80話
ライラは外で待っていると言っていたのでコウは1人で大聖堂の中へと入っていた。
大聖堂の中は広い作りになっており、ステンドグラスが天井や壁にびっしりと埋め尽くされていてかなり幻想的な光景だ。
太陽の様な光がステンドグラスを貫通し大聖堂の中にいると身体がじんわりと暖かくなっていく...そんな空間であるのだが、いつもの太陽の暖かみとは違うような気がする。
まぁ異世界なので神が降りた地ともなればそんな神聖謎パワーなどもあるのだろうか...。
「シュレア大聖堂へとようこそ。本日はどうなされましたか?」
受付にはライラとは違った落ち着いた雰囲気のシスターがおり、コウへと話しかけてくる。
「あぁ、ローランにいるギルドマスターから荷物をここに運んでくれと言われて運びに来た」
すぐにコウは収納の指輪のからジールに運んでくれと言われた木箱を出すと受付のシスターに手渡す。
するとシスターはそのまま後ろにある扉の中へと持っていってしまうので暫く待っていると扉が開き先程のシスターが戻ってきた。
「ありがとうございます。確かに荷物を受け取らさせていただきました。こちらが証明書となります」
コウはシスターから受け取ったという証明書を渡されたので収納の指輪の中へと仕舞い込む。
中身は何だったのか気にはなるがそのままコウは大聖堂の外に出るとライラが待っていた。
「荷物は渡せましたか~?」
「あぁ大丈夫だった。それにしてもこの大聖堂は一体誰が作ったんだろうな」
「さぁ~誰がこんな大きな建物を作ったんでしょうねぇ~」
シスターをしているライラもこの大聖堂がいつに出来、誰が制作したのかを知らないらしい。
そんな会話をしているとライラからぐぅ~っとお腹の鳴る音が聞こえたので見ると頭を掻きながら「お腹空いちゃいました~」などと言ってるのが見えた。
まぁ時間帯的にも既に昼のためコウのお腹からもそろそろ何かを食べろと言わんばかりに腹の虫が鳴く。
「そうだな。昼飯にするか」
「じゃあ~良いお店知ってますので案内しますよ~」
「払うのは俺になるんだがな」
どうやらライラは良い店を知っているらしくコウへと案内を提案するが実際のところはお金を持っていなおらず、ただの奢ってもらおうとしているだけである。
といってもライラには色々と助けてもらった面もあるのでコウはそこまで奢ったりすることに関しては気にしてはいない。
「ありがとうございます~!ではお店に案内します~!」
ライラは両手でまるで神に祈るかのように合わせ喜ぶと再びコウの手をライラは取り歩き出す。
いつもはのんびりした足取りの癖に今だけは早足であり、人の食欲とは凄いものだ。
歩いている人の隙間を縫いながら歩くとライラがピタリと止まるので上を見上げるとナイフとフォークが重なった看板がぶら下がった店の前へとたどり着いていた。
店の中からはふわりといい匂いがし鼻孔をくすぐり食欲をそそられるので中へと入っていく。
「いらっしゃいませー!2名様ですね!こちらへどうぞー!」
元気の良い声がし店の看板娘が席へと案内されるとメニュー表を持ってくる。
メニュー表を見ると文字はわかるが一部は異世界独自の食材の名前で書かれているためにどんなメニューか想像できない。
「どれがおすすめなんだ?」
「え~とですね~これとか良いですよ~フェニちゃんだったらこれですかねぇ~」
ライラにおすすめを聞くとメニュー表にある料理を指差していくので看板娘にライラのおすすめを2つとフェニが食べれそうな物を注文する。
机に置かれたコップには水が注がれひんやりと冷たくきっと魔道具か何かで冷やしてあるのだろう。
暫く待っていると料理が運ばれてきた。
「お待たせしましたー!ラルバ鳥のソテーセット2つと果物の盛り合わせになります!」
机の上に置かれた料理はコウの頼んだセットを2つとフェニの果物の盛り合わせだ。
料理の内容はバゲットと野菜を煮込んだスープ、そしてメインのラルバ鳥という魔物の肉であり、フェニは林檎の様な見た目をした果物に加えて他にもみたこと無い果物がカットされ出されていた。
「美味そうだ」
コウは両手を合わせ小さく「いただきます」と言うと近くにあるナイフとフォークを持ち鶏肉のソテーを口に放り込み噛むと肉汁が口の中で溢れ出す。
「久々に食べれて美味しいです〜」
目の前のライラも久しぶりにこの店で食べたらしく、ほっぺに片手をつけ目を閉じ噛み締め幸せそうに言っていた。
いつの間にか机の上にあった料理達は無くなっており、残っているのは空になった皿だけだ。
「ふぅ〜ご馳走様です〜」
ライラは満足したのか少し椅子からずれ落ちながら座って修道服の上からお腹をさすっているので神を信仰している様な者にはまったく見えない。
これでは駄シスターである。
「あぁそういえばオーガの死体はどうする?どこかに解体を依頼するか?」
「あ~そんなのありましたね~う~ん...お世話になってるのであげちゃいます~」
オーガの皮膚や魔石はBランクというのもあってそれなりの値段で取引されているのだが、そんな良いものをまるまると貰っていいのだろうか...。
もしかしたらライラは満腹のため思考が回っていないのかもしれない。
いつの間にか周りの客は既に掃けており、コウは支払いのため少し暇そうにしていた看板娘を呼ぶ。
「はぁーい!支払いですね!銀貨5枚になりますー!」
銀貨5枚...円に分かりやすく換算すれば約5000円であり、昼ご飯にしては少々高いランチとなった。
コウは机の上に銀貨5枚丁度を置くとライラに店を出る旨を伝え、椅子を立つと店から出る。
「そういえば〜コウさんはこれからどうするんですか〜?」
「そうだな...とりあえずは宿でも探すかな」
ジールからの頼みというか依頼も無事終わったのでコウは聖都シュレアを観光しようと思っており、まず最初に宿を探そうと考えていた。
先に観光し、夜になって宿を探しても宿が満員です!野宿!などという事になっては笑えないからだ。
「ん〜宿ですか〜でしたら私の住んでる場所に泊まります〜?」
聖職者であるライラはウィンクしながらそんなことを言いコウの手を取ると食後の運動と称してライラが住んでいる場所へ向かうのであった。
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