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714話

「うーん...川の幅を広げたり水の通る道とかを新しく作れれば良いんだけど...」


 暫くの間、自身の担当する場所の堤防を補強しながらコウは増水してしまったこの川をどうにか出来ないかと考えていたのだが、最終的に出てきた答えが川の幅を広げたり、新たな水の通り道を作れば良いのではないか?といったことである。


 そうすれば川の水を受け入れる許容量が増えたり、増水してしまった川の水はその新しく作られた水の通り道へ分散して氾濫することが無くなったりと、無事に解決することが出来る筈だと思っていた。


 ただ問題点としてそのような大規模な治水の工事を土魔法の使えないコウでは出来ないし、仮に出来たとしても、そのようなことをローランの領主などの上の人達に相談もなく、行っても大丈夫なのだろうか?


 そのため、どうにか出来ないかと頭を悩ませながら他に方法は無いかと再び考え始めると、右肩をぽんっ!と叩かれたということで、後ろを振り返ってみると、そこには冒険者ギルドのギルドマスターであるジールが立っていた。


「ご苦労さん。調子はどうだ?」


「ジールさんか。ここらの堤防は何とかなったけどこのまま雨が降るなら他の場所は厳しいかもな」


「うーむ...じゃあ何かコウは良い案は思いつかんか?」


「それなら川の幅とか新しい水の通り道とか作れないのか?」


 どうやらジールがここに来た理由は氾濫しそうになっていた川はどうなっているのかの様子を見に来たようで、コウは現状の状態を伝えてみると、川の氾濫をどうにする他の良さげな案は無いかと聞かれることとなった。


 まぁ自身では土魔法などの適性がなく、難しい話だとは思うのだが、コウが先程まで考えていた川の幅自体を広げたり、新たな水の通り道を作れたりしないかを出来ないかについて逆に聞いてみることにした。


「やってもいいんだがなぁ...それじゃ他の補強した堤防が疎かになっちまう」


 そして返ってきた返答としては川の幅を広げたり、新たな水の通り道を作ったりは可能なのだが、現状だと堤防の補強で人員が割かれているため、少々厳しいとのことであった。


 つまり人員さえ揃っていれば、出来なくも無いようなので、ここは自身がここら一帯の堤防の補強を一任すれば良い話であり、そうすれば人員も揃うだろうか。


「じゃあここらの堤防を俺だけで補強出来れば作れるんだよな?」


「あぁそうだが...」


 ということで、コウは自身の場所から届く範囲ギリギリまで膨大な魔力を広げると、他の魔法使いが担当する場所にも堤防の補強として新たな氷壁を次々と作り出していくことにした。


 すると背後に立っていたジールはそんな次々と新たな氷壁が作り出される光景に圧倒されているのか、一言も発することなく、こちらに目を丸くしながら視線を向けてきたではないか。


「これで良いんだろ?」


「お...おう。じゃあ手が空いている魔法使いを連れてくから無理はするんじゃないぞ!」


 そんな目を丸くして一言も発さないジールに対してこれで問題ないか?について確認してみると、今度は引き気味で反応しながら手の空いた魔法使いを集めるためにこの場から去って行ってしまった。


 折角、ここら一帯の堤防を補強したというのにジールの反応が何と言うか引き気味だったのは納得いかないが、とりあえずこれでなんとか川の氾濫は収まる筈である。


 そして暫くの間、他の魔法使い達が川の幅を広げたり、新たな水の流れる通り道を作り終えるまでコウは水量が増していく今にも氾濫してしまいそうな川を自身が作り出す氷壁で耐え続けることにするのであった...。

いつも見てくださってありがとうございます!


次回の更新予定日は多分7月29日になりますのでよろしくお願いします。

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