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672話

 さて...コウは兄であるバリィへ出掛ける準備をササッとさせると、そのまま引き連れて治安が悪くなってしまっている自身の拠点周りへと移動することとなった。


 そんな移動の最中ではバリィへ最近の調子はどうなのかを聞いてみたのだが、事前にニコルから聞いていた通り、ローランの貴族街にある裏路地のことを任せられているとのことで、それなりに治安維持で忙しいらしい。


 そしてバリィ達の働きのお陰で貴族街の路地裏の治安はここ最近だいぶ安定してきたとのことであり、このまま整備などもしていけば一般市民でも安心して通れるようになっていくみたいである。


「ふぅん...まぁ色々と頑張ってるんだな」


「おうよ。俺様達兄弟のお陰だぜ!」


「俺としては前も縄張りにしてた場所も同じ様に頑張って欲しいけどな」


「うぐっ...これからやるから良いじゃねぇか...」


 ただ貴族街の裏路地の治安が良くなったというのは良いことではあるのだが、出来れば以前も縄張りにしていた場所もしっかりと管理して欲しいものであると思い、ちくりちくりと小言を言いながらバリィを突いてみると、嫌そうな顔をしながら言い返してくる。


 それにしても貴族街の裏路地の治安が良くなってしまったということは居場所が無くなってしまったゴロツキ共がコウ達の拠点周りやスラム街へもしかすると流れ着く可能性もあったりするだろうか。


 そうなれば、コウ達がこれから拠点とする家周りの治安が更に悪化してしまうため、出来ればそのルートは回避して欲しいところ。


 まぁそういったゴロツキ共を全て一掃するのは色々と問題があり、現実的には難しいのかもしれない。


 そんな話をバリィと交わしていたらいつの間にか自身の拠点となる家が目の前に見えるくらいの場所へ到着したため、とりあえずここら辺を本当に縄張りとしていたのかを聞いてみることにした。


「ここら辺なんだけど本当に縄張りにしてたのか?」


「おう。ここらは確かに俺達兄弟か縄張りにしてた場所だな」


「じゃあ頼んだ...って思ったけどそういえば連れてく場所があったな」


 ということで、本当にここらを縄張りにしていたことも無事に確認出来たため、ここから先はバリィに後は任せようとでも思ったのだが、そういえば腰の左右に直剣を2本ぶら下げている男に連れてきたら会いに来て欲しいと言われていたのをコウはふと思い出した。


「俺様を連れて行く場所?」


「まぁいいから付いてきてくれ」


 そのため、今度は自身の拠点の目の前にある家へ移動することとし、バリィに対して付いて来るようにと指示を出していく。


 そして拠点の前にある家の玄関扉をとりあえずノックしてみると、家の中から聞き覚えのある声が聞こえ、すぐに玄関扉が開かれたのだが、そこには腰の左右に直剣を2本ぶら下げている男が現れた。


「連れてきたぞ」


「悪ぃな。手間を取らせしちまって」


「別にいいぞ。俺にも益があるしな」


「ちょ!ちょ!ちょ!ここら辺を何とかするって話じゃないのかよ!」


 そんな腰の左右に直剣を2本ぶら下げている男と会話をしていると、戸惑うような声を出しながらバリィはジリジリと後退りをしだす。


 まぁ確かに連れられてきた先で腰の左右に直剣を2本ぶら下げてた怪しい男と話が見えない会話を目の当たりすれば、誰でも身に危険を感じて不安になるのも当たり前と言えるだろうか。


「違うってこいつがここら辺の治安維持に協力してくれる奴だって」


「ほ...本当か...?嘘じゃないんだよな...?信じて良いんだよな...?」


 そのため、コウはフォローを入れるかのように目の前に現れた人物が誰なのかをバリィに伝えると、疑いの眼差しと返事が返ってきた。


「まぁまぁ俺と少し話をしようじゃねぇか。俺は目の前のガキに借りがあるしな」


「本当だって。ほら行ってきてくれ」


「おわっ!」


 とはいえ、一緒に頑張ってくれなければ、それはそれで困るので、コウはバリィの腕を掴み、大きく開いている玄関扉に向かって押し出すと、腰の左右に直剣を2本ぶら下げている男がそのまま受け止めてくれた。


「じゃあバリィ頑張ってくれよな」


「なぁに悪いようにはしねぇさ」


「ダニィィィィィィィ!」


 そして腰の左右に直剣を2本ぶら下げている男がバリィの首根っこを掴み直すと、そのままズリズリ引き摺り始めたのだが、弟を呼ぶ悲鳴と共にゆっくりと玄関扉が閉まっていく。


 まぁきっと彼であれば、今回の件についてもしっかりとやり遂げることが出来るだろうと思いつつ、コウは両手のひらを合わせて玄関扉に向けてとりあえず合掌をしつつ、心の中で小さく応援しておくことにした。


「さて...一旦ライラ達の下へ戻るか」


 ということで、以前ここらを縄張りとしていた兄弟の1人であるバリィを腰の左右に直剣を2本ぶら下げている男の下へ連れて来ることが出来たコウは今頃、家の模様替えで忙しくしていると思われるライラ達の下へ今度は向かうことにするのであった...。

いつも見てくださってありがとうございます!


次回の更新予定日は多分3月21日になりますのでよろしくお願いします。

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