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742話

「どういうことだ...?魔道具の故障か?」


 お互いの位置が分かるイヤーカフの魔道具から伸びる光が自身の頭上に向かって続いているのを目にしたコウはその起きた現象は理解出来ず、魔道具が故障してしまったのではないか?とも思ってしまった。


 しかしそんな頻繁に使う魔道具ではないので、そう簡単には壊れないだろうし、これはこれで正しく機能している筈なのだ。


「上に向かって光が伸びてるならここは地下だよな...?いや待て...もしかしてここがダンジョンかもしれないのか...?」


 そのため、どうして魔道具がこの様な状態となっているのか?について少しだけ頭を回転させ考えた訳なのだが、辿り着いた一つの答えというのは転移された先がアルクから無くなったと言われているダンジョンなのではないか?ということであった。


 そうすればここは地下深くに転移したダンジョンということとなり、自身の頭上に向かって魔道具の光が伸びるのも納得がいくと言えるだろうか。


「ダンジョンなら上の階層に行くための階段を見つけないといけないよなぁ...」


 もしここがダンジョンであるならば上の階層へ繋がる階段が何処かしらにある筈なので、まずはその階段を探すこととなるのだが、その階段の場所を探すとなると、かなり時間が掛かってしまいそうではあったりする。


 また今の階層がどの階層に当たるものか分からず、もしも階層が深い位置だとするのであれば1人で歩き回って階段を探すのはかなり危険な状況と言えなくもない。


 とはいえ、どれだけ危険だとしてもここから動かなければ状況は何も変わらないし、深い階層であれば、ライラ達もここへ来るのにはかなり時間がかかると思われるので、コウとしては動かざる得ないだろうか。


「しょうがない...とりあえず上の階層に行くための階段を探すか」


 ということで、コウは上の階層へ行き来できる階段を探すために再びこの廃墟と化しているこの街中を再び歩き出すことにし、あまり音を立てないようにゆっくりと足を踏み出すことにするのであった...。


「あわわ...コウさんが...どうしましょ~...」


「キュ~...」


 さて...時間は少しだけ遡り、コウが転移の罠に引っ掛かってしまったのを見ることしか出来なかったライラとフェニは動揺しているのか落ち着きのない様子となっていた。


「落ち着いて下さい。すぐにエルフィーさん達へ報告しましょう」


 しかしそんな動揺しているライラとフェニに対してイザベルは冷静に落ち着いてと声を掛けつつ、今回の調査を依頼してくれたエルフィー達へ報告をすると告げた。


 何故かというと、現状自身達では目の前にある謎の結界や転移の罠に対して何も出来ず、転移してしまったコウのことについても救出は困難なため、エルフィーなどのSランク冒険者に報告してお願いするしか選択肢が無いといったイザベルの判断であった。


「た...確かに~...でも今から報告するとなると時間が~...」


「そこは私に任せて下さい」


 ただエルフィー達へ報告するにしてもこの広い死の森の中を探さないといけないので時間が掛かるのでは?とライラから疑問がイザベルへ投げかけられたのだが、そこは特に問題ないと返答しつつ、青く澄み渡る空に向かって赤い玉を思いっきり振り被って投げた。


 するとその赤い玉はある一定の高さまで到達すると、大きな爆発音と共に赤い煙が雲のように作られていくではないか。


「キュ~?」


「あれは救難信号の魔道具ですね。多分ですけどエルフィーさん達ならすぐに駆け付けてくれると思います」


 そんなイザベルが空に投げた赤い玉というのは救難信号の魔道具のようで、これを使えばエルフィー達はすぐに気づいてこの場へ駆け付けてくれるとのことであった。


 そして暫くの間、身を隠しながらその場で待っていると、Sランク冒険者であるエルフィーとドールがこの場に訪れたため、ライラ達は詳しい状況の説明をしていくこととするのであった...。

いつも見てくださってありがとうございます!


次回の更新予定日は多分11月10日or11日になりますのでよろしくお願いします!

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