738話
「ここからじゃ何が起こったのか分からないな...」
「木に登ったら分かるんじゃないんですか~?」
「それもそうだな」
さて...外に出たのは良いが、ここからでは周りが鉄檻やら大きな木々やらで囲われているので、何が起こったのか分からないため、ライラの言う通り、敷地内から更に外へ出ると、そこらに生えている1番背丈が高そうな木へまるで猿のように登っていった。
それにしてもまだ昼頃ということもあって木の頂上へ登っていくに連れて、燦々と日差しが降り注いでいるため、視界が一瞬だけ白んでしまうが、直ぐに目は慣れていき、死の森の木々が一面に広がる景色が目の前に広がっていく。
「あれは一体何が起こってるんだ...?」
「キュ?」
「土埃が舞い上がりすぎて何が起こってるのか分からないですね~」
「コウさんどうしますか?」
そんなコウ達の目に映った光景というのはここからは少し離れた死の森の中層付近に謎の土埃のようなものが空高くまで舞い上がっているといったものであった。
ただライラの言う通り、煙幕のような土埃が舞い上がっているためか、何が起こっているのか分からず、確認するには近づかないといけないのだが、もし危険な魔物が暴れ回っているのであれば、正直なところそのようなものにあまり近づきたくはないし、自ら危険を冒す必要もないだろうか。
しかし他の可能性も考えてみると、今回の調査に参加している冒険者が襲われているといった線も無くはないといったところ。
そのため、その様な状況を見逃すことは出来ないし、出来ればその襲われてしまっている冒険者の救援に駆け付けた方が良いといえる。
「とりあえず様子を見に行くか?他の冒険者が襲われてたら後味が悪いし」
「それもそうですね」
「では行きますか~」
「キュイ!」
ということで、ここからは少し遠いがその空高くまで舞い上がっている土埃の場所へとコウ達は向かうこととし、地上を移動すると今が何処の位置なのか分からず、また移動も時間がかかってしまうため、木々の太い枝を足場として使い、身軽にヒョイヒョイと飛び移りながら急ぎつつも移動していく。
「それにしても何が起こってると思いますか~?」
「ん?あーそうだな...例えば魔物が暴れているとか冒険者が襲われてるとかかな」
「私もそうだとは思うのですがどうなんでしょうね?」
そして土埃が舞う場所までの移動の最中にライラから何が起こっているのか?についての予想を聞かれたため、コウは自身が考えていた二通りのことについて話すと、どうやらイザベルも概ね同じ様な予想を立てていたようである。
あれやこれやとそんな会話をしながら目的の場所まで移動していると、無事に土埃が空高くまで舞い上がっていた付近へ無事に到着した訳なのだが、まだ土埃が舞い上がっているためか、全体ははっきりと見えないが異様な光景が広がっていた。
「これは一体...?」
「キュ?」
「何なんでしょうか~...?」
「いや待て。何かあるぞ」
その異様な光景というのはまるで地震が起こったかのようにそこらに生えていた木々は軒並み倒れているといったものであったのだが、現状予想していた魔物が暴れ回っていたり、また調査に参加している冒険者が襲われているといった気配はなかった。
そしてゆっくりとではあるが煙幕のように視界を奪っていた土煙が晴れていくと、そこには地面から盛り上がった場所に謎の洞穴のようなものがあることにコウ達は気づくこととなるのであった...。
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次回の更新予定日は多分10月25日or26日になりますのでよろしくお願いします




