732話
さて...ライラに自身のことについてを話してから翌日は再び死の森の内部に不審なものはないかを探しながらコウ達はハイドと共に生活していた家に向けて歩みを進めていた。
「わぁ~湖ですよ~広いですね~!しかも真ん中に小島みたいなのもありますよ~!」
「キュキュイ!」
そしてスムーズに進んでいると、途中で死の森にある巨大な湖へ到着したのだが、そこは生家までの道のりの2/3を経過した場所だと記憶しており、またフェニとも出会った場所である。
以前帰省する際に訪れた場所なのだが、何も変わっておらず、中央にある1本の木も堂々とした佇まいで生えていたりする。
時間帯は少し早いのだが、目の前の湖の中心に浮かぶ小島はこの死の森の中では魔物があまり訪れることのない安全な場所と今のところは思っているため、今日はここらで休息といった形となるだろうか。
「今日はとりあえずあそこで休むぞ」
「分かりました~安全そうですもんね~」
「キュイ!」
ということで、コウは以前と同じ様に湖に手を入れて魔力を流し、ぶ厚めの氷の道を作り出すと、そのまま湖の中心部にある小島まで進むことにした。
そしてそんな湖の中心部にある小島へ到着して1本の大きな木の根元付近へ到着すると、そこには自身ではない、誰かがここ数日まで居たような形跡があり、もしかすると、今回死の森の調査に参加した冒険者達の誰かかもしれない。
しかしその誰かがいた痕跡というのは少しだけ散らかっており、その周辺も荒れているような気がしないでもない。
「誰か来てたみたいですね〜」
「本当だな...意外とみんなペースが早いのか?」
それにしてもこんなところまで他の冒険者達が調査に訪れているとも思っていなかったため、ハイドと共に生活していた家を誰かが見つけてしまっているのではないかと少しだけ焦りを覚えてしまう。
とはいえ、ハイドと共に生活してた場所については周囲から分からないように特殊な隠蔽魔法で隠されている筈なので、そう簡単には見つからない筈だと思いたい。
「ここにいた人が戻ってくると情報交換くらいなら出来そうですね~」
確かに数日まで居たと思われる自身達と同じ雇われた冒険者がこの場へ戻ってくるのであれば、何かしらの情報交換が出来るのだが、そもそもここに居たのはその冒険者達なのかは不明であるし、戻ってくるような保証もない。
「そうだけどそれは後で考えるとしてまずは野営の準備するぞ」
「了解です~」
とりあえずその戻ってくるかどうかも分からない冒険者をただ待っていてもあれなので、今日の野営の準備を行うことにし、収納の指輪の中から次々と必要な物を取り出していく。
そして野営に必要な物を取り出していると、何処からともなく、バサバサと何かが羽ばたいているような音が聞こえてきたため、何だか嫌な予感が脳裏をよぎったコウはパッと頭を上げて空を見上げる。
するとそこにはフェニに似た金色の翼を持つ約3m程の巨大な鳥が上空で羽ばたいており、それはこちらに向かって降りてくる最中だったではないか。
そんな光景を見たコウ達はギョッと目を見開くも、もしかしたらフェニが巨大化してしまったのではないかと思い、先程までフェニがゆっくりと寛いでいた場所へと視線を移す。
しかし視線を移した先には自身達と同様に驚いたフェニが居るだけであり、どうやらフェニが巨大化したのではなく、上空から降りてくるのは自身達とは全く持って関係ない魔物ということになるだろうか。
そして小島の中心部に生えている1本の巨大な木にフェニに似た巨大な鳥は降り立った訳なのだが、もしかするとこの魔物が現れたため、前日までここに居た人物達は去っていってしまったのかもしれない。
そのため、このままでは野営することもままならないということなので、目の前に現れたフェニに似た巨大な鳥をどうにかするため、コウ達は各々自身の武器を構えていくのであった...。
いつも見てくださってありがとうございます!
次回の更新予定日は多分10月1日or2日になりますのでよろしくお願いします。




