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734話

『理解して頂けて何よりです』


 そしてコウ達が武器を下ろしたことによってなのか、目の前にいる魔物はホッとしたような声色となり、そのまま大きな翼を広げ、止まっていた木の枝から今度は地面へふわりと優雅に降りてきた。


「それで...フェニに会いに来たんだよな?ほらお前の親みたいだぞ?」


「キュ?」


 とりあえずフェニに会いに来たということなので、顔でも合わせさせようと思ったのだが、フェニは首を傾げながら不思議そうな表情を浮かべており、いまいち自身の親だとピンときていない様子でコウの肩から離れることはなかった。


『私のことは覚えていないでしょうね。いつの間にかその子は孵化していませんでしたから』


「あー...確かに俺がフェニと出会った時はもぬけの殻だったな。なんで一緒にいなかったんだ?」


『それには理由があったのですよ』


 確かフェニと最初に出会った時は孵化して1人寂しく鳴いていただけであり、何故一緒にいなかったのかを聞いてみると、なにやら理由があったようだ。


 そのため、どうして一緒にいなかったのかの理由について詳しく聞いてみると、どうやら定期的にこの死の森を巡回しているのだが、その際に魔族が現れたため、それらと交戦状態となったらしい。


 しかし魔族との交戦も無事に終え、帰ってきた頃には卵の殻だけがその場に残された状態で孵化したフェニの姿が周囲には見られなかったことにより、最初は焦りを覚えたらしいのだが、微かに生きているという繋がりを感じ、無事を祈りながらここに再び返ってくると信じ、待っていたみたいである。


「なるほどな...ていうか魔族がいたってことはやっぱ死の森はきな臭いな」


「みたいですね~やはりダンジョンの転移は魔族やら死の森やらと関係してそうですね~」


 それにしても話の流れを聞いている感じ、やはり魔族がここを訪れているということは転移してしまったダンジョンがこの死の森と関わっているのではないか?と何やらきな臭さを感じてしまう。


 とはいえ、他に目的があってここへ魔族が訪れていたという可能性も否めなくはないので、実際にその魔族がいた場所を見てみないことには何も分からないだろうか。


「あーっと...そういえばなんて呼べば良いんだ?」


『名ですか...。そのようなものはありませんがエルフの者達には雷鳥様と呼ばれてましたね』


 そのため、その魔族がこの死の森の何処に何をしに来ていたのかについて詳しい内容を聞いてみようとも思ったのだが、目の前にいるフェニの親とやらの名が分からず、言葉が詰まってしまった。


 ということで、目の前にいるフェニの親とやらの魔物に対して名前はあるのかどうかについて確認してみると、どうやらエルフの里でフェニと同様に雷鳥様と呼ばれていたらしい。


「じゃあ雷鳥様か...?その魔族は何しに来てたか分かるか?後はその居た場所についても」


『そうですね...彼らは中層付近にいましたが何をしているかについては私には...』


 とりあえず呼び名も分かったため、目の前にいる魔物のことを雷鳥様と呼びつつ、コウはこの死の森に訪れた魔族が何処へ何をしに来たのかについて今度こそ詳しく聞いてみると、どうやら目的については分からないが、今の位置である前層よりも少し深めのに中層付近に魔族達は訪れていたようだ。


「ふぅん...ちなみに深層以降には魔族は見なかった感じか?」


『いえ...深層は私では行けませんのでそれについては分かりません』


「行けない?」


『あそこは私よりも上位の存在がいますので迂闊に入れないのですよ』


 また深層以降に魔族は見かけたりしていないかを聞いてみたのだが、残念ながら深層には更に上の存在がいるためか、入ることは出来ず、また魔族が訪れたりしたのかについても分からないとのこと。


『さて...我が子の顔も見れましたし私は行きます』


「ちょっと待てって。フェニは俺に預けたままでも良いのかよ?」


 そんなこんなで話が一段落すると、フェニの親である雷鳥は大きく立派な金色の翼を広げ、羽ばたくと、周囲の砂を巻き上げて砂埃を作り上げながら飛んでいこうとしたため、コウは自身にフェニを預けたままでも良いのかと呼び止めることにした。


『その子に私はもう必要ないでしょう?それにあなたにとっていずれ助けになると思いますよ」


 そして呼び止められたフェニの親である雷鳥は含みのあるような言葉を残しながらそのまま大空へと飛び立っていってしまい、その場に残されたコウ達は今後の方針を考えつつ、野営の準備を進めることにするのであった...。

いつも見てくださってありがとうございます!


次回の更新予定日は多分10月9日or10日になりますのでよろしくお願いします。

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