669話
「...」
「おいおい人の顔を見るなり閉めるなって!」
そんな男と顔を合わせた瞬間、コウは何かしらの面倒事だと思い、ゆっくりと玄関ドアを閉めようとすると、玄関ドアに足を挟まれてしまった。
とりあえず玄関ドアに挟まれた足をこちら側から蹴飛ばしても良いのだが、流石に失礼にもほどがあるということで、コウは玄関ドアを再び開け、男がここに訪れた要件だけを聞くことにした。
「冗談だって」
「そうだよな?冗談だよな?」
「...ところで何の用なんだ?」
「あぁ昨日のことで改めて済まなかったな。あいつに関してはしっかりと絞っておいた」
そして冗談だと会話に挟みつつ、男に対して訪れた要件だけを聞いてみると、どうやら昨日のことについて改めて謝罪に来た様子。
とはいえ、こちら側としては何の被害もなかったため、別に謝罪をされたところで気にしてはいないのだが、あの突っかかってきた男には丁度良いお灸となったのは少しいい気味だと感じてしまう。
まぁあの突っかかってきた男は自らを反省し、これから生き方というものを学んで欲しいものである。
「どうせそれだけの話じゃないんだろ?」
「よく分かってるな。実は...」
そんなことはさておき、ただ謝罪をしに来たのではないと思っていたコウはここに訪れた本題ついてを男に対して問い掛けてみると、やはり昨日何とかして欲しいとお願いしていたここらの治安についての話であった。
まずどうしてここらの治安が悪くなってしまったのか目の前の男がゴロツキ共に聞き込みをしたところ、ここらを締めていた奴が更に縄張りを広げると言い出し、ローランの貴族街にある路地裏にも手を出し始めたらしい。
ただローランの貴族街にある裏路地に手を出した結果、ここらを締めることまで手が回らなくなってしまったため、治安が悪くなってしまったとのこと。
またここらにいるゴロツキ共はその締めていた奴がいないと言うことを聞く気にはならないと言っているようで、結果としてその人物を探さないといけないみたいである。
「その締めてた奴の特徴は?」
「2人組の兄弟らしい。確か狂犬兄弟とかなんとか...」
そんなここらを締めていた奴の特徴は2人組の兄弟らしく、狂犬兄弟といった二つ名で呼ばれているようだ。
はて...それにしても2人組の兄弟であり、狂犬兄弟という何だか何処かで聞いたことのあるような二つ名を聞いたコウが真っ先に頭の中で思い浮かんだのはバリィとダニィの2人である。
確かバリィとダニィの2人と最初に出会ったのはローランの貴族街にある路地裏であり、そこでは誘拐された領主の娘であるティルシーを探すため、案内人として快く引き受けてくれた時だろうか。
そしてそんな彼らは利用するだけ利用して最後にはニコルに裏路地やスラム街の改善で役に立つからと話し、そのまま引き渡してしまった様な記憶がある。
まさかそんな彼らがここらを締めていたとは思いもしなかった。
そんな彼らが今となってはどうなってしまったのかは知らないが、ここはニコルに話を通してバリィとダニィの2人をここらに戻し、ゴロツキ共を纏めてもらった方が良いだろうか。
「その2人は何となく知ってるような気がしないでもないな」
「本当か?だったら何処に居るか教えてくれないか?」
そして目の前の男からその2人は何処にいるんだと聞かれたのだが、領主であるニコルのところへ向かったところで、話を聞き入れてくれる可能性は低いため、結局コウが動かないといけないと思われる。
「うーん...あの2人の居場所はちょっと面倒な所にいると思うから俺に任せてもらおうかな」
「そうか...なんか悪ぃな。こっちが頼まれたことなのによ」
「まぁ気にしないでくれ。色々と事情があるし」
そのため、あの2人に関してはこちら側に任せて欲しいとコウは目の前の男に対して伝えると、申し訳無さそうにしていたが、ニコルへ引き渡してしまったのは自身のせいともいえるため、気にしないで欲しいとフォローをしていく。
「分かった。また2人を連れてきたら俺に会いに来てくれ」
「あぁじゃあ連れてきたら会いに行くからその時はよろしくな」
ということで、目の前の男にあの2人を連れてきたら会いに来て欲しいと言われたため、口約束を交わしつつ、コウは翌日にでもニコルの下へ向かう予定を頭の中で立てておくことにするのであった...。
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