716話
さて...風呂の準備が出来てからというものコウは冷え切った身体と精神的に疲れた心を癒すために風呂に入ったのだが、些細なトラブルとしてライラが背中を流すために風呂場へ無理矢理にでも入ってこようとしたことなどもあった。
そんな些細なトラブルもありつつ、風呂に浸かったお陰で疲れはお湯へ溶け込んでいき、冷え切っていた身体も暖まったということで、風呂から出ると、その日は収納の指輪の中から料理を取り出してササっと軽い夕食を済ませることにした。
そしてライラやフェニと軽い夕食も済ませたということで、各々は更に身体を癒すために自室へ戻ることにしたのだが、コウは自室へ戻ると、机の上に手紙か何かが入っていると思われる封筒のようなものが置かれていることに気が付く。
「あれ?手紙か?全部処理したと思ったんだけどな」
はて...溜まっていた手紙は全て処理した筈なのだが、自身が気付くことなく、処理をし忘れていたのだろうか?とコウは頭を傾げてしまった。
「これフェニが持ってきたのか?」
「キュ?」
一応、巣作りをして寝る準備を整えているフェニに対して手紙を持ってきてくれたのかと確認するも、本人は何の話?といった顔をしており、そもそも手紙を持ってきてくれたのであれば、置かれているのではなく、直接手渡されている筈である。
まぁ自身の部屋の机の上に置いてあるのなら、きっと処理し忘れていたものなのだろうし、自身宛の手紙が入った封筒だと思ったため、コウはベッドへ横になる前にまずは誰からの宛先なのかを確認することにした。
そして机の上に置いてあった手紙が入っていると思われる封筒を手に取り、表裏をひっくり返しながら差出人の名前を確認してみるも、おかしなことに差出人の名前が見当たらないではないか。
「中の手紙を見ないと分からないのか?」
ということで、今度は中にある筈の手紙を確認することにし、コウはペーパーナイフなどを使いながら丁寧に中身を破くことがない様に封筒の封を開封していくことにした。
「これは...招待状?差出人は...イザベルじゃなくて誰だこれ?」
そして封筒を開封し、中に入っていた手紙と思われる1枚の紙を取り出したのだが、それは黒色の用紙に金色の塗料で文字が書かれた招待状のようなものであり、少しだけぼんやりと光っているような気がしないでもない。
そのため、最初は差出人がイザベルからだと思ったのだが、実際には見知らぬ人物の名が右下に記されており、過去に出会った人物達の顔を思い出しつつ、名前を照らし合わせながら思い返しても、右下に記されていた名前の人物と関わりを持った記憶はなかった。
「どうするかな...知らない人から招待されてもなぁ...」
しかしそのような見知らぬ人物から届いた怪しさ満点の招待状に対してそう簡単に頭を縦に振ることは出来ないし、この件に関してはライラなどにまずは相談した方が良いかもしれない。
「まぁ相談とかは明日でも良いか。もう寝る時間だし」
とはいえ、既に時間帯はもう寝る時間帯となっているため、この件に関しての相談については翌日にでも相談すれば良いことの筈だし、そこまで急ぐ必要はないだろう。
ということで、手に持っていた招待状をベッドの隣にある机の上に置くと、コウはベッドに身体を預け、明日に向けてゴロゴロとしだしたのだが、急に謎の睡魔に襲われ、そのまま深い闇の底へ意識が吸い込まれていくのであった...。
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