735話
さて...フェニの親である雷鳥から魔族のことに関する話を聞き、一夜を過ごした翌日の昼頃。
再び死の森の中を進み、徐々に屋久島の杉の木のような木々へと変化していく周りの風景を流し見しながら歩いていると、当初コウが目的地としていた生家が建っている場所へと到着した。
そんな到着した場所は森の中の一部分が広場のようにぽっかりと空いた空間となっており、以前訪れた時と変わりなく、隠蔽の魔法が掛けられているためか、見たところ何も無い広場には、ぼんやりと空間が歪んでいるような感じがしなくもない。
「何だか不思議な場所ですね~」
「まぁとりあえずこのまま着いてきてくれ」
ということで、そのまま中心部にある隠蔽された生家に向かうことにしようとすると、背後にあった草むらの影からガサッ!という音が聞こえたため、コウはハッと気づき、足をすぐに止めて振り返った。
「何かの気配がしたので咄嗟に隠れたんですが...コウさん達でしたか」
「なんだイザベルか...俺も魔物か何かかと思ったぞ」
「イザベルさんじゃないですか~」
「キュ~!」
そしてそんな振り向いた先に立っていたのは美しい銀髪の髪の毛に対して青々しい葉っぱを髪飾りのように付けているイザベルが立っており、まさかこんな広い死の森の中で鉢合わせたりするなど思ってもいなかった。
「ん...?そういやもう1人の相方はどうしたんだ?」
「アダリネさんは1日目の途中で体調が悪くなったので死の森の外でゆっくりしてもらってますね」
「なるほどな...ていうか1人で行動してたのって危なくないか?」
「いえいえ寧ろ1人のが身軽に調査できますので」
どうやらイザベルと組んでいた相方であったアダリネに関しては初日の途中で体調が悪くなったということで、途中でリタイヤとなり、死の森の外で休息を取ってもらっているようだ。
また死の森を1人で調査するのは危ないのでは?とも思ったのだが、イザベルにとっては単独行動で死の森を調査している方が性に合っているとのこと。
「ふぅん...まぁ怪我とか無いなら良いけどな」
「あっ...コウさん目の前にある広場に行くのはおすすめしないです。見えない何かがあるみたいです」
そしてコウが目の前にある森の中の一部分にぽっかりと空いた広場のような空間に向かって再び歩き出そうとすると、背後にいたイザベルが真剣な表情を浮かべながら注意勧告をしてきたではないか。
(ん?前来た時は近づいたら家が見えた筈なんだが見えない何かがあるって何を言ってるんだ...?)
はて...?近づけば建物が現れる筈なのにイザベルは何を言っているんだ?と思いつつ、コウはそのまま森の中にぽっかりと空いた広場に向かって足を進めると、ドーム状にぼんやりとしていた空間がぐにゃりと捻じ曲がり、1軒の家を黒い檻が鳥籠のように囲い込む景色へと変化していく。
「ん?あぁもしかしてこれ血縁者じゃないと入れないのか。だからイザベルが近づいた時は見えないままだったのか」
今思えば、見知らぬ人や魔物が不意に近づいて隠蔽の魔法が解けてしまっては意味がないので、もしかすると隠蔽の魔法を解くには血縁者である人物などが近寄らないといけないのかもしれない。
そして森の中の一部分にぽっかりと空いた広場のような空間へ急に現れた建物に対してライラやイザベルは驚いているのか、あんぐりと大きな口を開き、まん丸と目を見開いているではないか。
「まぁとりあえずここは大丈夫だから俺に着いてきてくれ」
そんな驚きの表情を浮かべる2人を少しだけ面白いなと思いつつ、コウはライラとイザベルに対して手招きをしながらハイドと共に生活していた生家へ招き入れることにするのであった...。
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次回の更新予定日は多分10月13日or14日になりますのでよろしくお願いします。




