682話
「さてと...目的のハートシーリングが手に入ったしローランに帰るか」
「そうですね~しかもタダで沢山頂けて良かったですね〜」
「キュ!」
さて...入り江に居座っていた蟹の魔物を討伐からというものコウ達は漁村に戻り、市場にいる漁師達の下へ向かうと、自身達が蟹の魔物を討伐したため、いつでもハートシーリングという海産物を獲ることが出来るといったことを伝えた。
しかし最初は何かの冗談だと思われていたのだが、コウが収納の指輪の中から討伐した蟹の魔物を取り出すと、漁師達は驚きの表情を浮かべ、最終的には感謝をされることとなった。
そして翌日にはコウ達の求めていたハートシーリングを漁師達が朝早くから獲りに行き、お礼としてなのか、今回は代金を払わずとも多くのハートシーリングを譲ってくれた。
ということで、無事にコウ達は目的のハートシーリングを手に入れることが出来たため、後はローランへ持ち帰るだけとなっていたりする。
「まぁ帰るって言ってもまずは馬車を探さないとな」
「でもここからローランに向かう馬車って少ないですよね〜?」
「あぁだから最初は王都行きの馬車だな。その後ローラン行きの馬車を探す予定だ」
確かにライラの言う通り、ローランへ帰ると言っても、そのまま一直線で帰れる馬車は少ないと思われる。
そのため、まずは王都行きの馬車を探さないといけないし、王都へ到着したら今度は乗り換え先としてローラン行きの馬車を探さないといけないといった手間があったりする。
強いて言えば、漁村に連れて来てくれた御者にお願いしたいところではあるのだが、暫くの間この漁村で休むと言っていたので、頼ることは出来ないだろうか。
「じゃあ馬車を探しに行きますか〜」
「あぁそうだな...ってあれは...」
そんなこんなで新たな馬車を探すことにしたのだが、丁度良いタイミングで市場の片隅で何らかの荷を積み込んでいた馬車を発見することとなる。
そしてここらには他の馬車はおらず、たまたま目に付いた馬車ということで、コウ達は何処に向かう馬車なのかを聞くために荷を積み込んでいた御者と思われる背の低い老人へ近づいていくことにした。
「爺さんちょっといいか?この馬車って何処に行くんだ?」
「おぉ若いのか。この馬車は王都へ名物の干物を運ぶ予定じゃよ」
話を聞く限り、どうやらこの馬車は王都までこの漁村で作られた名物の干物を運ぶ予定のようで、コウ達からしてみれば願ったり叶ったりの馬車と言えるだろうか。
「じゃあ爺さんちょっとお願いしたいことが...「あいてててて!こ...腰が...!」
そのため、コウは一緒に王都まで乗せてくれないかと交渉をしようとすると、荷を積み込んでいた背の低い老人は急に腰を痛めたのか、苦悶の表情で腰に手を当てながら大きな声を上げた。
「おいおい大丈夫かよ...しょうがないなぁ...ライラとフェニ手伝うぞ」
「は〜いお爺ちゃんは私達に任せてゆっくりして下さい〜」
「キュ!」
「すまんのぅ...」
さて...こんな状態になってしまっては話にならなさそうなので、コウは交渉しようとするのを一旦やめ、老人には腰の痛みが引くまで近くの木の側でゆっくり休んでもらうこととし、馬車へ荷を積むのを手伝うことにした。
ということで、コウ達は効率良く、馬車の近くに置かれていた荷を次々と積み込んでいったのだが、殆ど積み終える頃には老人の腰も痛みが引いてきたようで、休んでいた木の側から立ち上がると、こちらへ申し訳無さそうな表情で近寄ってくる。
「いやはや助かったのじゃ。儂に何かお礼を出来ることはないかのぅ?」
「あーじゃあ王都まで一緒に俺達を乗せてくれないか?」
そんな老人からは荷の積み込みを代わりに手伝ったためか、何かしらのお礼をしたいとのことであり、これは丁度良いと思ったコウは王都まで一緒に乗せて欲しいという旨を伝えていく。
「そんなことで良いのかのぉ?それならばお安い御用じゃが...」
すると老人はまさかコウ達が王都まで一緒に乗せて欲しいというお願いをしてくるとは思ってもいなかったようなのだが、それくらいであれば特に問題ないようで、すんなりと馬車に乗せてくれるのを了承してくれた。
「おっ...じゃあ交渉成立だな。よろしくな爺さん」
「儂の方こそよろしくなのじゃ。整備が終わり次第出発する予定じゃから馬車の中で待ってておくれ」
「あぁ分かった。じゃあまた出発する時は教えてくれ」
「コウさん良かったですね~やっぱり良いことはするものです~」
「キュ!」
ということで、コウ達は無事に王都行きの馬車を確保することが出来たため、馬車の整備が終わり、出発するまでの時間は馬車の中でゆっくりと待つこととなるのであった...。
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次回の更新予定日は多分4月20日になりますのでよろしくお願いします。




