満天の星に願いを
恋人に振られた傷心を癒すため1人キャンプに出掛けた。
レンタルしたキャンピングカーで、知る人が余りいない夜空が良く見えるキャンプ場に向かう。
余り知られていないキャンプ場ではあったが、それでも私の車以外に数台のキャンピングカーが止まっている。
クソ! 皆カップルだ。
案の定夜になるとどの車の中からも、ギシギシあんあんと音が漏れてくる。
「チクショー!」
傷心を癒しに来たのに癒しにならないじゃないか。
キャンピングカーのベッドに寝転がりウイスキーをラッパ飲みしながら、サンルーフから見える満天の星に願い事をする。
「早く新しい恋人ができますように。
可愛くて性格が良い子、私と相性が良く家庭的な子、学歴は私と同程度で一部上場の企業か役所で働いている子、もちろん長女では無く実の親の面倒をみなくてよい子、宗教にはまっていなくて変な趣味を持っていない子、借金は無く寧ろ7桁以上の貯金がある子。
それに私より若い子で、勿論ボンキュボンのスタイルが抜群のできれば処女。
あと……何かあったかなぁ……」
何時の間にか眠ってしまったらしい。
「キャアァァー!」
「ヒィィィー!」
ブォーン! ブォォォー! キキキキー!
なんだぁ? 外から悲鳴と車が急発進する音が聞こえて来て目が覚めた。
ウ、イテテテ、二日酔いで痛む頭に外から聞こえて来る騒音が響く。
痛む頭に顔を顰めながらキャンピングカーのドアを開ける。
ドアを開け周りを見渡してからドアを閉めた。
何だあれは?
顔を洗い、昨日買って置いた二日酔いに効くドリンクを一気飲みする。
それからもう一度ドアを開けた。
顔を洗いドリンクを飲んでさっきより覚醒してる筈なのに、ドアの前に沢山のエイリアンが長蛇の列を作り、空に色々な形のUFOが浮かんでいる光景に変わりは無い。
まだ酔っ払っているのか?
目を瞑り痛む頭を振ってから目を開けたが、やっぱり目の前の光景は変わらない。
だから列の一番前にいる背中に羽が無ければ人間そっくりな奴に声を掛けた。
「何事だ?」
「昨晩願い事をしましたよね?」
「ああ……っと、……したな……」
「ですから、私の星であなたが願った子に適応する女性の釣書と写真をお持ちしました」
「あんたの星でって?」
「願い事に同じ地球人の、と言う願いはありませんでしたので」
「そうだっけか?
それでこの長蛇の列は何なのだ?」
「皆私と同じように、あなたの願いに適応する女性の釣書と写真を持ってきた者達ですよ。
地球人のと言う願いが無かったように、どの星の子って言う願い事も無かったので願いを聞いた星の者が全て集まって来ています。
まだまだ来ますよ。
何と言っても、あなたは満天の星に願い事を行ったのですから」