723話
さて...暫くの間、教会の外で祈りを捧げにきたライラのことを待っていると、信仰している神様への祈りが終わったのかようやく教会の中から出てきたため、コウは腰掛けていたブロック石から立ち上がり、近づいていく。
「ありがとうございます〜これからどうしますか〜?」
すると祈りを終えたライラから待っていたことについてお礼を言われつつ、これからどうするのかを聞かれると同時にコウのお腹がぐるぐると音を鳴り出した。
そしてそんなお腹が鳴る音を聞いたライラはくすくすと笑い出したのだが、今度はライラのお腹もコウと同じようにお腹が鳴り、恥ずかしさを感じたのか徐々に顔を茜色に染めていく。
「とりあえず飯にでもするか」
「あはは〜...そうですね〜...」
とりあえずお互いに朝食をまだ食べていないことなので、まずは他のことをする前に朝食を済ませるべきだろうか。
ということで、コウ達は朝食を食べることにし、時間帯的に開いている筈のお店を探しながらローランの街中を歩き出すこととなった。
一応、フェニも朝食に呼ぼうとも思ったのだが、きっと今頃はローランの街中を飛び回って好きな物を食べ回っていることなので、放置で良いかもしれない。
そんなこんなで街中をゆったりと歩いたのだが、やはり朝早くから時間も少し経ったということもあってか、ポツポツと飲食が出来るような店は開き始めており、それなりに客が入り始めている様子。
「なんか良い店とか知らないか?」
普段、コウは外で食べるとなると、大体が屋台などの手軽な料理となったり、魔食堂という場所くらいで、あまり美味しい店などは知らなかったりするため、ここは普段から冒険者ギルドの受付嬢と情報を交換し合っているライラへ聞いてみることにした。
「そうですね〜...あっ新しく出来たお店なんてどうでしょうか~?」
そんなライラから出てきた提案は最近出来たばかりの新しいお店があるようで、そこは昼時は混むらしいが、朝のうちから行けばすんなりと入れるお店らしい。
今のところ候補はそこ以外に出てもないし、思いつかなさそうということなので、とりあえずその出来たばかりの新しいお店へコウ達は足を向かわせることにした。
「ここですね~」
「それなりに客はいるけどまだ入れそうだな」
そして目的地としていた出来たばかりの新しいお店に到着すると、パッと見それなりに賑わっている様子ではあるのだが、一応席は空いているみたいであり、特別座れないような状況ではなさそうであった。
「いらっしゃいませー。2名様でよろしかったでしょうか?」
「あぁ2人で頼む」
「ではこちらへどうぞー」
ということで、コウ達はお店の中へ入っていくことにし、店員から席まで案内されることとなったのだが、2人組用の席が空いていないこともあって4人が座るような席へ通された。
さて...通された席でメニューを見ながらどれにするかをライラと話し始めたのだが、やはり出来たばかりのお店ということもあってなのか、未だに新規の客もチラホラと入ってくるのが目の端からでも分かり、もう少し遅く来ていたらもしかすると席は空いていなかったのではないかとも思ってしまう。
そんなことを思いながら新規の客を流し見していると、入ってきた客の中に見知った顔の2人組があり、どうやらそちらもコウ達の存在に気付いたようでこちらに近づいてきたではないか。
そしてそんな近づいてきた見知った顔の2人組は一体誰なのかというと、それはアルトマード王国でSランク冒険者と呼ばれているエルフの少女であるエルフィーと以前、追ってくる魔族から逃がしてもらったドールであった...。
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