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98話

 夕方より少し前にローランへ到着し門の受付を済ませ街の中に入ると、すぐにコウは冒険者ギルドへと直行していた。


 勿論、直行する理由はトレントの森に行った際、見つけた湖の中心部で浮いていた巨大な魔石のことについて報告と今日の依頼を報告するためだ。


 あの巨大な魔石が光り輝いた時に出たシルエットは魔物のそれにしか見えずまるで卵のようで、コウの勘ではあれは危険なものだと感じていた。


 もし...もしだが、あの巨大な魔石を卵と仮定した場合、トレントやフォレストウルフなどを栄養として吸収し孵化したらどんな魔物が出てくるのかが全く想像できない。


 ただ現在、魔物が減少している原因は確実にあれのせいだろう。


 冒険者ギルドの前へコウは到着し扉を開けて中に入ると、冒険者達は依頼の報告のためか溢れかえっており、サーラや他の受付嬢達は慌ただしく動き回っていた。


 コウは冒険者が作り出した列に並び、受付の前へと進むのを暫く待っていると「次の方どうぞ~」と声が掛かったので前に出るとサーラが受付をしていた。


「コウさんお疲れ様です!依頼はどうでしたか?」


「あぁ依頼に関しては問題無かったぞ。ただ、森の中の湖で巨大な魔石みたいなのを見つけたんだが...」 


 今日の朝にコウが受けた依頼書へと判子を押しながらチェックしているサーラの手がピタリと止まる。


「すみませんがもう一度お願いします」


「だから依頼は終わったけど巨大な魔石を見つけたって...」


「そうですか...コウさんで2つ目の発見になりますね。落ち着いたらギルドマスターの部屋に案内致しますね」


 2つ目ということはサーラの言い方だと既に1つ巨大な魔石があったということになるのだろうか。


 ある程度この溢れかえった冒険者達がいなくなるまでコウは隣の倉庫に行って解体をお願いしたり、ギルドの隅で待ってたりして時間を潰していた。


 冒険者の列も少なくなってきて落ち着いたためか、サーラが受付からこちらに歩いてくる。


「お待たせしました。では部屋に案内しますね」


 そう言いながらいつものギルドマスターの部屋へと案内され、サーラが扉をノックをすると中から「入れ」との声が聞こえたので扉を開けてコウは部屋の中にはいっていく。


 隣りに立っていたサーラはいつの間にかおらず受付へと戻ったのだろう。


 部屋の奥には黒い革で出来た大きな椅子にどっしりと構えて座っているジールとその近くには金髪の髪の少しだけチャラそうな男が立っていた。


「おう!きたか。で...巨大な魔石を見つけたんだっけか?そいつは何処にあった?」


「巨大な魔石ならトレントの生息している森の奥深くにあったぞ。湖の中心で浮いていたな」


「そうか...じゃあ今度はそっちにも冒険者を派遣しねぇとなぁ...」


 ジールはコウの見つけた大きな魔石の対応を太い腕を組み、唸りながら頭を悩ませ考えているようだ。


「そういえば、俺が見つけた魔石以外の魔石は何処にあるんだ?」


 ふとコウは自分の見つけた巨大な魔石以外にも1つだけ既に見つかっていることを思い出し気になったため、頭を悩ましているジールに聞くと隣に立っている金髪の男が口を開いた。


「そのことなら俺が答えようかな?俺は名前はロックス、一応Bランク冒険者だからよろしくっすわ」


 ロックスと名乗った男はコウに握手を求めるように手を前に出されたので軽く握手を交わし、コウも名乗ると詳しく今の状況を説明してくれた。


 どうやら1つは西にある草原の丘の洞窟内にあったらしく今日、たまたま成り立ての冒険者が見つけてギルドに報告していたらしい。


 その巨大な魔石もコウの報告と同じように周囲の魔物を光の粒子と変えて吸収しており、光る度に謎のシルエットが浮かび上がったそうだ。


「西と北か...じゃあ東と南にもあるかもしれんなぁ...」


 北と西の方角に巨大な魔石があるということはもしかしたら南と東の方角にも巨大な魔石があるかも知れないとジールは呟く。


 もしあるとしたら東西南北ローランを中心にして見つかることとなり何が起こるかわからないだろう。


「よし!しょうが無い...ロックス!お前さんが湖の魔石の場所へ行け!」


「え?俺っすか!?危なそうだから嫌っすよ!」


 隣に立っていたロックスはジールに命令されると面食らって一瞬だけぽかんとするがすぐに言われたことを理解したのか嫌がっていた。


「うるせぇ俺が行けと言ったら行け!お前さんのクランのリーダーに言うぞ!」


「そんなぁ!それじゃただの脅迫じゃないっすか!」


 どうやらロックスが所属しているクランのリーダーは恐ろしいらしく渋々、ジールの命令を聞くしか無いのか諦めて湖の魔石の場所へ行くことにしたようだ。


 しかしどうしても湖の魔石の場所へ行くのが嫌なのか床に手をついて絶望している姿を見るとなんともいえない。


「よし、残りは東と南の捜索を進めるしか無いな。悪いがコウ、明日から東を捜索してくれ」


「ん、わかった東だな?」


「あぁそうだ頼むぞ。こっちも過去の文献などを調べるしかあるまい」


 こうしてジールに巨大な魔石があるかも知れないということなので東の方角の探索を任されるのであった...。

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