第二話 少女の姿
ハァイ!
私は雨宮 楓、生粋の成人済み日本人!
社畜属性だよ☆彡
三徹で仕事をしていたはずなのに、気づいたらなぜだか幼女になってしまっていてもう大変☆
次回、いっけな〜い遅刻遅刻!締切は正午まで♡
乞うご期待!
………じゃないんだよねえ。
あまりに受け入れられない現実に頭がトリップしてた。あーだめだ。だめだ。
あれから、私は追加で駆けつけられたメイド衆によって強制的にお風呂に入れられ、髪を手入れされ、傷を手当されネグリジェ姿でベッドに押し込まれた。
どっからそんなにメイドが!?とか、風呂まで何人ものメイドに世話されるの!?とか、髪乾かしてくれて有難いけどなんか美容院でパーマかける時の機械よりやたらゴツイ機械なの!?とか色々 疑問があったが、私は黙ってされるがままになっていた。
最初のメイドさんのように、皆に泣かれては困るなあと思ったからだ。
……あんなに覚めてくれ〜!と祈ったのに、この夢はまだ覚めてくれないらしい。私のねぼすけ加減には困ったものだ。まあね、あんだけ疲れ溜まってる中で仮眠なんて取ろうと思った私が間違ってたよね。そりゃあ熟睡するに決まってるもん。というわけで、私はこの突拍子もない夢の世界で流されるままになっていた。
今、私はようやく1人になれている。
なんとなくまだ眠る気にならなくて、私はベッドをこっそりと抜け出して部屋の中をぐるぐると歩いた。
部屋には中世のロマンス風なアンティークの可愛らしい家具がおかれ、床にはふかふかの絨毯、天井には贅沢にもシャンデリアがかかっている。……これ、子供部屋だよね?
幼女の部屋にしては豪勢すぎて広すぎる部屋の中を巡っていると、ふと姿見があることに気がついた。
金縁でこれでもかと装飾が施された鏡には、鏡の豪勢さには不釣り合いな少女の姿が写っている。フリルのついた可愛らしいネグリジェを着た少女は、不機嫌そうに鏡を睨んでいる。……私なんだろうな、これが。
幼女は透き通る白い肌に、ブルーのつり上がった瞳、くすんだ金髪、頬は薔薇色で、固く結ばれたサクランボのような唇を持っていた。少しキツい顔立ちだが、美少女といっていいと思う。フリフリのネグリジェを着ているせいか、鏡の中の私は、目元をキツく描いてしまったようなフランス人形のように見えた。
ああ、でもひとつ変わったところがあるな。ここは赤ペンで(注)と特筆しなければならない。
(注)少女の髪型は、尖端で人でも殺せそうなドリルパーマだった。