746話
「ビビじゃないか。こんなところにいると思ってなかったぞ」
「それはこっちの台詞ですよ!なんでこんなところにいるんですか!」
「周りの魔族に見られてるぞ」
そんなビビとの再会は帝国で別れた時ぶり以来となり、久々となる訳なのだが、まさかこんなところでコウと再会すると思ってもいなかったようで、大きな声を出しながら驚きの表情を浮べていた。
そのため、コウはビビに対して周りの魔族から見られているぞと声掛けすると、ハッとした表情となり、慌てて両手で口を抑えだす。
しかし周りに他の魔族がいる状況下でも驚いてしまっていたビビの気持ちも分からなくはない。
人族が過ごす場所で生活していた筈のコウが魔族達の生活しているこのダンジョン内でまさか再び再会するとは普通に考えてみれば思う訳も無いのだから。
「何だ知り合いか?」
「ん?一応そうだな」
そんな久しぶりに再開したビビとの会話を傍から見ていたロガーは不思議そうな表情を浮かべながら知り合いなのか?と聞かれる。
まぁビビのことについての記憶は無いのだが、自身のことについては知っている人物であり、以前も顔を合わしたことがあるので、知り合いと言えば知り合いと言えるため、首を縦に振りながら肯定していく。
「んじゃ知り合いがいるなら俺の案内はもういらないよな?」
すると今度はホッとしたような表情で此処から先は案内しなくてもいいよな?と聞かれたのだが、確かに知り合いであるビビが居るのであればロガーがもう案内する必要性は無いし、此処からはビビにでも案内して貰えば良いというのは最もな意見である。
「しょうがないな...まぁいいよ」
「うし...!じゃあな変な坊主!」
「変なは余計だ!」
そのため、コウはロガーを解放することにし、此処から先は案内しなくても良いと伝えると、駆け足ですぐさまこの場を離れつつ、軽口を叩きながらそのまま街の中へと消えていってしまった。
何と言うか今からでも追いかけて首根っこを掴み、もう1度コキを使おうとも思ったのだが、まぁここまで案内してくれたのなら十分と言える働きだろうということで、コウはそのままロガーのことを見逃すことにした。
「さっきの人は坊っちゃんの知り合い?」
「あ~...それはだな...」
そんな掛け合いをロガーとしていると、今度はビビが不思議そうな表情を浮かべながら知り合いなのか?と聞いてきたので、今回の経緯について1つ1つ詳しく説明していき、このダンジョンから出る場所まで案内してくれないか?と頼んでいくこととした。
「なるほどね...じゃあまずは外に出るための場所に案内するね。坊っちゃんがここに居ると色々とあれだから早くここから出ないと...」
「早く出ないと何か問題でもあるのか?」
とりあえず今までの経緯やこれから頼みたいことについて話し終えると、事情はしっかりと理解してくれたようで、有難いことに案内はしてくれるらしいのだが、何やら問題があるみたいである。
「その話は歩きながらね」
そのため、何か問題でもあるのかと聞いてみると、理由については歩きながらと言われたため、早足で歩き出すビビと同じ様にコウも早歩きをしつつ、後ろを付いていくことにした。
「さっきの問題がありそうな話ってのは何なんだ?」
「えっとそれはね...ってやば...!」
そして歩きながら早速話を聞こうとすると、コウ達の正面から何人かの執事の服装を身に纏う魔族が現れたのが見えたのだが、ビビはその魔族達を見るや否やその場で足を止めると、今度はくるりと身体を翻し、反対方向へ歩き出そうとするではないか。
執事の服装を身に纏う魔族は方向的に古城から来たのには違いないのだが、ビビの様子から見るにあまり出会いたくなかった人物達だと思われる。
「少々宜しいでしょうか?お聞きしたい事があるのですが」
そのため、コウも同じ様に無言でくるりとその場を翻してビビに付いていこうとすると、正面から現れた執事の服装を身に纏う魔族達はいつの間にか翻した目の前に立ち塞がるかのように立っており、少し聞きたいことがあるとその場で引き止められてしまうこととなるのであった...。
いつも見てくださってありがとうございます!
次回の更新は11月27日になると思いますのでよろしくお願いします。




