を歩いて話しているのはMr.不良の義昭と可愛さと優しさのK点を超えた美女の望美そしてそんなラブコメまっしぐらな2人の後ろを歩く冴えないキノコ頭の僕、道成。
他愛のない話の途中途中に見える望美の横顔が僕は好きだ。
でも、その笑顔の先に僕はいない。
義昭が妬ましい。
そりゃあ、僕は望美が好きだからね。
こんなことを考えていても無駄だと分かっている。
だから、僕はこんな日を壊してやるんだ。
今日、僕は望美に告白する。
とても怖い。
よくある話だけど、この関係が終わってしまう。
漫画とかみてると馬鹿かよとか思うけど、今思うことはそれな!一択だ。
それでも、先に進むと決めたのだ。
引くことは許されない。
今日は義昭がいないらしい。
この期を逃すことはできない。
まだ告白する前なのに心臓の音が速くなる。
心臓の音がこんなに早いことってあるんですね。
そんなことを考えているともう放課後である。
いつも通りの帰り道。
少し前を望美が歩く。
僕はギリギリの声を振り絞った。
「僕は、あなたのことがずっと好きでした」
振り向かれるより先に望美を抱きしめる。
「!?ぐっ…んっ…」
・・・・・・・・・・・2時間後・・・・・・・・・・
(ここはどこだろう。いきなり誰かに抱きつかれて…)
「起きたんだね。おはよう望美。」
この人は…
「あ、あなた私にストーカーしてきた人ね!」
「違うよ!僕だよ、道成だよ!」
「あなたなんて知らないわよ!」
彼の表情が、というより顔自体が別のものになったように見えた。
「ああ、そういえばそうだった。また妄想に入り込んでたよ。」
「あ、あなた、何言ってんの?」
「独り言だよ。気にしないでいい。そして、それ以上口を開くな。」
プスッ。
何かを注射されたらしい。頭がボーッとする。
「僕はね、君のその顔が欲しかったんだよ。最後のパーツにとても相応しいその顔がね。」
(この人はなにを言っているのだろう。)
「僕はやっと完璧な作品を作れるんだ!!この日をどれだけ待ったか!」
(意識が…もう…義昭…たすけ…)
・・・・・・・・・・・・1週間後・・・・・・・・・・
「昨夜未明、〇〇高校の△△望美さんが遺体で発見されました。
遺体の顔の部分が損傷しており、犯人は未だ発見されておりません。
望美さんの友人からの情報提供によると1ヶ月前からストーカー被害にあっており、犯行があったとされる下校時には望美さんは1人だったそうです。
生前の望美さんの発言によると150〜160cmのキノコのような髪型の男性だったようです。次のニュースです。…………」