670話
翌日、領主であるニコルの下へコウ1人で向かっていたのだが、その向かう理由とは以前引き渡してしまったダニィとバリィという兄弟はどうなっているのかを聞くためであった。
もしニコルがその2人を持て余しているのであれば、コウ達の拠点となる家の周りの治安を何とかしてもらおうと考えていた。
ちなみに今回、ライラとフェニが一緒にいないのは拠点となった家に足りない家具を追加として買いに行ってもらっているため、この場にはいなかったりする。
そんなことはさておき...コウは綺羅びやかな貴族街を通り、街の中心部にあるニコルが住む屋敷へ無事に到着したということで、今度は固く閉ざされた鉄格子の門がある場所へ向かうと、2人の門兵がコウの存在に気が付いた様子。
「本日はどのようなご要件でしょうか?」
そして鉄格子の門の前に立つ2人の門兵はコウに対してペコリと軽く辞儀をすると、片方の門兵がガチャガチャと鉄の鎧が擦れるような音をさせながらこちらに向かって駆け寄ってくると、優しげな声質で何をしに来たのか尋ねてきた。
それにしてもコウの顔を覚えているのか?はたまた対応についての再教育をしっかりされたのかは分からないが、以前よりも対応は良くなっているようだ。
「ニコルに話があってな。伝えてもらえるか?」
「勿論です。少々お待ち下さい」
ということで、ニコルに会いたいという要件をコウは門兵に伝えてみると、その場で待つようにと言われ、駆け足で要件を聞いた門兵はそのまま屋敷の中に入っていってしまった。
そのため、暫くの間コウは鉄格子の門の前で仕事をしているもう1人の門兵とたわいのない会話をして時間を潰しながら待っていると、ニコルに会いたいという要件を聞きに行った門兵が屋敷内からすぐに戻ってきた。
「お待たせ致しました。ニコル様は問題ないとのことなのでご案内致します」
「ん...じゃあよろしく」
どうやらコウの要件を伝えたところ部屋まで案内するようにと指示されたようで、コウは門兵に連れられて屋敷の中へ入り、そのまま領主であるニコルの下へ案内されることとなった。
「コウ様をご案内しました」
「あぁ入ってくれて構わないよ」
そして屋敷内を通り、ニコルの部屋の前へ到着したため、門兵はコンコンと部屋の扉を軽快にノックしながらコウを連れてきたと答えると、中から入っても問題ないという返事が返ってきたので、そのまま扉を開けてコウは部屋の中へと入っていく。
「元気そうだな」
「コウ君こそ元気そうだね。で...何を聞きに来たんだい?」
「あぁ前引き渡したダニィとバリィってゴロツキってなにしてるのかなって」
「彼らかい?彼らなら裏路地の掃除を手伝ってもらっているよ」
ということで、軽く挨拶を交わし終わると、何を聞きに来たのかと聞かれたため、コウはニコルにダニィとバリィの2人は今何をしているのかについて聞いてみることにしたのだが、どうやら貴族街にある裏路地の掃除を今は手伝ってもらっているとのこと。
まぁニコルの言い方的に掃除といってもただのゴミ掃除などではなく、裏路地に住まうゴロツキ共の掃除だということが何となく察することが出来る。
「もしかして彼らに何かやってもらいたいことがあるのかい?」
「話が早いな。実は...」
そんなことを聞くと、ニコルは察しが良いのかこちらに新たな質問をしてきたため、コウはダニィとバリィが何故必要かについて事細かく説明をしていくことにした。
勿論、説明した内容とは自身達は新しい拠点を手に入れたのだが、周辺の治安が悪く、その治安を良くするためには元々その周辺のゴロツキ共を締めていたダニィとバリィの2人が必要だということである。
「なるほどね...そういうことなら問題ないよ」
「本当か?悪いなこっちの事情で借りて」
「いいよいいよ。日頃からコウ君にはお世話になってるしね」
そして事情を話し終えると、ニコルはダニィとバリィをコウへ引き渡すのは問題ないと答えつつ、机の上にあったベルを振り子のように左右へ振り、ちりんちりんと音を鳴らした。
するとすぐに部屋の扉がノックされたため、ニコルが入っても良いと許可を出すと、扉が開いて中へノックをした人物が入ってきたのだが、その人物とは初老の執事であるジェリエルであった。
「お呼びでしょうか旦那様」
「ジェリエル。悪いけどコウ君をダニィとバリィってゴロツキの下へ案内してもらってもいいかい?」
「畏まりました。ではご案内致します」
「あぁよろしく頼む」
どうやらニコルがジェリエルを呼んだ理由というのはダニィとバリィの下へ案内させるために態々呼んでくれたようで、早速ではあるが2人の居場所まで案内してくれるみたいである。
「ありがとな」
「じゃあ今度会う時はゆっくりお茶でも飲もうね」
「あぁまたお邪魔させてもらうからその時はよろしくな」
ということで、コウはニコルにお礼を伝えながら、また機会があればお茶をしに訪れるといった約束も交わしつつ、部屋を出てそのままジェリエルにダニィとバリィの下へ案内してもらうこととなるのであった...。
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