694話
「昨日は帰ってくるのが遅かったんですけど何かあったんですか~?」
「ん?あぁ昨日は色々とあって多くの冒険者と模擬戦をすることになったんだが...」
翌日の朝。朝食を終えてからゆったりとした時間を過ごしていると、ライラから昨日は何故帰りが遅かったのかについてを聞かれることとなる。
そのため、昨日起こった出来事について事細かにでは無いが、掻い摘んで話をしていくと、からからと笑いながら「災難でしたね」と言われ、コウはその通りだと思いつつ、頬に片手を置いてため息を少し吐く。
「じゃあ逆に聞くけどライラは何をしてたんだ?」
とりあえず自身の身に起こった昨日の出来事について話し終えたということで、今度はコウが逆にライラへ昨日は何をしていたのかを聞いてみることにした。
「んふふ~昨日はサーラさんとお出掛けしてましたよ〜」
どうやら冒険者ギルドの受付嬢であるサーラと共に昼間は買い物へ出掛けてたようで、コウと違って対照的に変な出来事が起こることもなく、充実した1日を過ごせたとのこと。
とまぁ話を聞き終わると、なんというか自身も最初は普通に充実した1日を過ごそうとしていただけなのにどうしてこんな差がついてしまったのか、原因を頭の中で追求してみると、明らかに自身のせいとなってしまうため、ここは何も考えない方が良いだろうか。
「そういえばコウさん宛に手紙が届いてましたよ~」
「手紙?」
「ですです~はいどうぞ~」
そんな充実した1日を過ごすことが出来たライラはコウ宛の手紙がこの家に届いていたのを思い出したようで、席を立つと近くにあった棚の引き出しからその届けられた手紙とやらを取り出し、こちらに手渡してくる。
そして受け取った手紙は綺麗な封筒に入っており、裏の開け口には鳥のデザインの封蝋でしっかりと封がされているのだが、差出人が誰なのかはその封蝋を見れば何となく分かったりもする。
一応、誰からの手紙なのかは封蝋で見当が付いているが、中身を見てみないことには分からないため、開け口に貼り付いている封蝋を丁寧に剥がすと、中に入っていた丁寧に折りたたまれた手紙を取り出していく。
「えーっと...なになに?やっぱりディルからの手紙か」
ということで、折りたたまれた手紙を開き、まず最初に確認したのは手紙の右下部分なのだが、そこには差出人として王都にいるディルの名が記されており、やはりというかコウの予想通りの人物からの手紙である。
とりあえず差出人は分かったということで、次に手紙に書かれている内容をじっくりと見てみると、そこには従魔と一緒に生活している人を王都にあるディルの屋敷へ近々集めて交流会を行うらしく、もしよければコウも参加してみないか?というお誘いであった。
「どんな手紙だったんですか~?」
「ん?あぁ今度従魔と一緒に生活してる人達を集めて交流会を開くんだとさ」
「へぇ~良いお誘いじゃないですか~行くんですか~?」
「フェニに色々と経験させるのも良さそうだから行こうかなとは思ってる。息抜きにも良いしな」
コウとしてはその交流会とやらに参加してフェニにも色々な魔物達と触れ合せたり、ディルの従魔であるルーに久々に会わせて息抜きをさせてあげるのも悪くはないと思うため、今のところは参加をしたいところ。
とはいえ、フェニにも交流会に参加をしたいかどうかの意思の確認はしないといけないのだが、今日も何処かに出掛けているので、また帰ってきてから確認をした方が良いだろうか。
まぁフェニに交流会を参加するかどうかの意思を聞いたところで、どうせ参加したいと言い出すのは容易に想像がつくため、コウはディルに対して参加する返事の手紙を書いて送る準備をとりあえずしていくことにするのであった...。
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