表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/9

引きこもりのモレスタス

 気温が上がる中。眷族が生気を集めつつある。

 順調に進んでいる現状に満足していたパレンスに通信が入る。

 パレンスが軽く前に手を振ると、彼女の目の前にスクリーンが映し出される。

「…ん?」

 本来ならスクリーンに通信相手が映し出されるはずだが、何も映っていない。

『当主様におかれては、ご機嫌麗しゅう…』

 スクリーンから発せられる聞き覚えのある声に対して、ため息をつくパレンス。

「モレスタス…通信でも引きこもりは止めて欲しい…」

『誰か引きこもりだ!』

 パレンスの言葉が終わるや否や、眼鏡を掛けた女性がスクリーンに躍り出た。

 錆色の髪に眼鏡の奥の黒い瞳、同じクレックス・ピピエンス家であるクインケと同様、パレンスと姿が酷似している。

「で、引きこもっている地下やビルで何かあったの?」

『例年通り居心地は良いのですが…その…眷族があまり生気を送ってくれないので、少し分けて貰えないかと…』

 そう溜め息を吐くモレスタスは確かに覇気を感じられない。

「え、順調に気温も上がっているし、眷族も活動しやすいでしょう?」

『はい、眷族は休眠しませんし、活動できる気温なのですが、あまり吸血していないみたいで…』

 モレスタスの言葉を聞き、パレンスは思い出したようにポムっと手を叩く。

「あ、そう言えば…モレスタスの眷族は、吸血しなくても一回は産卵出来るんだったわね」

『はい…そのお陰で眷族は生き残り易いのですが、吸血してくれないと、私が困る訳で…』

「うーん、これから暑くなると私の眷族もあまり活動出来なくなるから、温存しておきたいのだけど…」

 そこで言葉を切って思案するパレンス。

 クレックス・ピピエンス家において、モレスタスはヒトの生活圏の奥深くに生息できる眷族を持つ、唯一の吸血鬼である。

「我らクレックス・ピピエンス家、ひいてはクレックス属の勢力維持を考えると、支援した方がいいか」

 一つ頷き、スクリーン越しにモレスタスに視線を向けるパレンス。

「分かった。生気を送りましょう」

『ありがとうございます』

 モレスタスは深く礼をし、そのまま通信は切れた。そして、モレスタスに向けて生気を送り始めるパレンス。

 これから訪れる暑い季節で生気が足りなくなったら、暑苦しいほど元気なクインケから奪おうと考えるパレンスだった。

○Cx. p. form molestu

 和名:チカイエカ

 温帯~亜熱帯にかけて広範囲に分布

 地下鉄など安定した環境下にいる

 越冬はしない

 比較的哺乳類を好む

 吸血しないで1回目の産卵が出来る

 媒介する主な感染症:

  ウエストナイル熱

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ