663話
「こちらが冒険者ギルドから近い立地にある住宅になりますが...」
「おっ...悪くないな」
「先程の家も良かったですけどこちらも良さそうですね〜」
そしてヴィーに案内され、訳ありの家に到着したのだが、外観自体は新しく建てられたためか悪く、どこからどう見ても何ら変哲もない家であり、立地としても冒険者ギルドからそれなりに近いのでコウの中では今のところ評価がぐんっと上がっていた。
そんなことを考えていると、背後にある家から男同士が争うような怒号が聞こえてきたため、何なのかと思いつつ振り返ってみると、バキッ!という音共に振り返った先にある家の窓から1人の男が宙を舞いながら飛び出してきたではないか。
「はぁ...またですか...」
「何だ何だ」
「びっくりしました~」
そして窓から飛んできた1人の男は完全に伸びてしまっているのか、そのまま地面に大の字となって倒れており、鼻からは赤い血がタラタラと垂れ流れているため、なんというか痛々しい姿である。
そんな男の見た目は明らかにカタギのような見た目はしていないため、コウの中でようやく家自体に問題があるのではなく、周囲の環境が悪いということを察してしまう。
「もしかしてこれが問題ってやつか?」
「まぁそうなりますね...ここらの住宅の質は良いのですがここ最近治安の方が悪くなりまして...」
そのため、ヴィーに改めて話を聞いてみると、やはりというかここ最近この家の周りの治安が悪くなってきたため、あまりお勧めはしたくなかったらしい。
まぁそれはそうだろう。変な土地や住宅を紹介して顧客に被害などが有れば信用に関わってしまう可能性があるからだ。
そんなことをヴィーと話していると、窓から男が飛び出してきた家から別の男が出てきたのだが、その男の顔には刃物の傷跡が幾つか付いており、仕立てたばかりだと思われる白い服には新しい血が付着していたりもする。
ともかくその男の見た目は窓から飛び出してきた男と同様にカタギの仕事をしているような風貌ではないと言えるだろうか。
「お前は...!あの時のガキ!」
そして外に出てきたその男はコウ達の存在に気付いたのか視線を向けてきたのだが、見開きながら大きな声で自身に向かって指をさしてきたため、はて?何故自身のことを知っているのだろうか?と思ってしまう。
「お知り合いの方でしょうか?」
「いや知らんな」
「でもコウさんのことを知っているみたいですよ〜」
「そんなこと言われてもなぁ...」
そのため、ヴィーやライラから知り合いなのではないかと聞かれるも、記憶を掘り起こしてみたのだが、目の前にいるカタギではない男の素性を思い出そうにも記憶にはなかったりする。
まぁそもそもこのようなカタギではない男が知り合いであれば、すぐ思い出す筈なので、その線は薄いと思われる。
「何で俺のことを知ってるんだ?」
「お前が孤児院に変な男を連れて来たせいで全部がぱぁになったことを覚えてねぇってか!?」
ということで、目の前に現れた男に対して何故、自身のことを知っているのかという質問をしてみると、コウが忘れていたことに対して苛立ちが募ったのか、怒りで声を振るわせながら過去の因縁と思われる出来事を言い放ってきた。
「孤児院...あぁ思い出した。ロバーツにぶっ飛ばされた奴か」
そんな男から因縁と思われる出来事を聞いたコウは以前、スラム街の近くにある孤児院へロバーツと共に訪れた際、お金を集りに来ていた元デモンという貴族の使いだった男のことを思い出すこととなる。
「覚えてるじゃねぇか!あの時のことは今でも許せねぇ...!」
「ふぅん...じゃあどうするんだ?」
「はっ!お前の連れてきていたあの男はいねぇみたいだし少しだけ痛い目見てもらうぜ!」
そして目の前の男は以前のことを再び思い出してなのか、更に怒りのボルテージを上昇させ、ぶるぶると身体を震わせながら今にも襲い掛かってきそうな雰囲気を感じる。
そのため、コウは男に対してどうするのかと聞いてみると、少しだけ痛い目を見てもらうと言い放ち、こちらに向かって足をガニ股にしながらどすどすと足音を態とらしく立てつつ、近づいてくるのであった...。
いつも見てくださってありがとうございます!
次回の更新予定日は多分2月21日or2月22日になりますのでよろしくお願いします。




