740話
「いてて...」
視界が一瞬だけ暗転し、臀部を強打してから目の前に再び広がった光景というのは先程まで木々が鬱蒼としていた死の森ではなく、見知らぬ街の広場であり、周りを見た感じ所々建物が崩壊してはいるのだが全体的に古い。
そして背後には街の建物と同様に崩壊した城が聳え立っており、過去にはそれなりに栄えていたのだろうと思わさせられてしまう。
「はぁ...軽率だったのは俺だな...」
今のところ理解しているのは自身が転移の罠に引っかかってしまったということであり、何と言うかあれだけライラ達に対して注意喚起をしていたというのに自身が引っかかってしまったというのは何とも間抜けなものである。
とはいえ、まだ転移された先が魔物の目の前だとかの危険な場所じゃなかっただけまぁ良しと言ったところだろうか。
「ライラ達と合流しないと...絶対になんか言われるだろうけども...」
とりあえず目下の目標としてはライラ達の下へなんとかして帰らないといけない若しくはこの見知らぬ土地まで助けに来てもらうべきなのだが、きっと再会した時は何かしらお叱りの一つを受けてしまいそうな気がしないでもない。
「とりあえずここが何処なのか周りを見てみないとな...」
さて...ライラ達と合流するのであれば、まずは周りを見ないことには自身が置かれている状況が分からないので、コウはその場から立ち上がりつつ、お尻に付いていた砂をパッパと払いながら歩き出し、周囲を見て回ることにした。
出来ればここから死の森から遠くでないことを望みたいが転移の罠ということはそれなりに遠くまで飛ばされている筈なので諦めるしか無いだろうか。
それにしてもこの様な状況は何だか既視感があるような気がしないでもない。
「崩壊してるとこを見ると魔物に襲われでもたんだろうか...?」
そんなことを思いつつ、コウはこの街中を歩いていた訳なのだが、崩壊してしまった建物の窓から中を覗いたりしても未だに自身以外の人はおらず、また人がいるような気配すら一切感じない。
やはりこの街は魔物などに襲い込まれたため、住んでいた人達は諦めて他の場所へと移動してしまったのだろうか?
「しかも書いてる文字も分からないな...」
またお店だったと思われる建物もあったりはするのだが、そこに書かれていた文字は覚えたものとは形が若干違ったりしているためか、読めなかった。
「まぁいいや...とりあえずここはライラ達の方向が分かる魔道具にでも頼るか...」
そんなこんなで10分ほど街中を歩いたのだが、特に何の情報も得られることはなかったので、コウは自身の収納の指輪からお互いの位置が分かるイヤーカフの魔道具を取り出していく。
そして互いの位置が分かるイヤーカフの魔道具に頼ろうとすると、タイミングが悪いのか、ずしん...ずしん...と謎の大きな足音が正面にある建物の奥側から聞こえてきたではないか。
「...何だか嫌な予感がするな」
コウとしてはその足音は明らかに人が出すようなものではないことを理解したということで、何が来ても良いようにイヤーカフの魔道具を収納の指輪へ仕舞い込みながら愛用の武器であるサンクチュアリを取り出して手元に置いておくことにした。
そしてそのずしん...ずしん...と鳴り響かせる足音の持ち主が正面にあった建物の奥側からゆっくりと姿を現すこととなったのだが、それは片手に刺々しい鉄の棍棒を持ち、身体に金属の鎧を身に纏う1つ目のオーガのような魔物であった...。
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