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676話

 ローランから出発して馬車の振動にゆり揺られながらそれなりに時間が経過したのだが、ふいに窓の隙間から潮の匂いがふわりと流れてきた。


 そんな匂いを嗅いだコウは前世というか前の世界では海沿いで生活していたということもあって何だか懐かしい匂いと感じ、少しだけホームシックな気持ちとなってしまう。


 とはいえ、日本に帰りたいと思ったとしても、残念ながら帰る手段は無いし、そもそも自身の身体は海の底で今頃は魚の餌にでもなっているかもしれないので、諦めるより他ない。


 さて...それにしても潮の匂いがしてきたということは漁村に近づいてきたサインだろうか。


「そろそろ着くぞ!」


 そんなことを考えていると、御者席が見える小窓から御者が顔をひょこっと出し、間もなく目的地である漁村に到着する旨を伝えられたため、やはりと思いつつ、コウ達はそそくさと下車の準備をしていく。


 そして下車の準備が終えると、馬車はゆっくりと減速していき、無事に目的地へ到着したということでコウ達はサッと下車していくのだが、そもそもこの漁村に宿はあるのだろうか?


 まぁ漁村といっても周りを見てみると、それなりに栄えており、酒場のような場所もまだまだ開いているので、宿の1つでもあると思いたい。


「そういや坊主達は何処に泊まるんだ?」


「一応宿を取りたいと思ってるんだけど良さげな宿は知ってないか?」


 そんな宿も取っていないコウ達に対して時間帯も遅くなってきたということもあってか、御者から今日は何処に泊まるのか?と聞かれたため、ここは土地勘のある御者へ良さげな宿があったりしないかを聞いてみることにした。


「だったらあそこにある建物へ行くと良い。俺の知り合いの宿だ」


 すると御者はとある方向に指を向けたため、コウ達も釣られるように視線を同じ方向に向けると、そこには茅葺(かやぶ)き屋根に似た屋根を持つ大きな建物が建っており、どうやらそこが漁村の中でお勧めできる宿とのこと。


「あとこいつもやるよ」


 また宿の場所を教えてくれた御者は追加で何かをくれるようで、放物線を描きながらこちらに向かってその何かを投げてきたため、コウは片手で上手いことキャッチし、渡された物をよく見てみるとそれは木で作られたコインであった。


「これは?」


「まぁ俺からの紹介状みたいなもんだ。見せれば話が早い筈だ」


 そのため、これは何なのかを聞いてみると、どうやら渡された木で作られたコインについては紹介状みたいのようなものであり、これを宿屋の主人にでも見せればすんなりと宿が取れるかもしれないとのこと。


「ん...ありがとな」


「気にすんな。また馬車を沢山利用してくれりゃいいからよ」


「気が向いたらな。じゃあまたな」


「ありがとうございました~」


「キュ!」


 ということで、ここまで運んでくれた御者と別れの言葉を交わすと、勧められたその宿に向かうことにし、コウ達は漁村を歩き出すことにした。


 そして賑わっている酒場を横目に歩いていたのだが、それにしても海産物を料理として取り扱っているお店が多いためか、焼き物の香ばしい匂いがコウ達の後ろ髪を引っ張りながら誘惑してきたりする。


 しかしそのような誘惑を断ち切りつつ、コウ達は目的の宿に到着した訳なのだが、中に入ると屋内の一角が酒場となっており、そこには1日の疲れを癒やすため、酒が入っていると思われるコップを片手に持った冒険者がチラホラと見られた。


 とりあえず長距離の馬車移動だったということで、腹は減っていたりはするのだが、まず最初に泊まるための部屋を確保したいので、コウ達は受付に近づいていくと、そこには坊主頭でねじり鉢巻きを額に巻いたこの宿の主人と思われる男が仁王立ちをしていた。


「らっしゃい。こんな時間に坊っちゃんが何の用だ?」


「宿を取りたくてな。これを見せれば良いって聞いたんだけど?」


 そんな男はコウが子供の見た目をしているからなのか、少しだけ舐めたような態度で何の用だと聞いてきたため、強気に答えつつ、御者から手渡された木で作られたコインを受付の机の上へ見せつけるようにスッと差し出していく。


「む...あいつの知り合いかよ...舐めた態度ですまんかった。何部屋取りたいんだ?」


「別に慣れてるしそこまで気にしてないけどな。じゃあ2部屋を頼む」


「2部屋なら銀貨10枚と言いたいが...詫びとして半額の5枚で構わん」


 どうやらここで宿を取るのであれば、銀貨10枚は必要らしいのだが、先ほどの件もあってか詫びとして半額の銀貨5枚を提示してきた。


 そのため、収納の指輪の中から銀貨5枚を取り出し、宿屋の主人に手渡すと、代わりとして部屋の鍵を差し出してきたので、そのまま受け取っていく。


「夕食は後にしてどんな部屋かだけ見ておくか」


「そうしますか〜」


「キュイ!」


 そしてとりあえず自身達がどんな部屋に泊まるのかを確認したいということで、夕食は後回しにしつつ、一旦泊まる部屋に向かうこととするのであった...。

いつも見てくださってありがとうございます!


次回の更新予定日は多分4月2日になりますのでよろしくお願いします。

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