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708話

「コ...さ...コウ...さん...」


「...んぁ?」


「コウさん~もう終わっちゃいましたよ~」


「すぐ眠ってしまいましたね。気持ちは分からなくないですけど」


「キュ!」


 肩をゆさゆさと揺らされながら、聞き覚えのある声で呼び掛けられたということで、コウはゆっくりと瞼を開き、暗闇の底から意識を徐々に取り戻していくと、そこにはライラやイザベルが覗き込むような顔が目の前にアップした状態で視界へ入ってきた。


 はて...それにしても何故自身はここにいるのだろうか?そしてどうしてライラとイザベルが目の前にいるのだろうか?などと状況が一瞬だけ掴めない状態に思考が陥るのだが、すぐにコウは2人の言葉で意識が無くなる前の記憶を思い出す。


「あぁそういえばマッサージを...って...しまった...」


 せっかく穴場と呼ばれる場所へ訪れ、折角マッサージを堪能しに来たというのに眠ってしまったせいで、何一つ覚えていないことに対してコウは何と言うか勿体なさを感じさせられてしまうこととなった。


 ただ後悔してしまったものの、足を動かしてみると、羽根のように軽く、きっとこれがマッサージの効果なのだろうと実感する。


「それにしてもマッサージは気持ち良かったですよね~」


「これから毎日通いたいぐらいには気持ち良かったですね」


「キュイ!」


 そしてコウと違ってライラ達はしっかりと起きてマッサージがどのようなものだったのかをしっかりと体感していたようで、各々は感想を述べながら楽しく話し合っており、自身もマッサージを受けた筈なのに蚊帳の外にいるような気分となってしまう。


 そんな周りの反応に出来れば起こして欲しかったと思うのだが、寝てしまったのは自分の責任なので文句の1つも言えることはなかったりする。


 ということで、少しだけ後悔をしつつ、コウはライラ達の話をふんふんと感想を聞いていると、店員が奥からがらがらとティーポットとティーカップが乗せられたワゴンを手で押しながらこちらに向かって歩いてくるではないか。


「こちらが当店おすすめのハーブティーとなります」


 どうやらコウ達の下へ運んできてくれたのはこの店のおすすめとされているハーブティーのようで、ティーカップを手渡されると、そのままコポコポとティーポットから注がれたのだが、良い香りが空間をふんわりと包みこんだ。


「ふぅ...落ち着くなこれ」


「わぁ~これ美味しいですよ~」


「ん...身体が温まりますね」


「キュ!」


 とりあえず淹れられたばかりの温かな飲み物ということで、覚めてしまわぬようにコウ達はハーブティーの入ったティーカップへ口を付けると、良い香りが鼻を通り抜け、胃へ到達すると全身へ染み渡り、身体がポカポカと温められていく。


 そしてハーブティーのお陰でお腹が温められたためなのか、ぐぅっ...と腹が鳴り、今はお腹が空いているということを気が付かされることとなる。


「ここはご飯も食べれるって聞いたんだけど」


「勿論お食事は大丈夫です。こちらが品書きとなっております」


 そのため、店員に対して食事は出来ると聞いてみると、すぐにワゴンの横に取り付けてあった収納部分から品書きを取り出し、そのまま手渡してくれたので、コウ達は目を通していくことにした。


 そんな品書きにはメインとなるようなステーキなどのがっつりした料理や手軽に食べることが出来るサンドイッチなどの料理、はたまた女性向けのケーキやクッキー、そして従魔向けの料理など、どんな客層が来たとしても満足行くように幅広く書き連ねられており、どれもこれも美味しそうということもあって目移りしてしまうだろうか。


「俺はこのオークの肉挟みサンドってやつと従魔用のおすすめ料理を1つ頼む」


「キュ!」


「ん~っと...じゃあ私は5種のフルーツサンドをお願いします~」


「では私はこの胡桃のムースでお願いします」


「畏まりました。では少々お時間を頂きますのでお待ち下さい」


 そして品書きに対してのにらめっこが終わると、各々は自身が食べたい料理を店員に伝えていき、注文を聞いてくれた店員は少しだけ待って欲しいとコウ達に言い残すと、再びワゴンを運んできた方向へ戻って行ってしまったので、料理が出来上がるまで暫くの間、待つこととなるのであった...。

見てくださってありがとうございます!


次回の更新予定日は多分7月10日になると思いますのでよろしくお願いします。

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